高卒初任給の相場(最新)|令和8年3月卒の全国計は21.3万円、5つの公表データと最低賃金で確認

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自社の高卒初任給を、どの数字と比べればよいのか。検索すると「21万円台」「20万円前後」「18万円台」など、見る資料によって金額が違い、判断しにくいと感じる採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。求人票の月給欄を決める場面や、採用計画の資料をまとめる場面で、こうした迷いが出ることがあります。

本記事では、令和8年3月卒(2026年3月卒)の実績を中心に、5つの公表データの高卒初任給を定義・対象・時点ごとに並べます。あわせて、産業別・企業規模別の差、推移、令和8年度最低賃金による月給の確認方法を整理します。初任給の引き上げを勧めるものではなく、自社の金額を位置づけるための判断材料を提供することが目的です。

なお、高卒採用は学校やハローワークを通じて進めることが前提です。本記事は賃金の水準と表示の確認に絞って扱い、選考や応募の手続きには踏み込みません。

結論:令和8年3月卒の高卒初任給は全国計213千円。調査により18万円台〜21万円台と幅があり、定義・対象・時点をそろえて比べる

労働局集計の令和8年3月卒の高校卒は全国計213千円で、調査によって18万円台から21万円台まで幅があるため、定義・対象・時点をそろえて比べる必要があります。主な5つのデータを並べると、次のとおりです。

データ名 対象 時点 高卒初任給 定義のポイント
A 労働局集計「新規学卒者初任給情報(確定版)」 3〜4月に雇用保険の資格を取得した新規学校卒業者(高校卒95,918人) 令和8年3月卒 全国計213千円 各種手当を含み、超過勤務手当・賞与等は含まない。4月1日現在18歳の者を高校卒とみなす
B 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(令和7年) 10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所 令和7年6月分 207.3千円(新規学卒者・高校) 所定内給与額(時間外・深夜・休日出勤・宿日直・交替手当を除く、税控除前)
C 労務行政研究所 初任給調査(速報) 東証プライム上場企業205社 2026年度(2026年4月) 217,981円(高校卒・一律設定) 時間外手当・通勤手当を除く諸手当込みの所定内賃金。固定残業代は除いて集計
D 産労総合研究所 決定初任給調査 約3,000社を対象に調査し、回答のあった294社を集計 2026年度 21万円台(高校卒・一律) 前年からの増加率は6.56%。大企業・中堅企業・中小企業を含む
E 全国中小企業団体中央会 中小企業労働事情実態調査 中小企業(全国値) 令和7年7月1日時点 技術系189,667円、事務系184,481円(高校卒・加重平均) 令和7年度の新規学卒者の初任給

同じ「高卒初任給」でも、手当を含むか、大企業中心か、いつの値かによって意味が変わります。Dは公表ページの中に「21万814円」と「21万1,814円」の2通りの表記があるため、本記事では21万円台としています。

調査ごとに高卒初任給の金額が違う3つの理由

金額の差は、主に「対象企業」「時点」「金額の定義」の3点から生じると考えられます。ただし、どの差がどれだけ効いているかは、公表資料から分解できません。

対象企業の違い

Cは東証プライム上場企業、Dは規模の異なる企業を含む集計、Eは中小企業が対象です。Bは10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所で、Aは雇用保険の資格取得届が出された新規学校卒業者全体を集計しています。後述するとおり、Aの規模別の表では規模が大きい区分ほど金額が高い傾向が見られるため、対象に大企業が多い調査ほど平均が高く出る場合があります。

時点の違い

Bは令和7年6月分の賃金です。Eは令和7年7月1日時点で、令和7年度に採用された新規学卒者の初任給を加重平均した値です。A・C・Dは、2026年4月入社(令和8年3月卒)の初任給を扱っています。一年違えば水準が変わる可能性があるため、何年卒の値かを確認してから並べます。

金額の定義の違い

Aは毎月決まって支払われる各種手当・現物給与を含み、超過勤務手当・賞与・その他臨時の給与は含みません。初任給額は資格取得届の賃金月額欄の額の算術平均です。また、学歴そのものではなく、4月1日現在18歳の者を高等学校卒とみなして集計している点にも注意が必要です。Bは所定内給与額、Cは諸手当込みで固定残業代を除いた所定内賃金です。Dは「一律」で設定している企業の値を示しています。職種ごとに金額を分けている企業は、この「一律」の値とは別に扱われます。

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公表データ①:令和8年3月卒の実績を産業別・職業別に見る(労働局集計)

労働局集計(A)では全国計が213千円で、下表に掲げた産業では203千円から222千円の範囲に分布しています。教育・学習が203千円と最も低く、鉱業が222千円、建設が220千円と高い側です。公務・その他は掲載していません。なお、区分によって集計人数に大きな差があり、人数の少ない区分の値は年によって振れやすい点に留意してください。

産業(高校卒) 初任給(千円)
鉱業 222
建設 220
電気・ガス 216
飲食・宿泊 216
運輸 215
不動産 215
学術研究 215
情報通信 214
サービス 214
製造 213
卸売・小売 211
農林漁業 211
金融・保険 210
生活関連・娯楽 210
医療・福祉 206
複合サービス 205
教育・学習 203

職業別(高校卒)のうち主な区分は次のとおりです(管理的職業219千円、農林漁業の職業206千円は表から省いています)。

職業(高校卒) 初任給(千円)
保安 225
専門・技術的 216
運輸・通信 216
販売 214
サービス 214
生産工程・労務 213
事務的 211

産業や職業によって差が出ている理由は、公表データからは分かりません。自社の産業・職種に近い区分の値を、位置づけの参考にするにとどめるのが無理のない使い方です。

公表データ②:労働局集計では企業規模による差が大卒より小さい

Aの事業所規模別では、高校卒は4人以下の205千円から1,000人以上の218千円まで13千円の差です。同じ表の大学卒は、4人以下237千円、1,000人以上265千円で、差は28千円です。

事業所規模(A・令和8年3月卒) 高校卒(千円)
4人以下 205
5〜29人 209
30〜99人 209
100〜299人 212
300〜499人 214
500〜999人 217
1,000人以上 218

Dの規模別(高校卒・一律)は、大企業22万1,783円(前年から+6.78%)、中堅企業21万3,510円(+7.46%)、中小企業20万2,523円(+5.44%)です。企業規模の区分は調査ごとに異なります。Aは事業所の人数、Dは企業規模の区分で、そのまま同じ線上には並べられません。

中小企業に絞った値では、Eが技術系189,667円(対象者1,839人)、事務系184,481円(550人)です。東京都の令和7年「中小企業の賃金事情」調査では、都内中小企業(従業員10〜299人)の高校卒初任給が208,783円で、同調査で過去最高額とされています。同じ中小企業でも、調査の範囲や時点、地域によって金額が違います。地域別最低賃金も都道府県により異なるため、自社の所在地の状況とあわせて見ることになります。

公表データ③:推移と地域の例

賃金構造基本統計調査(B)の新規学卒者(高校)は、令和6年の197.5千円(対前年+5.7%)から、令和7年は207.3千円(+5.0%)と、2年続けて5%台の伸びでした。令和7年は男210.1千円、女202.9千円です。参考として、大学は262.3千円です。

労働局の集計から、地域の例を2つ挙げます。香川労働局管内の高校卒の初任給は、次のように推移しています。

卒業年 香川管内の高卒初任給(千円)
令和1年3月卒 172
令和2年3月卒 174
令和3年3月卒 177
令和4年3月卒 179
令和5年3月卒 183
令和6年3月卒 188
令和7年3月卒 199
令和8年3月卒 211

香川管内の令和8年3月卒は1,087人・211千円です。新潟労働局管内(新潟県計)の令和8年3月卒の高校卒は1,708人・208千円で、全国計の213千円とは地域により差があります。なお、香川と新潟の差の理由も、公表データからは分かりません。

求人の動きを示す報道もあります。労働新聞が東京・神奈川の高校を対象に実施した独自調査では、2027年3月卒(令和9年3月卒)の高卒求人の初任給は技術・技能系で前年比1.5万円増の23.2万円でした。この調査は東京・神奈川の求人が対象で、全国の水準を示すものではありません。独自調査であり、公的統計とも性格が異なるため、参考にとどめてください。今後の動きについては、公表データからは断定できません。

求人票の月給は令和8年度最低賃金で確認する

所在地や所定労働時間によっては、最低賃金から計算した月額の下限が高卒初任給の公表値に近づく場合があるため、入社時点で効力のある地域別最低賃金を下回らないか、自社の所定労働時間で確認しておきます。

厚生労働省の令和8年度最低賃金額答申(2026年9月3日)では、全国加重平均が1,177円で、昨年度の1,121円から56円の引上げです。最高額は1,280円(東京都は令和8年10月1日発効)、最低額は1,085円で、令和8年10月1日から12月2日までの間に都道府県ごとに順次発効します(10月1日発効の地域では、すでに新しい額が適用されています)。額も発効日も都道府県により異なるため、自社の所在地のものを確認してください。

確認の式は、厚生労働省の案内では次のとおりです。

  • 月給の場合:月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 時間外手当、深夜割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは、月給から差し引いて計算します

以下は編集部の試算です。1か月平均所定労働時間が160時間の場合、最低賃金の対象となる賃金の月額の下限は次のとおりです。

地域 最低賃金(時間額) 160時間の場合の月額の下限(編集部試算)
東京都 1,280円 204,800円
最低額の県 1,085円 173,600円

所定労働時間は企業ごとに異なるため、実際には自社の時間で計算してください。東京都の試算額204,800円は、Aの全国計213千円との差が1万円に満たない水準です。ただし、Aの213千円は各種手当を含む額で、通勤手当や家族手当などを差し引く最低賃金の確認とは、金額の範囲が異なります。

もう一点、確認しておきたいことがあります。令和9年3月卒の求人は、ハローワークでの求人申込書の受付が令和8年6月1日から始まっています(厚生労働省)。そのため、申込時に記載した賃金が、10月以降に発効する最低賃金額を下回る可能性があります。下回る場合の求人票の扱いは、申込先のハローワークに相談してください。

固定残業代を含める場合は3点を明示する

固定残業代込みの金額は、手当を除いて集計するCなどの調査とそのまま比べられません。固定残業代を賃金に含める場合、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット(若者雇用促進法に基づく指針)では、募集要項・求人票に次の3点をすべて明示するとしています。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、割増賃金を追加で支払う旨

参考として、労働新聞の東京・神奈川の独自調査では、固定残業代を含む高卒求人が全体の22.0%でした。Dでは、基本賃金に固定残業代を含む企業が6.5%ですが、この値は高卒に限らない全体の値です。対象が異なるため、2つの数値は並べて比べられません。

求人票の書き方の一般論は、高卒採用の求人票の書き方で扱っています。

自社の高卒初任給を公表値と比べるときの確認表

比較の前に次の項目をそろえておくと、条件の違う数字を並べてしまうことを避けやすくなります(編集部の整理です)。

確認項目 確認する理由
手当を含むか(所定内給与か賃金月額か) Aは各種手当を含む賃金月額、Bは所定内給与額で、集計する範囲が違うため
固定残業代の扱い Cは除いて集計しており、含めると金額が高く見えるため
一律設定か、職種別か C・Dは一律設定の値で、職種別の金額とは単純に比べられないため
比較対象の規模区分 A(事業所の人数)とD(大企業・中堅・中小)で区分が違うため
時点(実績か予定か、何年卒か) 令和8年3月卒の実績と、2027年3月卒の求人では意味が違うため
所在地の最低賃金と所定労働時間 最低賃金は都道府県により異なり、月給を時間額に直して確認するため
入社後の賃金カーブ 初任給だけでは、その後の水準の見え方までは分からないため

入社後の賃金の見え方については、Bの高校卒(一般労働者・男女計)の年齢階級別の所定内給与額が参考になります。

年齢階級(高校卒・男女計) 所定内給与額(千円)
〜19歳 209.4
20〜24歳 225.2
25〜29歳 251.7
30〜34歳 276.2

これは、その年に各年齢層にいる労働者の平均を集計した断面データで、新卒に限った値ではなく、同じ人の昇給を追った数値ではありません。「今年の新入社員が数年後にこの金額になる」と読むことはできない点に注意してください。

まとめ:高卒初任給は「同じ定義・同じ時点」の数値で比べ、最低賃金と固定残業代の表示も確認する

本記事の要点は次の3つです。

  • 令和8年3月卒の高卒初任給は、労働局集計で全国計213千円です。調査により18万円台から21万円台と幅があり、対象・時点・定義が異なります。
  • 産業別・規模別・地域別の差は公表値に表れていますが、理由は公表データからは分かりません。Aの事業所規模別で見ると、規模による差は高卒(13千円)のほうが大卒(28千円)より小さい結果です。
  • 求人票の月給は、自社の所定労働時間で令和8年度最低賃金(都道府県により異なる)を下回らないかを確認し、固定残業代を含める場合は3点を明示します。

自社の高卒求人の賃金表示や採用スケジュールの組み方を整理したい場合は、採用のご相談からお問い合わせください。

関連する記事として、高卒採用スケジュール2027卒、高卒求人を10月以降に申し込む場合、高卒の早期離職の理由があります。大卒の水準は大卒初任給のデータ解説で整理しています。

参考にした公開データ

(確認日:2026年10月30日)

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FAQ

よくある質問

Q1
2026年の高卒初任給の平均はいくらですか。
調査によって異なります。労働局集計の令和8年3月卒(2026年3月卒)の全国計は213千円、賃金構造基本統計調査(令和7年6月分)の新規学卒者(高校)は207.3千円、労務行政研究所の東証プライム上場企業の速報(高校卒・一律設定)は217,981円です。対象企業や金額の定義が違うため、比べる際は条件をそろえる必要があります。
Q2
高卒初任給が最低賃金を下回っていないかはどう確認しますか。
厚生労働省の案内では、月給の場合「月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」で確認します。時間外手当や深夜割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは差し引いて計算します。令和8年度の最低賃金額は都道府県により異なり、令和8年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。入社時点で効力のある額で確認してください。
Q3
固定残業代を含めて初任給を表示してもよいですか。
固定残業代を賃金に含める場合は、求人票に、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、固定残業時間を超える時間外労働等に対して割増賃金を追加で支払う旨の3点を明示します。手当を除いて集計する調査とは、そのまま比べられません。

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