予算稟議の前に「体育会採用は1人あたりいくらかかるのか」「媒体・イベント・紹介・協賛のどれが高いのか」で迷うことがあるのではないでしょうか。結論から言うと、編集部が確認した範囲では、体育会採用に限った費用相場の公開データは見当たりませんでした。金額の幅を追うより、「何に対して払うか」で4手法を比べ、見積もりの条件をそろえるほうが判断しやすくなります。この記事では、4手法の課金の仕組みと見積もりで確認する項目の整理に絞り、個別サービスの料金比較は行いません。
結論:体育会の新卒採用費用は「1人いくら」より「何に対して払うか」で比べる
手法ごとに課金の単位(掲載、出展、成果、協賛の対価)と費用が出る時点が違うため、金額だけを横に並べても比べにくくなります。
そこで本記事では、次の順に整理します。
- 公開データで確認できる範囲(新卒採用全体の平均まで)
- 4手法の課金の仕組みと、見積もりで確認する項目
- 金額を動かす要因と、予算を組む手順
「1人いくら」という結果の数字は、採用人数や時期、社内工数によって変わります。先に仕組みを押さえておくと、見積もりを受け取ったときに何を比べればよいかが見えやすくなります。
公開データで確認できるのは新卒採用全体の平均まで
2026年10月時点で編集部が確認した範囲では、体育会採用に限った費用や、手法別に横断して比較できる公開データは見当たりませんでした。参照できるのは、新卒採用全体の平均です。
| 指標 |
対象年度 |
数値 |
出典 |
| 新卒採用1人あたりの平均採用コスト |
2019年度実績 |
93.6万円 |
就職白書2020(株式会社リクルート 就職みらい研究所)を引用したリクルートエージェントの解説記事 |
| 新卒採用1人あたりの平均採用コスト |
2018年度実績 |
71.5万円 |
同上 |
この数値は2019年度実績で、体育会限定でも手法別でもない全体値です。現在の採用手法の変化を反映した最新値とは限らないため、稟議では「全体平均の参考値」として扱うのが安全です。
検索で見かける「1人◯◯万円が相場」という数値は、出所となる調査名・年度・回答社数が示されていないものが多く、稟議の根拠には使いにくい傾向があります。この点は新卒採用コストの業界別データは存在するかで詳しく整理しています。
媒体・イベント・紹介・協賛の課金の仕組み比較表
一般的には、媒体・イベント・協賛は採用の結果が出る前に費用が発生し、成果報酬型の紹介は採用が決まった段階で費用が発生する形が多いと考えられます。詳細は契約ごとに異なります。あわせて、無料で使える公的チャネルもあります。
| 手法 |
主な課金の単位 |
費用が出る時点 |
金額を動かす主な要因 |
体育会採用での確認点 |
| 求人媒体(ナビサイト・体育会向け媒体) |
掲載期間・プラン・オプション(スカウト通数など) |
掲載の開始前後(契約による) |
掲載期間、露出、オプション |
体育会学生の登録が、どの競技・大学に厚いか |
| 採用イベント・合同説明会(出展) |
出展料(ブース・枠) |
開催前が多い(契約による) |
開催規模、地域、参加学生の属性、ブース位置 |
開催日が大会・リーグ戦と重ならないか |
| 新卒紹介(成果報酬型) |
採用決定時の成果報酬 |
内定承諾時か入社時か(契約による) |
手数料の決め方、返戻金の条件 |
学生とどの経路で接点を持っているか |
| 部活動・学生団体への協賛 |
協賛金または物品 |
協賛の取り決め時など(年度・大会単位が多い) |
対価の中身(露出、説明の機会、報告会など) |
団体の活動時期と、対価の実行時期が合うか |
| ハローワーク・大学への求人(参考) |
ハローワークは無料、大学は大学ごとに異なる |
― |
― |
大学キャリアセンターへの求人登録は、手続きや費用の有無を各大学の案内で確認 |
ハローワークについては、厚生労働省が「サービスはすべて無料」と案内しています(ハローワークにおける人材募集|厚生労働省)。
この表は「一般的に」「契約による」レベルの整理であり、個別サービスの料金体系はサービスごとに異なります。申込み前に、各社の資料や見積もりで確認してください。
なお、「費用が先に出る=高い」とは限りません。成果報酬型は採用が決まるまで費用が出ない代わりに、採用人数が増えれば総額も増えます。出る時点と総額は別の話として読むと、誤解が起きにくくなります。
求人媒体:掲載料に何が含まれるかを確認する
媒体は掲載期間やオプションで構成が変わるため、掲載料の内訳を確認することが出発点です。
- 掲載期間:どの期間に掲載され、延長する場合の扱いはどうなるか。
- スカウト等のオプション:基本料金に含まれる範囲と、追加になる範囲はどこか。
- 体育会学生の登録属性の開示範囲:競技や大学などの属性が、どこまで事前に分かるか。
- 途中解約や延長の扱い:採用が早く決まった場合や、母集団が足りない場合にどうなるか。
採用イベント:出展料と「会える学生」の条件を確認する
イベントは出展料だけでなく、参加する学生の条件と、出展以外にかかる費用も確認します。
- 参加学生の属性・人数の見込みの根拠:見込みがどの実績や条件に基づくか。
- 時期:大会やリーグ戦と重なる時期は、参加しにくい場合があります。
- ブース以外にかかる費用:社員の出張、配布物や展示物の制作など。
- 選考への接続方法:イベントで出会った後、どう面談や選考につなげるか。
設計の考え方は体育会採用イベントの企画設計で扱っています。
新卒紹介:手数料が発生する時点と返戻金の条件を確認する
紹介は成果報酬型のため、「いつ発生するか」と「戻る条件があるか」が見積もり比較の中心になります。
- 手数料の発生時点:内定承諾時か、入社時か。
- 返戻金の有無と条件:早期に退職した場合などの扱い。
- 内定承諾後の辞退時の扱い:入社前に辞退があった場合の費用。
- 取扱職種:自社の募集職種が対象に含まれるか。
厚生労働省の人材サービス総合サイトでは、手数料に関する事項、返戻金制度の有無や内容、紹介による就職者数、6か月以内の離職者数などを確認できます(出典:紹介会社を利用する場合の留意点|宮城労働局)。契約前の情報収集に使えます。
協賛:協賛金の対価が何かを確認する
協賛は求人広告のように価格表で比べにくいため、対価の中身を言葉にして確認します。
- 対価の中身:露出、説明の機会、報告会など、何を受け取れるか。
- 実行時期:対価が実行されるのが、いつの大会や活動か。
- 報告の有無:実施後に、露出や参加の状況を報告してもらえるか。
- 採用活動との接続:協賛で生まれた接点を、どう説明会や選考につなげるか。
費用が動きやすい3つの要因
編集部の整理では、金額は対象の絞り込みの強さ、接点を持つ時期、社内工数(内部コスト)の3つで動きやすいと考えられます。いずれも見積書の金額そのものより、見積もりの前提として確認しておきたい要素です。
- 対象の絞り込み:競技・大学・役職などの条件を細かくするほど、対応できる手段が限られる場合があります。条件を絞る分だけ、手段の選択肢が狭まる点を見積もり前に意識しておきます。
- 接点を持つ時期:大会・リーグ戦・引退の時期によって、接点を持てる時期が変わります。競技や大学によって日程が異なるため、対象となる競技・大学ごとに個別に確認します。
- 社内工数:面接官や社員の出張、説明会の準備など、見積もりに出ない内部コストがあります。就職白書の解説(リクルートエージェント)でも、採用コストは外部コスト(求人広告掲載費、人材紹介成功報酬、採用イベント参加費など)と内部コスト(採用に関わる人件費など)に分けて説明されています。
協賛の費用は「対価の中身」で幅が出る——公開取材から
協賛の金額は、団体の規模や、対価として何を行うかによって変わりやすいと考えられます。公開されている学生団体の取材にも、規模や対価の違う例があります。
- インカレのストリートダンスサークルでは、協賛金額は2〜5万円程度で、対価はパンフレットへの広告掲載という声がありました(取材記事、2026年3月2日公開)。
- 大会の企画・運営を学生が担っている大学のフットサル部では、協賛の営業も部員が行い、その年度は金銭協賛で4社、新人戦では物品協賛で約40万円相当の支援を受けたという声がありました(取材記事、2026年2月4日公開)。
- ある大学のサッカー部では、OB企業を含む3社の協賛について、学生が営業から契約、シーズン後の報告まで担当しているという声がありました(取材記事、2026年6月25日公開)。
いずれも個別団体の取材に基づく例で、協賛費用の相場を示すものではありません。また3例とも学生団体側から見た資金調達の話であり、企業が採用を目的に行う協賛とは前提が異なる場合があります。それでも、パンフレット広告のような露出型、物品の提供、シーズン後の報告を伴う関係など、協賛の「中身」に幅があることは読み取れます。企業側は「金額」だけでなく「対価の中身と報告の有無」を見積もりの段階で確認すると、判断しやすくなります。
協賛は単年度の採用人数だけでは効果を測りにくい点があります。考え方は体育会採用の費用対効果をどう考えるかで整理しています。
体育会採用の予算を組む4ステップ
採用人数と時期を先に決め、内部コストを含めた定義をそろえてから、短期型と中長期型の手法に配分すると、見積もりを比べやすくなります。
- 採用人数と、接点を持ちたい時期を決める:人数と時期が決まらないと、見積もりの前提がそろいません。
- コストの定義を社内で決める:外部コストだけを見るのか、内部コストも含めるのかを先に合意します。
- 手法の役割で配分する:短期に母集団を広げる手法(媒体・イベント・紹介)と、中長期で関係を積む手法(協賛など)に分けて考えます。手法の役割の違いは体育会採用の手法別比較表で整理しています。
- 見積もりの条件をそろえて比べ、採用後に記録する:期間・対象・発生時点・対価をそろえて比較し、採用後はチャネル別・入社者数基準で実績を記録します。
公開取材の例として、旅行・IT業界の株式会社エアトリの採用に関わる担当者は、若手社員の提案をきっかけに自社サイト起点のオーガニック採用導線をゼロから構築し、採用単価を改善したと語っています(ツナカレメディア「人事の声」2026年6月8日公開)。1社の事例であり、同じ手を打てば同じ結果になることを示すものではありません。
見積もりを比べるときに間違えやすい4点
発生時点・費用の範囲・評価の期間・基準の置き方がそろっていないと、見積もりの比較がずれやすくなります。
- 発生時点の違う費用を、同じ年度の金額として並べる:成果報酬は採用決定後、媒体や出展は先払いなど、費用が出る時点が違います。年度や月で整理し直してから比べます。
- 内部コストを含めずに比べる:見積書に出ない社員の工数は、手法によって大きさが異なる場合があります。含めるかどうかを先に決めておきます。
- 協賛を単年度の採用人数だけで評価する:協賛は関係を積む性質があるため、単年度の人数だけで評価すると見落としが出る場合があります。
- 検索で見た相場数値を基準にする:出所が示されていない数値を基準にすると、自社の条件とずれた判断になりやすくなります。
まとめ:相場の数字を探すより、課金の仕組みと見積もり条件をそろえる
体育会採用に限った費用相場の公開データは、編集部が確認した範囲では見当たらず、参照できるのは新卒採用全体の平均(2019年度実績)までです。そのため、金額の幅を追うより、媒体・イベント・紹介・協賛それぞれの課金の単位と費用が出る時点を押さえるほうが、判断の助けになります。見積もりは、期間・対象・発生時点・対価の条件をそろえ、内部コストも含めて比べてください。協賛のように効果が単年度で測りにくい手法は、対価の中身と報告の有無を先に確認しておくと、後から見直しやすくなります。
体育会採用の手法と年間の進め方を手元で整理したい場合は、体育会学生採用の無料資料をご利用ください。自社の採用人数や時期に合わせて手法の組み合わせや予算の考え方を整理したい段階であれば、30〜45分のオンラインでの採用のご相談も承っています。
参考にした公開データ
(確認日:2026年10月19日)