「6月1日を迎えて選考が動き出したが、初月は何に気を配ればよいのか」「春のリーグ戦が終わった学生は、いまどんな状況なのか」。体育会採用に取り組む担当者の方は、選考の最初の月にこうした迷いを持つことがあるのではないでしょうか。
結論から言うと、6月の実務は「選考初月の運営の安定」「春季終了後の学生の予定への配慮」「6月末の公開調査から見える学生の状況の把握」「内々定後の接点と辞退への備え」の4つに整理できます。この記事では、5月に体育会採用の企業がやることの続きとして、6月に絞った実務アクションをまとめます。年間の流れ全体は体育会採用カレンダーで俯瞰できます。
結論|6月は「選考初月の運営」「予定への配慮」「状況の把握」「内々定後の接点」の4つに整理できる
6月に企業が動かす主な実務は、次の4つです。
- 選考が動き出した初月に、面接の観点・記録・連絡の速さをそろえて運営する
- 春季リーグ戦が区切りを迎え、夏のオフシーズンに入る部もあることを踏まえ、日程・形式を設計する
- 6月末の公開調査から、学生の就職活動の状況を把握し、自社の計画と照らし合わせる
- 内々定を出した学生との接点を保ち、辞退の意思が伝えられる可能性を前提に備える
6月は、要請の日程の節目(3月1日・6月1日・10月1日)のうち、採用選考の開始にあたる月です。実際の動きは企業ごとに異なるため、優先順位は自社の採用計画に合わせてつけることが現実的です。
6月は何が起きる月か|選考開始の月で、春季シーズンが区切りを迎える部もある
内閣官房が公表している2027(令和9)年度卒業・修了予定者等への要請では、広報活動の開始は「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」、採用選考活動の開始は「卒業・修了年度の6月1日以降」、正式な内定日は「卒業・修了年度の10月1日以降」とされています(内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」、2026年10月確認)。次に6月を迎えるのは2028年卒の学生向けの時期ですので、28卒向けの要請は公表され次第、最新の内容を確認してください。
学生側の動きを見ると、競技によっては春のシーズンが6月前後で区切りを迎えます。2026年度の日程では、次のような例がありました。
| 競技・大会 |
2026年度の日程 |
出典 |
| 東京六大学野球 春季リーグ戦 |
4月11日(土)〜6月1日(月) |
東京六大学野球連盟 |
| 関東大学サッカーリーグ戦1部 前期 |
4月4日(土)〜6月7日(日)。延期分の試合が6月13日(土) |
関東大学サッカー連盟 |
| 全日本大学野球選手権記念大会 |
開会式6月7日(日)、試合は6月8日(月)から7日間 |
全日本大学野球連盟 |
一方で、東京六大学野球の秋季リーグ戦は9月12日開幕、関東大学サッカー1部の後期は9月23日開幕で、6月から9月にかけてリーグ戦のない期間がありました(大学リーグ戦の開催時期一覧で2026年10月に確認した内容です)。ただし、リーグ戦がないことと部の活動がないことは同じ意味ではなく、春にリーグ戦があるか、いつ終わるかは競技によって大きく異なります。対象とする競技ごとに連盟の公式発表を確認することが前提です。
選考初月の運営|面接の観点・記録・連絡の速さをそろえる
選考が始まる月は、面接の回数が一気に増えます。ここで挙げるのは、確認しておくと運営が安定しやすい項目で、すべてを網羅する必要があるわけではありません。
| 確認項目 |
確認する内容 |
| 評価の観点 |
面接官が複数いる場合に、見る観点と記録の書き方がそろっているか |
| 記録の残し方 |
事実(発言・行動)と面接官の解釈を分けて書いているか |
| 連絡の速さ |
合否や次の案内を、案内文で示した期日までに連絡できているか |
| 日程の候補 |
平日夜・休日・オンラインなど、学生が選べる枠があるか |
| 公正な採用選考 |
応募者の適性・能力と関係のない事項を聞かない運用を、面接官全員で共有しているか |
評価の観点をそろえる方法としては、体育会学生の面接評価シートのテンプレートや、面接官の評価ばらつきを防ぐチェックリストがあります。
見極めの観点の例として、IT企業の株式会社jig.jpは、選考で想定外の問いへの向き合い方や、グループワークでの役割理解・周囲との関わり方を見ていると述べています(人事の声、2026年1月29日)。また、人材・キャリア支援の株式会社STAR CAREERは、ポテンシャルを重視し、過去の失敗から何を学び次にどう行動するかを見ていると述べています(人事の声、2026年1月28日)。いずれも一社の考え方で、同じ観点がどの企業にも合うとは限りません。自社で何が求められるかを基準に観点を決め、部活動での経験をそのまま職場での活躍に結びつけて見ないことも欠かせません。スポーツと職場では、評価の仕組みや人間関係の継続期間が異なるためです。
春季終了後の学生の予定に配慮する|区切りの時期は部によって分かれる
6月は、春のシーズンが終わった部と、これから夏の大会に向かう部が混在します。取材記事からは、区切りの時期や就職活動との向き合い方が部ごとに異なる例が確認できます。いずれも一つの部の話で、他の部や大学にそのまま当てはまるとは限りません。
- ある国立大学の卓球部は、4年生が同年5月の春季リーグをもって引退したと話しています(取材記事、2026年6月15日)。春のリーグ戦が区切りとなる部では、6月の時点ですでに引退後にあたる学生がいる可能性があります。
- ある大学のサッカー部は、3年生の10月に幹部を退任したあと、学業と就職活動に集中しやすくなると話しています(取材記事、2026年6月25日)。このように、部の運営上の区切りが春か秋かによって、就職活動に向き合いやすくなる時期は部ごとに異なります。
- ある大学のテコンドー部は、3・4年生が就職活動や院試で練習への参加頻度が下がる傾向があり、状況に応じた声かけで対応していると話しています(取材記事、2026年8月4日)。部としても学生の就職活動を想定して運営している例です。
3つの例からは、同じ6月でも学生の置かれた状況が部によって大きく異なることがうかがえます。採用側は、次のような配慮を検討できます。
- 面接や説明会の日程を複数用意し、平日夜や休日、オンラインなど学生が選べる形にする
- 連絡は用件を短くまとめ、返信期限を急がせない
- 大会や試合の前後は日程調整に時間がかかる場合があるため、候補を多めに出して学生側に選んでもらう
- 大学や部が連絡方法を定めている場合は、それに従う
競技ごとの引退時期の違いは、体育会の引退時期を競技別に整理した記事で確認できます。
公開調査で見る6月末の学生の状況|内々定率と活動継続率をどう読むか
6月末の学生の状況を知る手がかりとして、マイナビの調査があります。マイナビが2027年卒の大学生・大学院生を対象に行った調査(実施期間2026年6月25日〜30日、有効回答1,439名)では、6月末の内々定率は81.2%(前年同月比−1.6ポイント)と報告されています。文系は77.8%、理系は86.5%です。活動継続率は37.8%(前年同月の35.6%から2.2ポイント増)で、文系は46.1%、理系は24.9%とされています。さらに、活動を続ける学生のうち「9月末まで」続ける予定と答える学生が前年より増えたとも報告されています(マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生キャリア意向調査6月」)。
この数字を読むときは、次の3点に注意が必要です。
- 調査の対象はマイナビの調査に回答した学生全体で、体育会の学生に限った数字ではありません
- 2027年卒(2026年6月時点)の数字であり、28卒の学生に同じ水準が当てはまるとは限りません
- 内々定率が高くても、活動継続率が37.8%という報告は、6月末の時点でも就職活動を続けている学生が一定数いることを示しています。ただし、文系と理系で水準が異なるため、「学生全体で同じように続けている」とは読めません
体育会の学生に限った6月末の内々定率や活動継続率を示す公開データは、今回確認できた範囲では見当たりませんでした。体育会の学生が全体と同じ動きをするとは断定できないため、自社の採用で実際に接した学生の動きと併せて見ることが現実的です。応募や辞退が思うように動かない場合の見直し方は、体育会採用がうまくいかないときの見直しポイントで工程ごとに整理しています。
内々定後の接点と辞退への備え
すでに内々定を出している学生がいる場合、6月は接点を保つことが課題になります。要請では正式な内定日が10月1日以降とされており、6月に出す内々定と10月以降の正式内定のあいだには期間があります。その間、学生が他社の選考を続けたり、複数の内々定を比較したりする可能性があります。
連絡が途切れると、学生が入社後のイメージをつかみにくくなる可能性があります。ただし、頻繁な連絡や承諾の催促は、学生に負担や圧力と受け取られる可能性があるため、注意が必要です。内閣官房の要請のページにも、就職活動を行う学生に対するハラスメントが指摘されている旨の記載があります。
| 観点 |
確認する内容 |
| 接点の頻度 |
連絡が途切れていないか。競技や学業の予定に合わせて間隔を調整できているか |
| 接点の中身 |
一方的な案内になっていないか。学生の疑問や不安を聞く機会があるか |
| 他社選考への姿勢 |
他社の選考を続けることを前提に、承諾の催促や他社の辞退を求める言動になっていないか |
| 辞退の兆し |
返信の遅れや連絡頻度の変化に気づける体制があるか |
入社前の不安を和らげる工夫として、IT企業の株式会社SPIN TECHNOLOGYは、入社前に厳しさも含めてすべて伝え、ギャップをなくすことで離職率の低さにつなげていると述べています(人事の声、2026年1月27日)。設計の詳細は体育会学生の内定者フォロー設計に、辞退の兆しの見方は内定辞退防止チェックリストにまとめています。
6月の実務チェックリスト
最後に、6月の前半と後半に分けた確認項目をまとめます。
| 時期 |
確認項目 |
| 6月前半 |
選考初月の運営(評価の観点・記録・連絡期日)が面接官全員に共有されているかの確認 |
| 6月前半 |
対象とする競技の春季リーグ戦・全国大会の日程を、連盟の公式発表で確認 |
| 6月後半 |
学生の予定に配慮した枠(平日夜・休日・オンライン)の追加の検討 |
| 6月後半 |
6月末の公開調査を踏まえた、追加募集の可否の自社方針の確認 |
| 6月中 |
内々定者フォローの頻度と中身の確認、他社選考を続ける学生への姿勢の再確認 |
まとめ|6月は「選考初月の運営を安定させ、学生の予定を踏まえて進める」月
6月は、選考開始の月で、春のシーズンが終わる競技もあれば、これから夏の大会に向かう競技もあり、学生の予定は競技や大学によって大きく異なります。面接の観点・記録・連絡の速さをそろえて運営し、日程の選択肢と負担の軽さを意識し、公開調査から学生全体の動きを把握しつつ体育会の学生にそのまま当てはめない、内々定者には承諾を急かさず途切れない接点を保つ、という考え方があります。優先順位は自社の採用計画に合わせてつけることが現実的です。
6月の進め方や選考初月の運営に迷う場合は、30〜45分のオンラインでの採用のご相談をご利用ください。
参考文献