高卒新入社員の18歳未満雇用の注意点|年少者に当たる場面と労働基準法の制限

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「高卒の新入社員は18歳未満だから、深夜や残業はさせられないのでは」。シフトを作る場面や配属を決める場面で、こうした迷いが出ることがあります。

本記事では、高卒の新入社員が18歳未満に当たる場面、当たる場合の労働基準法の制限、入社時点での確認手順を整理します。結論から言うと、標準的な年齢で卒業していれば、4月1日入社の時点で満18歳に達しているのが通常です。

なお、高卒採用は学校やハローワークを通じて進めることが前提です。本記事は入社後の労務に絞り、選考や応募の手続きには踏み込みません。

結論:4月1日入社の高卒新入社員は通常18歳以上。18歳未満が生じるのは限られた場面で、就業開始日時点の生年月日で確認する

標準的な年齢で令和9年3月(2027年3月)に高校を卒業した人は4月1日時点で満18歳に達しているため、4月1日入社であれば年少者規定は通常かかりません。

  • 18歳未満が生じうるのは、卒業後の3月中に就業を始める場合、中学卒業者や高校中退者を採用する場合、定時制・通信制などに在学しながら働く人を雇用する場合などです。
  • 該当する人がいれば、深夜業・時間外労働・危険有害業務などの制限と、年齢証明書の備付けが必要になります。

労働基準法上の年少者とは、満18歳に満たない者を指します。高校生かどうかではなく、年齢で判断します(長野労働局のハンドブック、厚生労働省のリーフレット「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」R8.4)。

標準的な年齢で卒業した高卒新卒が4月1日時点で18歳に達している理由

法律上の年齢は誕生日の前日の終わりに1つ加わるため、学年で最も遅い4月1日生まれの人も、卒業直後の3月31日の終わりに満18歳になります。

年齢は出生日から起算し(年齢計算ニ関スル法律)、誕生日の前日の終了で1歳加わります。これと学校教育法17条1項の就学時期の定めが組み合わさり、4月1日生まれの人は早い学年に入ります(神戸新聞の弁護士解説記事)。

次の表は、この仕組みをもとにした編集部の計算です。

項目 内容
令和9年3月卒の標準的な生年月日の範囲 2008年4月2日〜2009年4月1日
2027年4月1日時点の年齢 満18歳
範囲で最も遅い2009年4月1日生まれの人 2027年3月31日の終わりに満18歳

労働局の新規学卒者初任給の集計でも、「4月1日現在18歳の者を高等学校卒とみなす」扱いがあります(香川労働局 令和8年3月卒 確定版)。

ただし、入学や卒業の時期が標準と異なる人もいます。学年から推測せず、応募書類の生年月日で確認してください。

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高卒採用で18歳未満の従業員が生じうる場面

卒業日の翌日以降の3月中に就業を始める場合や、中学卒業者・高校中退者を採用する場合などは、就業開始時点で18歳未満の人がいる可能性があります。

場面 18歳未満になりうる理由 確認すること
卒業日の翌日以降、3月中に就業を始める 3月中は、就業開始日より後に18歳の誕生日を迎える人がまだ17歳の場合があります 就業開始日時点の年齢
中学卒業者・高校中退者を採用する 卒業・退学の時期によって15〜17歳の場合があります 生年月日と就業開始日
定時制・通信制などに在学しながら働く人を雇用する 在学中は18歳未満の場合があります。卒業時期は学校により異なります 生年月日と、学校を通じた卒業予定日の確認

就業開始は卒業日の翌日以降とされ、入社前に研修等で呼び出すことはできません(ハローワーク青梅「令和8年度 高卒採用ルールチェックリスト」)。細かな運用は管轄のハローワークや都道府県により異なる場合があるため、申込先で確認してください。

編集部の計算例:3月16日に就業を始める場合、2009年3月17日〜4月1日生まれの人は、その日の時点で17歳です(誕生日の当日から18歳になります)。

入社日の決め方そのものは、高卒求人を10月以降に申し込む場合で扱っています。定時制・通信制の生徒については、定時制・通信制の生徒の採用を参照してください。

18歳未満に適用される労働基準法の主な制限

18歳未満の従業員には、時間外・休日労働と変形労働時間制の制限、深夜業の禁止、危険有害業務の就業制限、年齢証明書の備付けなどが加わります(長野労働局のハンドブック、厚生労働省のリーフレットR8.4)。

条文 内容
56条 最低年齢。満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童は、原則として使用できません
57条 年齢証明書を事業場に備え付けます
58条 労働契約は未成年者本人と結びます。親権者・後見人が代わって結ぶことはできません。未成年者に不利な契約は、親権者・後見人・労働基準監督署長が将来に向かって解除できます
59条 未成年者は独立して賃金を請求でき、親権者等が代わりに受け取ることはできません
60条 時間外・休日労働と変形労働時間制の制限
61条 深夜業の制限
62条 危険有害業務の就業制限
63条 坑内労働の禁止
64条 帰郷旅費。解雇の日から14日以内に帰郷する場合、必要な旅費を負担します。本人の責めに帰すべき事由で解雇し、行政官庁の認定を受けた場合を除きます

時間外・休日労働と変形労働時間制(60条)

60条1項は、32条の2〜32条の5(変形労働時間制・フレックスタイム制等)、36条(時間外・休日労働の協定)、40条、41条の2を、満18歳に満たない者に適用しないと定めています。そのため、36協定を結んでいても、18歳未満には時間外・休日労働をさせられません。例外は、災害その他避けることのできない事由で臨時の必要がある場合(33条1項)で、所轄の労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)によります。

15歳以上18歳未満(15歳に達した日以後の最初の3月31日までを除く)には、60条3項の特例があります。

  • 週40時間の範囲内で1日を4時間以内に短縮する場合に、他の日を10時間まで延長できます。
  • 週48時間・1日8時間を超えない範囲で、1か月単位・1年単位の変形労働時間制の例によることができます。

深夜業(61条)

午後10時から午前5時までの使用は、原則として禁止されています。例外は次のとおりです。

  • 交替制で使用する満16歳以上の男性(1項)
  • 交替制で労働させる事業で、行政官庁の許可を受けて午後10時30分まで、または午前5時30分から使用する場合(3項)
  • 33条1項により労働時間を延長し、または休日に労働させる場合と、別表第一第6号・第7号・第13号の事業、電話交換の業務(4項。これらには1〜3項が適用されません)

本人が了承していても例外にはなりません。法律上の例外は、条文に定められたものに限られます。自社が例外に当たるかどうかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

危険有害業務・重量物(62条・63条)

重量物については、次の重量以上を取り扱う業務に就かせることが禁止されています(長野労働局のハンドブック)。

年齢 性別 断続作業 継続作業
満16歳未満 女 12kg以上 8kg以上
満16歳未満 男 15kg以上 10kg以上
満16歳以上満18歳未満 女 25kg以上 15kg以上
満16歳以上満18歳未満 男 30kg以上 20kg以上

危険有害業務としては、ハンドブックやリーフレットに次のような例が載っています。

  • ボイラーの取扱い、溶接
  • クレーン・デリック等の運転、玉掛け(補助作業者を除く)
  • 最大積載量2トン以上の貨物自動車の運転
  • 運転中の原動機等の掃除・給油・検査・修理
  • 動力プレス機械の金型やシャーの刃部の調整・掃除
  • 高さ5m以上で墜落のおそれのある場所での業務
  • 足場の組立・解体(地上・床上の補助作業を除く)
  • 深さ5m以上の地穴や、土砂崩壊のおそれのある場所での業務
  • 動力で駆動される土木建築用機械の運転
  • 有害物・危険物の取扱い、著しく暑熱・寒冷な場所、強烈な騒音
  • 酒席に侍する業務、特殊の遊興的接客業、坑内労働など

年齢証明書・労働契約・帰郷旅費(57・58・59・64条)

年齢証明書は、戸籍証明書等を事業場に備え付けます。住民票記載事項の証明書で差し支えないとされています(長野労働局のハンドブック)。

成年年齢は2022年4月から18歳になりました(ハンドブックの区分では、未成年者は18歳未満です)。そのため、58条・59条の未成年者の保護は、18歳以上の新入社員には適用されません。一方、雇入れ時の安全衛生教育(労働安全衛生法59条)は、年齢にかかわらず必要です(リーフレット)。

業種別に照合したい業務の例

18歳未満の従業員がいる場合は、配属予定の業務を年少者の就業制限の一覧と照らし合わせます。以下は一覧から編集部が業種ごとに抜き出した例で、該当の判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

業種 照合したい業務の例 確認のポイント
製造業 動力プレスの金型調整・掃除、運転中の機械の掃除・給油・検査・修理、ボイラー・溶接、重量物 配属ラインの作業内容を個別に確認する
建設業 高さ5m以上の場所、足場の組立・解体、土木建築用機械の運転、深さ5m以上の地穴 現場配属前に作業範囲を確認する
物流・運輸 最大積載量2トン以上の貨物自動車の運転、クレーン等の運転・玉掛け、重量物 荷物の重量と、作業が断続か継続かを確認する
飲食・小売 午後10時以降のシフト、酒席に侍する業務 18歳の誕生日の前日までは、シフトの22時〜翌5時に入れない設定にする
介護・医療など 深夜業 61条4項は別表第一第13号の事業を適用除外としているが、自社の事業が該当するかは所轄の労働基準監督署に確認する

表は代表例であり、業務の一覧を網羅したものではありません。

18歳以上の新入社員でも残る年齢の制限

18歳になれば年少者規定はかかりませんが、飲酒の年齢制限や中型・大型免許の取得要件など、別の法律による年齢要件は残ります。

  • 飲酒:2022年4月から成年年齢は18歳に引き下げられましたが、飲酒の年齢制限は20歳のままです(国税庁「20歳未満の者の飲酒防止の推進」)。歓迎会や懇親会で、18歳・19歳の新入社員に飲酒をすすめない配慮が必要です。
  • 運転免許:中型免許は20歳以上で、準中型・普通・大型特殊のいずれかの経歴が通算2年以上、大型免許は21歳以上で通算3年以上が受験資格です(警視庁「受験資格」)。そのため、高卒の新入社員が入社後すぐに中型・大型トラックを運転できるとは限らず、物流・運輸の職種では、免許取得の時期を含めた配属計画を立てておくことになります。受験資格の特例(特例教習)もあるため、詳細は各都道府県警察で確認してください。
  • 労働時間:18歳以上でも、36協定・割増賃金・休憩など一般の労働時間のルールは当然適用されます。

年齢による制限で、入社直後の配属先や担当業務が求人票の説明と一時的に異なる場合は、その理由と期間を本人に説明しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。離職の背景は、高卒の早期離職の理由で整理しています。

入社時点で確認する手順(チェックリスト)

採用選考で戸籍謄本等を求めずに、応募書類の生年月日から就業開始日時点の年齢を確認し、18歳未満の人がいる場合だけ年齢証明書の備付けとシフト・配属の調整を行います。

大阪労働局は、採用選考で戸籍謄(抄)本や本籍地が記載された住民票(写し)の提出を求めないよう求めています。そのため、選考段階の年齢の確認は、応募書類に記載された生年月日で行うのが無理のない方法です(編集部の整理)。年少者を雇い入れた後に備え付ける年齢証明は、住民票記載事項の証明書で足りるとされています(長野労働局)。

  • 就業開始日を決める
  • 生年月日から、就業開始日時点の年齢を確認する
  • 18歳未満の場合は、18歳の誕生日を記録する
  • 年齢証明書(住民票記載事項の証明書)を事業場に備え付ける
  • 18歳の誕生日の前日までは、シフトから22時〜5時と時間外・休日労働を外す(例外は本文の該当節を参照)(勤怠システムでの警告設定も一案)
  • 配属業務を就業制限の一覧と照合する
  • 判断に迷う点は、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認する

高卒採用の時期全体は、高卒採用スケジュール2027卒で確認できます。

まとめ:高卒新入社員の年齢は就業開始日で確認し、年少者規定は18歳未満がいる場合に当てはめる

本記事の要点は次の3つです。

  • 標準的な年齢で令和9年3月に卒業した人は、4月1日時点で満18歳に達しており、年少者規定は通常かかりません。
  • 3月中の就業開始や中学卒業者・高校中退者の採用などでは18歳未満の人が生じる場合があり、その場合は時間外・休日労働、深夜業、危険有害業務の制限と年齢証明書の備付けが必要です。
  • 年齢は、採用選考で戸籍謄本等を求めず、応募書類の生年月日から就業開始日時点で確認します。

年少者の就業制限の確認や配属の整理も含めて高卒採用をご検討中の場合は、採用のご相談からお問い合わせください。

高卒採用の時期別の準備は、資料「高卒採用スケジュール&求人票チェックリスト」で確認できます。

参考にした公開データ

(確認日:2026年11月4日)

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FAQ

よくある質問

Q1
4月1日入社の高卒新入社員に深夜勤務や残業をさせてもよいですか。
標準的な年齢で令和9年3月(2027年3月)に卒業した人は、年齢計算上、4月1日時点で満18歳に達しているため、年少者の深夜業・時間外労働の制限は通常かかりません。ただし、入社時点の生年月日で確認してください。18歳以上でも、36協定や割増賃金など一般の労働時間のルールは適用されます。
Q2
18歳未満の従業員を雇う場合、年齢を証明する書類は何を備えればよいですか。
労働基準法57条により、年齢を証明する書類を事業場に備え付ける必要があり、住民票記載事項の証明書で足りるとされています(長野労働局のハンドブック)。一方、採用選考の段階では、戸籍謄(抄)本や本籍地が記載された住民票(写し)の提出を求めないこととされています(大阪労働局)。
Q3
18歳未満の従業員には時間外労働をさせられないのですか。
労働基準法60条は、36条(時間外・休日労働の協定)などを18歳未満に適用しないと定めているため、原則として時間外・休日労働はさせられません。災害その他避けることのできない事由で臨時の必要がある場合(33条1項)の例外があります。15歳以上18歳未満には、週40時間以内で1日を4時間以内に短縮して他の日を10時間まで延長する特例などもあります。

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