「9月16日の選考開始を過ぎてしまったが、今からでも高卒求人を出せるのか」。秋になってから高卒採用を検討し始めた企業や、すでに求人を出していて追加の募集を考えている企業では、こうした迷いが出ることがあります。
結論から言うと、高卒求人は10月以降でも申し込めます。ただし、申込前に次の2点を理解しておく必要があります。①一度出した求人は、原則として取り消せず、募集人員も減らせないこと。②9月の一人一社の時期とは、前提が変わっていること。
この記事は、令和9年3月卒(2027年3月卒)を対象に、秋以降に初めて、または追加で高卒求人を出す場合に絞って整理します。期日の全体像は高卒採用スケジュール2027卒で扱っています。
結論:10月以降も申し込めるが、「取り消せない求人」を「前提が変わった時期」に出すと理解して準備する
令和9年3月卒の高卒求人は、受付期間の設定がなければ令和9年6月30日まで有効で、途中の取消や人数の削減は原則できません。秋以降は9月の一人一社の時期とは状況が違います。
- 有効期間は卒業後の6月末まで続く(ハローワーク品川・上野の案内)
- 大卒・中途で人が採れたことを理由に、取消や削減はできない(ハローワーク青梅・品川の案内)
- 前年度(令和8年3月卒)の全国値では、9月末時点で、学校・ハローワークの紹介を希望した生徒の6割強が内定済み。申込時期によって、反応は変わりうる
どの点も、管轄のハローワークで運用が異なる場合があります。申込前に管轄の案内を確認してください。
10月以降でも高卒求人は出せる|有効期間は令和9年6月30日まで
求人申込の受付開始日は6月1日と決まっていますが、ハローワーク品川・上野の案内では有効期間が令和9年6月30日までとされています。この記事で確認した案内には受付の締切日は示されておらず、秋以降に申し込む場合も、有効期間は同じ6月30日までです。実際の受付の扱いは、申込前に管轄のハローワークで確認してください。
令和9年3月卒の期日と「10月以降」の位置づけ
厚生労働省が2026年2月16日に公表した、令和9年3月卒の採用選考期日は次のとおりです(厚生労働省)。「10月以降」の行は、各労働局の案内をもとに編集部が整理した例です。
| 時期 |
内容 |
出典・備考 |
| 6月1日 |
ハローワークの求人申込書受付開始 |
厚生労働省 |
| 7月1日 |
企業の学校への求人申込・学校訪問開始 |
厚生労働省 |
| 9月5日(沖縄県は8月30日) |
学校から企業への応募書類提出開始 |
厚生労働省 |
| 9月16日 |
選考開始・採用内定開始 |
厚生労働省 |
| 10月以降 |
複数応募が可能になる地域がある(都道府県により異なる) |
東京労働局・愛知労働局など |
| 令和9年6月30日 |
受付期間の設定がない場合の有効期限 |
ハローワーク品川・上野 |
有効期間は卒業後の6月末まで続く
有効期間は3月の卒業をまたいで、令和9年6月30日まで続きます。ハローワーク青梅の「令和8年度 高卒採用ルールチェックリスト」(ハローワーク青梅)も、途中で充足しない限り令和9年6月30日までとしています。卒業後の応募の扱いなど詳細は管轄で異なる場合があるため、確認が必要です。就業開始は卒業日の翌日以降で、入社前に研修等で呼び出すことはできません(ハローワーク青梅)。
求人票が学校に届くまでの流れ
ハローワークで求人を受理してもらい、確認印のある求人票の写しを学校へ送付する流れです。ハローワーク青梅は、マイページから印刷したものは学校への送付に使えないとしています。受理から返戻までにかかる日数は、申込前に管轄のハローワークで確認しておくと、学校へ連絡できる時期の見通しが立てやすくなります。
また青梅のチェックリストは、当該年度の初回の求人申込時に、学卒求人受理説明会への参加、または東京労働局のホームページにある動画「新規学校卒業者の採用について」の視聴を申込前に行うよう求めています。これは東京のハローワークの例で、他の地域で申込前に求められる確認は管轄により異なります。初めて出す企業は、まず管轄で求められている確認から始めます。
申し込む前に確認したい「取り消せない」制約
高卒求人は高校生専用枠のため、大卒や中途で人が採れたことを理由に取り消したり、人数を減らしたりすることはできません。募集の中止・人員の削減も原則できないため、人数と条件を確定させてから出してください。
原則できないこと
次の表は、各ハローワークの案内を整理したものです。
| 内容 |
扱い |
出典 |
| 募集の中止 |
原則できない |
ハローワーク品川(令和9年3月卒) |
| 募集人員の削減 |
原則できない |
ハローワーク品川、ハローワーク上野(有効中の求人は原則取り下げ・人数変更不可) |
| 大学生の採用・中途採用を理由にした取消・削減 |
できない |
ハローワーク青梅(令和8年度チェックリスト) |
| 求人者マイページからの内容訂正・取消 |
できない |
ハローワーク名古屋中 学卒部門(R8.4作成) |
ハローワーク品川は、求人内容を確定させた状態で申し込むよう案内しています(ハローワーク品川)。
できる手続き
一方で、所定の届出で対応できる手続きもあります。名古屋中の案内をもとに、できないこととの違いを整理しました(編集部が整理した例です)。
| やりたいこと |
できる手続き(名古屋中の例) |
| 記載内容を訂正・変更したい |
「学卒求人内容(訂正・変更)届」を提出 |
| 採用が決まり募集を終えたい |
「求人(高卒)充足による募集終了届」を提出 |
| 充足以外の理由でやむを得ず中止・削減したい |
事前に相談 |
| 推薦依頼校を追加したい |
新たな「推薦依頼高校一覧」に高校名と推薦希望人数を記入して提出 |
様式の名称は名古屋中の例です。管轄によって様式や手続きが異なる場合があるため、申込先のハローワークで確認してください(ハローワーク名古屋中)。
秋以降に人数を決めるときの考え方
秋の申込では、目の前の欠員を埋める感覚で人数を決めると、後から人数を見直せない点が負担になる場合があります。次の観点で確認する方法が考えられます(編集部の整理です)。
- その人数を、卒業後の6月末まで受け入れ続けられるか
- 入社までの期間と入社後の教育担当者を配置できるか
- 大卒・中途の採用状況が変わっても、減らさずに維持できるか
時期によって何が違うか|9月の一人一社期と10月以降の違い
前年度の全国値では、9月末時点で、学校・ハローワークの紹介を希望した生徒の63.4%が内定済みでした。秋以降は、進路が決まっていない生徒と、複数応募が可能になった生徒が主な対象になると考えられ、反応は申込時期によって変わりうると考えられます(編集部の推測であり、実績ではありません)。
前年度9月末の数字
次の表は、令和8年3月卒(前年度)の9月末現在の全国値です。令和9年3月卒の数字ではなく、前年度の参考値です(厚生労働省・令和7年12月26日更新)。
| 項目 |
令和8年3月卒・9月末現在 |
| 求人数 |
約48万3千人 |
| 求職者数 |
約12万3千人 |
| 求人倍率 |
3.94倍 |
| 就職内定率 |
63.4% |
対象は学校・ハローワークの紹介を希望した生徒です。求人倍率が3.94倍ということは、求人数が求職者数を大きく上回る状況です。そのうえで、9月末時点で6割強が内定済みである点は、秋以降に求人を出す際の前提になります。応募書類の提出は9月5日から始まるため、9月に応募する先は、それより前に学校で検討されることが多いと考えられます。10月以降に届いた求人は、この9月の検討の対象に入っていない場合があります。
複数応募の解禁時期は都道府県により異なる
複数応募が可能になる時期は、都道府県により異なります。
| 地域 |
運用(令和9年3月卒) |
出典 |
| 東京 |
9月5日からは1人1社まで、10月1日以降は1人2社まで応募・推薦が可能 |
東京労働局の申し合わせ(令和8年3月27日発表) |
| 愛知 |
指定校求人への応募・推薦は10月31日までは一人一社制、11月1日以降は一人二社まで |
愛知労働局 |
広島県のハローワーク庄原の案内(ハローワーク庄原・年度表記のない資料)にも、10月から複数の会社への応募が可能になるという記載があります。他の地域は管轄の労働局・ハローワークで確認してください。制度の趣旨は高卒採用の一人一社制とはで整理しています。
申込時期別に意識したいこと
次の表は、一次情報で確認できた範囲をもとに、申込時期別に意識したい点を整理したものです(編集部が整理した例です)。反応の大小を示すものではありません。
| 申込時期 |
生徒側の状況(一次情報で言える範囲) |
企業側で意識したいこと |
| 10月 |
東京など一部の地域で複数応募が可能になる(愛知の指定校求人は10月31日まで一人一社制) |
学校への連絡を早めに行い、応募があれば速やかに選考日程を通知する |
| 11〜12月 |
愛知の指定校求人でも複数応募が可能になる。そのほかの地域は管轄で確認 |
複数応募が可能な地域が広がるため、選考結果の通知を遅らせない(愛知は原則7日以内、青梅は極力7日以内、いずれも学校経由) |
| 1月以降 |
有効期間は令和9年6月30日まで続く |
卒業日の翌日以降の就業開始を前提に、入社までの連絡を学校窓口で調整する。卒業後に応募があった場合の扱いは管轄で確認する |
秋以降に初めて高卒求人を出す企業の手順
管轄のルールを確認し、人数と条件を確定させてから申し込み、確認印のある写しで学校へ連絡するのが基本の順番です。
- 説明会への参加、または東京労働局の動画視聴(管轄により異なる)でルールを確認する
- 管轄の複数応募の時期と、有効期間(令和9年6月30日まで)を確認する
- 人数と条件を確定させる(取消・削減が原則できないため)
- 求人票を作成し、ハローワークに申し込む
- 確認印のある求人票の写しを、学校の進路指導部あてに送付し、連絡する
- 応募があれば、速やかに選考日程を通知し、面接を行う
学校との連絡は進路指導部が窓口です。庄原の案内は内定通知について「生徒宛に連絡は行わないでください」としており、青梅のチェックリストも、内定後の生徒との連絡や入社案内資料の送付は学校を窓口として行うよう求めています。秋以降に出す場合も、生徒への連絡はすべて学校を通じて行います。学校訪問は高卒採用の学校訪問のやり方、求人票の書き方は高卒求人票の書き方で扱っています。
すでに求人を出している企業が秋以降に追加・変更する場合
推薦依頼校の追加や記載内容の訂正は所定の届出で対応でき、マイページからはできません(名古屋中の例)。人数を減らす、取り下げる方向の変更は原則できません。
推薦依頼校を追加する
名古屋中の案内では、新たな「推薦依頼高校一覧」に高校名と推薦希望人数を記入して提出します。様式は管轄で異なる場合があります。
求人内容を訂正・変更する
名古屋中の案内では、内容の訂正・変更は「学卒求人内容(訂正・変更)届」で行い、求人者マイページからは訂正も取消もできないとされています。訂正は届出で受け付けてもらえる場合でも、求人票がすでに学校に届いていれば、学校側で古い内容を見ている可能性があります。訂正後の写しをどう学校に届けるかも、あわせてハローワークに確認しておくと安心です(編集部の整理です)。
別の職種で追加募集する場合
別の職種で追加募集する場合に、新たな求人として申し込む形になるかどうかは、管轄で扱いが異なる可能性があります。申込前に管轄のハローワークで確認してください。
9月以降の内定状況報告
ハローワーク上野は、9月以降は採用内定があった月に「新規高卒者採用内定状況報告書」を翌月5日までに提出するよう案内しています(ハローワーク上野)。すでに求人を出している企業は、報告の期限を忘れないようにします。
10月以降に応募書類が届いたときの対応
複数応募が可能になった地域では、生徒が他社の選考と並行している場合があります。選考日程と結果の通知を速やかに行ってください。
選考に関する主なルールは次のとおりです(ハローワーク青梅のチェックリスト、愛知労働局)。
- 応募書類は全国高等学校統一用紙の履歴書・調査書のみ
- 選考は面接を行い、求人票にない選考方法は使えない
- 採否は学校及び学校を通じて本人へ書面で通知する(青梅は極力7日以内、愛知労働局は原則7日以内)
庄原の案内(年度表記のない資料)では、応募書類の到着時期により取扱いが異なること、応募があれば速やかに選考日程を通知し選考することが示されています。面接の質問は高卒採用の面接質問例20で整理しています。
申込前チェックリスト(10月以降に出す場合)
次の項目に答えられない場合は、申込を急がず、管轄のハローワークに確認してください。以下は編集部が整理した例です。
まとめ:10月以降も申し込めるが、取り消せない前提で準備する
高卒求人は10月以降も申し込めます。有効期間は、受付期間の設定がなければ令和9年6月30日までです。途中の取消や人数の削減は原則できないため、人数と条件を確定させてから出すことが基本になります。前年度の全国値では、9月末時点で6割強が内定済みで、申込時期によって反応が変わりうる点も踏まえておくとよいでしょう。複数応募の時期は都道府県により異なります。
自社の採用対象地域のルールに合わせて、秋以降の求人の出し方や人数の決め方を整理したい場合は、採用のご相談からお問い合わせください。時期ごとの確認事項を手元で整理したい場合は、高卒採用スケジュール&求人票チェックリストもご利用ください。