小売業界の年収、体育会出身の転職ではどう読む?公開データで整理

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「小売は年収が低いと聞くけれど、本当だろうか」「体育会で身につけた体力や粘り強さは、給与に反映されるのだろうか」。20代で小売業界への転職を考え始めると、年収面の不安が頭をよぎる場面があるかもしれません。

結論から言うと、公開統計では「卸売業,小売業」の平均給与は全業種平均を下回っています。ただし、この数字には正社員以外も含まれ、店舗か本部か、どの役職か、どの規模の企業かによって見え方は変わります。体育会出身者に限った小売の年収統計は、確認した範囲では見当たりませんでした。この記事では、国税庁・doda・厚生労働省の公開情報を並べ、年収の読み方と確認したい条件を整理します。転職を勧めるものではなく、判断材料をそろえることが目的です。

結論:小売の年収は全体平均より低めに出る。ただし数字の対象と、店舗・本部の別を分けて読む

国税庁の統計では卸売業,小売業の平均給与は413万円で、全業種平均の487万円を74万円下回っています。一方、転職サービス登録の正社員を集計したdodaでは小売/外食の20代平均は326万円で、数字の対象が違えば水準も変わります。

今回確認した公開データを、対象別にまとめると次のとおりです。

データ 集計の対象 数字
国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」 1年を通じて勤務した給与所得者(全年齢・全雇用形態) 卸売業,小売業 413万円(全業種平均 487万円)
doda「平均年収ランキング(業種別)2025年版」 dodaに登録している20〜65歳の正社員 小売/外食 368万円、うち20代 326万円
職業情報提供サイト「job tag」(厚生労働省) 賃金構造基本統計調査をもとにした職業別の全国平均 スーパーの店長 384.8万円

(編集部が出典から作成。いずれも「小売に就いた体育会出身者」の数字ではありません)

3つの数字は集計の対象がそれぞれ異なるため、足したり差し引いたりして比べることはできません。順番に見ていきます。

国税庁のデータで見る卸売業,小売業の年収|全体平均との差と、数字の注意点

国税庁の「令和7年分民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円で、卸売業,小売業は413万円でした。14業種のうち、高いほうから11番目に位置します(出典:国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」)。

同じ調査では、正社員の平均が559万円、正社員以外が210万円と、雇用形態で大きな差があります。業種ごとに正社員以外の比率が異なれば、業種全体の平均もその影響を受けると考えられます。ただし、今回確認した公表資料だけでは、卸売業,小売業の雇用形態の内訳までは確認できていません。

この数字を読むときの注意点は次のとおりです。

  • 卸売業と小売業が1つの区分にまとめられており、小売だけの数字ではありません。
  • 全年齢・全雇用形態の平均であり、20代の正社員の水準ではありません。
  • 店舗勤務、本部勤務、管理職などの別は集計されていません。

つまり「卸売業,小売業は全体平均より低い」とは言えますが、「小売に転職すれば413万円になる」とは読めません。

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dodaの数字で見る小売/外食|20代に絞るとどう見えるか

転職サービス登録の正社員で見ると、小売/外食の平均年収は368万円、20代は326万円でした(集計期間は2024年9月〜2025年8月)。同じ資料のサービス分類は平均390万円・20代342万円で、小売/外食は10の大分類の中で最も低い水準に位置します(出典:doda「平均年収ランキング(業種別)2025年版」)。

ここでも注意が必要です。dodaの区分は「小売/外食」で、外食を含んでいます。また、登録者の集計であり、業界全体の平均ではありません。国税庁の413万円と、dodaの368万円を並べて「どちらが正しいか」を問うことには意味がなく、母集団が違うだけです。

業界間の比較をしたい場合は、体育会出身の転職、業界別平均年収ランキングで、同じ2つの統計を業界全体で並べています。

店舗と本部で何が違うか|役職と職種で年収の見え方が変わる

小売の年収は、店舗スタッフ、店長、SV、本部職といった役職・職種の違いで変わる場合があります。ただし、役職別の数字を小売だけで揃えた公開統計は、今回確認できた範囲では限られます。

確認できた数字として、job tag(厚生労働省)では、スーパーの店長の全国平均年収が384.8万円と示されています(出典:job tag「スーパー店長」。年収は賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」をもとに算出されたものです)。この数字は、全業種を含む国税庁の平均や、20代中心のdodaの数字とは対象が異なります。

役職ごとの一般的な傾向を、編集部で整理すると次のようになります。

区分 仕事の中心 年収を見るときの視点
店舗スタッフ 接客・レジ・品出し・在庫管理 基本給と、シフトに応じた手当の内訳
店長・副店長 店舗の売上・人員・在庫の管理 役職手当の有無、店舗規模による差
SV(スーパーバイザー) 複数店舗の巡回と店長への助言 店長経験を前提にした職位かどうか
本部職(バイヤー・販促・EC等) 仕入れ・企画・販売施策 登用の仕組みと、必要な経験年数

(編集部作成。企業によって職位の名称や制度は異なります)

この表は一般的な整理であり、具体的な金額は企業によって異なります。バイヤーなどの本部職を狙う場合の入口の考え方は、小売業界へ未経験転職、体育会経験はどう活きる?で整理しています。

年収が変わりやすい条件|企業規模・雇用形態・勤務地・評価制度

年収に影響しやすい条件は、企業規模、雇用形態、勤務地、評価制度、手当の内訳の5つに整理できます。これは統計上の因果ではなく、求人を比較するときの確認の視点です。

企業規模。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を整理した報道では、男性一般労働者のピーク時賃金は大企業(常用労働者1,000人以上)で51.4万円、小企業(同10〜99人)で36.6万円と、14.8万円の差があったとされています(出典:労働調査会「令和6年賃構(概況)」、一次資料は厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)。これは全産業の男性の数字で、小売に限ったものではありません。ただ、同じ職種でも企業規模で賃金水準が変わり得ることを示す一例です。

雇用形態。前述のとおり、国税庁の調査では正社員と正社員以外の平均給与に大きな開きがあります。契約社員や地域限定社員など、同じ「社員」でも制度が分かれている企業があるため、応募時に雇用区分を確認する必要があります。

勤務地。都市部と地方で給与水準が異なる場合があります。転勤の範囲によって、手当や住宅補助の有無も変わることがあります。

評価制度。店舗の売上や数値目標がどのように評価・賞与に反映されるかは、企業ごとに異なります。賞与が固定なのか、業績連動なのかによって、年収の幅は変わり得ます。

手当の内訳。固定残業代が含まれているか、役職手当や資格手当がどの程度か。同じ年収額でも、基本給と手当の比率で、昇給や賞与の見え方が変わる場合があります。

体育会経験は年収にどう関わるのか|統計では確認できない部分

体育会出身者に限った小売業界の年収統計は、確認した公開資料の範囲では見当たりませんでした。そのため、「体育会出身だと高くなる」とも「低くなる」とも言い切れません。

編集部が保有する人事担当者の取材記録の範囲でも、小売業界の企業が体育会出身者の年収について語った記録は確認できていません。参考として、隣接する業種の事例では、営業・販売支援を手がける株式会社At Human Visionが、体育会系には目標設定と振り返りのサイクルやチームでの役割経験があり仕事との相性が良いと評価し、未経験者の育成に力を入れていると話しています(人事の声、2026年5月13日取材)。ただし小売業界の企業への取材ではないため、小売各社に同じ評価軸が当てはまるとは限りません。

一般的には、年収は職種・企業規模・経験年数・評価制度などで決まる部分が大きいと考えられます。体育会経験がある場合は、シフト管理や後輩指導のような具体的な行動を応募先の業務と結びつけて伝えられるかどうかが、選考で見られる材料になる場合があります。その結果が提示額にどう影響するかは、企業によって異なります。

提示額に迷ったときの準備の仕方は、転職の年収交渉、20代はどうやる?準備と伝え方の型で整理しています。

応募前に確認したい項目

年収の数字を確認したあとは、自分の条件に当てはめる作業が必要です。求人票や面接で確認したい項目を表にまとめました。

確認項目 確認する理由 確認の方法の例
雇用区分 正社員か契約社員か、地域限定かで給与体系が変わるため 求人票の雇用形態欄
モデル年収と内訳 基本給・手当・賞与の比率で、収入の安定度が変わるため 求人票、面接での質問
固定残業代の有無と時間数 想定残業時間を前提にした金額か把握するため 募集要項の給与欄
昇給・昇格のモデル 入社時の金額だけでなく、数年後の水準も判断材料になるため 面接で入社3年目・5年目の想定を聞く
店長までの標準年数と登用実績 役職が上がる道筋が実際に使われているか確認するため 面接での逆質問
本部職への異動制度 店舗以外のキャリアの有無を把握するため 面接での逆質問
転勤の範囲と手当 勤務地による生活費や手当の違いを把握するため 求人票、面接

これらは一般的に確認しておきたい項目であり、すべての企業に当てはまるわけではありません。

まとめ:公開データで水準をつかんだうえで、店舗・本部・企業規模の別を確認する

卸売業,小売業の平均給与は、国税庁の統計で全業種平均を下回っています。ただし、全年齢・全雇用形態で、卸売も含む数字です。dodaの小売/外食の20代平均は326万円ですが、外食を含む登録者の集計です。体育会経験が年収にどう反映されるかは、統計では確認できません。

年収の見え方は、店舗か本部か、どの役職か、どの規模の企業か、手当の内訳がどうなっているかで変わります。数字は判断材料の一つとして使い、年収以外の条件も合わせて整理することをおすすめします。

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FAQ

よくある質問

Q1
小売業界の平均年収は、他の業界と比べて低いのですか?
国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、卸売業,小売業の平均給与は413万円で、全業種平均の487万円を下回っています。ただし卸売業と小売業を合算した全年齢・全雇用形態の平均であり、パート・アルバイトなど正社員以外も含まれます。正社員に限った20代の水準とは別の数字として読む必要があります。
Q2
体育会出身だと、小売業界で年収は上がりやすいですか?
体育会出身者に限った小売業界の年収統計は、確認した公開資料の範囲では見当たりませんでした。年収は業態・企業規模・職種・役職・勤務地・評価制度などで決まる部分が大きく、体育会経験そのものが金額に直接反映されるとは言い切れません。
Q3
小売で年収を上げるには、店長を目指すしかありませんか?
店長が唯一の道とは限りません。企業によっては、複数店舗を見るSV(スーパーバイザー)や、バイヤー・販促などの本部職へのルートがあります。ただし制度や登用実績は企業ごとに異なるため、応募前に求人票や面接で、役職ごとの給与レンジと登用の実績を確認することをおすすめします。

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