「11月の内定者フォローは進めたが、12月は何を優先すべきか分からない」「大会が終わった学生と、どの時期にどう接点を持てばよいか迷う」。体育会採用に取り組む担当者の方は、年末にかけて業務が重なる12月に、優先順位で迷うことがあるのではないでしょうか。

結論から言うと、12月の実務は「引退直後の学生への接点づくり」「年末の内定者イベントの運営」「冬の説明会・個別接点の位置づけの整理」「年明けの広報開始に向けた準備」の4つに整理できます。この記事では、11月に体育会採用の企業がやることの続きとして、12月に絞った実務アクションをまとめます。年間の流れ全体は体育会採用カレンダーで俯瞰できます。

結論|12月は「引退直後の接点」「年末イベント」「冬の接点の整理」「年明けの準備」の4つに整理できる

12月に企業が動かす主な実務は、次の4つです。

  1. 12月の全国大会などを区切りに引退する学生への、時期と内容に配慮した接点づくり
  2. 内定者懇親会や忘年会など、年末の接点の設計と運営
  3. 冬の説明会や個別面談など、オフシーズンの接点の位置づけの整理
  4. 年明けの広報活動開始までを逆算した、今年度の振り返りと次年度の準備

どれも「12月に必ずやらなければならない」ものではありません。法定の日程があるわけではなく、企業が自社の採用計画に合わせて設計する実務です。ここでは、学生側の事情と合わせて、何をどの順番で考えるとよいかを整理します。

12月は何が起きる月か|法定日程はなく、競技の終盤と年末が重なる

政府が公表している就職・採用活動日程に関する要請では、2027(令和9)年度卒業・修了予定者等について、広報活動の開始は「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」、採用選考活動の開始は「卒業・修了年度の6月1日以降」、正式な内定日は「卒業・修了年度の10月1日以降」とされています(内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」、2026年10月確認)。この日程には12月を区切りとする項目は示されておらず、12月の実務は、企業が自主的に設計する接点と準備が中心になります。

一方、学生側では、競技の全国大会が12月に集中する競技があります。体育会の引退時期を競技別に整理した記事で確認した2025年度の大会期間では、次のようになっていました。

競技 大会(2025年度) 期間 公表元
ラクロス 全日本大学選手権大会 11月15日〜12月21日 日本ラクロス協会
バスケットボール 全日本大学選手権大会(インカレ) 11月29日〜12月14日 全日本大学バスケットボール連盟
アメリカンフットボール 毎日甲子園ボウル(決勝) 12月14日 日本学生アメリカンフットボール協会・毎日新聞社
サッカー 全日本大学サッカー選手権大会 12月6日〜27日 日本サッカー協会・全日本大学サッカー連盟

大会の日程は年度によって変わるため、2026年度の日程は各競技団体の公式発表で確認する必要があります。また、全国大会に出場しない部は、その前に区切りを迎えている場合もあります。取材記事の中には、チアリーディングの4年生は基本的に12月の全日本選手権後に引退するという部の例(取材記事)や、アメリカンフットボール部で11〜12月の全国大会や入替戦を区切りに4年生が引退する例(取材記事)があります。これらは取材記事に記述された個別の例であり、競技全体の傾向を示すものではありません。

引退直後の学生への接点づくり|時期と内容に配慮する

12月は、大会を終えた学生と接点を持ちやすくなる一方、連絡の仕方に配慮が要る時期でもあります。

確認したいこと

  • 内定者・選考中の学生のうち、12月に最終戦を迎える可能性がある人のリストアップ(本人に聞ける範囲で)
  • 大会の結果が出た直後ではなく、数日程度の間を置いた連絡
  • 最初の連絡で、選考や提出物の話を前面に出さない

大会直後の学生は、結果に対する思いが強い状態にあることが想定されます。最初の連絡は、ねぎらいと、今後の案内の予定を伝える程度にとどめると、配慮として受け取られる場合があります。具体的な手続きや日程の相談は、学生が落ち着いてから切り出す進め方があります。

引退の時期は競技や部によって幅があります。一斉に同じ文面を送るのではなく、学生ごとの状況を確認したうえで、連絡の時期と内容を調整する運用が現実的です。内定者フォロー全体の設計は、体育会学生の内定者フォロー設計で詳しく解説しています。

年末の内定者懇親会・忘年会を運営する

年末は、内定者同士や社員との交流の場を設ける企業もある時期ですが、大会に出場する学生や遠方の学生は、期末試験や帰省と日程が重なる場合がある点に注意が必要です。

論点 考え方の例
開催時期 12月に限らず、1月以降も候補にする
日程候補 複数日を提示し、選べるようにする
形式 対面とオンラインの両方を用意する選択肢がある
目的 親睦、先輩社員との対話、入社前の不安の解消など、先に決める

開催時期を12月に固定すると、大会に出場する学生や遠方の学生が参加しにくくなる場合があります。目的を先に決めたうえで、参加しやすい形に調整する考え方があります。なお、内定者の負担が大きい日程や形式にならないよう、事前に確認しておくとよいでしょう。辞退の兆しの見方は内定辞退防止チェックリストで確認できます。

冬の説明会・個別面談の位置づけを整理する

オフシーズンの冬に説明会を設ける企業もあります。人事の声の一例として、経理・AI SaaSの株式会社TOKIUMは、体育会学生向けに、夏は就職活動や自己分析をテーマにした勉強会を行い、冬に説明会を開く2段階のアプローチをとっていると述べています。対象団体を約20に絞り、複数回訪問する方式で関係を深め、現役学生だけでなく各部のOB・OGにも企業を知ってもらう機会になることに期待していると記されています(人事の声|株式会社TOKIUM、2025年12月18日)。

この事例は一社の取り組みであり、同じ手法がどの企業にも合うとは限りません。参考にできる点は、「シーズン中は負担の少ない接点、オフシーズンに相互理解を深める接点」というように、学生の競技日程に合わせて接点の性格を変えている点です。自社の12月の接点を設計する際は、次の点を整理すると進めやすくなります。

  • 対象とする学生(引退済みか、競技を継続中か)
  • 接点の目的(企業理解、個別相談、選考への案内など)
  • 実施の形式(対面、オンライン、少人数の個別など)
  • 学生側の負担(試験や大会との重なり)

スカウトや個別接点の進め方は体育会学生へのスカウト方法でも整理しています。

年明けの広報開始に向けて、12月に準備すること

前述の要請では、広報活動の開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降とされています。2027(令和9)年度卒業・修了予定者の場合、12月は広報開始まで約3か月という位置づけになります。12月に着手しておくと進めやすい準備を挙げます。

準備項目 内容の例
今年度の振り返り 母集団、選考通過、辞退の状況と、うまくいった点・課題の整理
対象の見直し 重点とする競技、大学、採用手法の再確認
体制の確認 担当者、面接官、OB・OG社員の協力可否
予算・計画の確認 次年度の計画に必要な項目の洗い出し
年明けの動きの設計 1月以降の接点や情報発信の計画

数値の振り返りは、母集団の人数や選考の通過状況といった社内で把握できるデータを中心に行い、うまくいかなかった点の背景は、学生や内定者の声を踏まえて定性的に整理する方法があります。採用手法の全体像は体育会採用の手法別比較表が参考になります。なお、スポーツと職場では評価の仕組みや人間関係の継続期間が異なるため、部活動での振る舞いをそのまま職場での活躍に結びつけて考えず、自社の環境で何が求められるかを基準に見極める視点は欠かせません。

12月の実務チェックリスト

最後に、前半と後半に分けた確認項目をまとめます。

時期 確認項目
12月前半 引退予定の内定者・選考中の学生の把握(本人に聞ける範囲で)
12月前半 年末イベントの形式・日程の決定と案内
12月後半 引退した学生への、時期と内容に配慮した連絡
12月後半 今年度の採用の振り返り
年内〜年明け 広報開始までの計画の確認

まとめ|12月は「無理に動かさず、学生の事情に合わせて設計する」月

12月は、法定の日程がない一方で、競技の終盤、年末の予定、年明けの準備が重なる月です。引退直後の学生への連絡は時期と内容に配慮し、年末イベントは参加しやすい形に調整し、冬の接点は目的を整理したうえで設計する、という考え方があります。すべてを12月に詰め込む必要はなく、自社の採用計画に合わせて優先順位をつけることが現実的です。

12月の体育会採用の進め方や、年明けの広報開始に向けた計画づくりについてご相談がある場合は、採用のご相談からお問い合わせください。なお、中途人材のご紹介サービスは、有料職業紹介事業の許可取得後(2026年12月頃予定)の開始となり、現在は採用課題のご相談とご案内登録を承っています。

参考文献