転職を考え始めて「どの業界が稼げるのか」を調べると、サイトごとに平均年収の数字や順位が違っていて、どれを信じればよいのか迷うことがあります。体育会で打ち込んだ経験を活かしつつ、収入面でも納得できる選択をしたいと考えるのは自然なことです。

結論から言うと、業界別の平均年収は、国税庁(働く人全体)とdoda(転職サービス登録の正社員)で母集団が違うため、同じ業界でも数字がずれます。また、20代に絞って見ると、業界間の差は全年代で見たときより小さいデータになっています。ランキングは候補を広げる材料にとどめ、職種・雇用形態・評価制度とあわせて判断するのが現実的です。なお、体育会出身者に限定した業界別の年収統計は、公開情報では確認できていません。この記事では公開データをそのまま並べ、20代の転職判断にどう使えるかを整理します。

業界別の平均年収は「どのデータか」で順位も金額も変わります

国税庁は民間の給与所得者全体、dodaは転職サービス登録の正社員を集計しており、母集団が違うため金額も順位も一致しません。どちらかが誤っているのではなく、見ている範囲が違います。

項目 国税庁「民間給与実態統計調査」 doda「平均年収ランキング(業種別)」
出し手 国税庁 doda
母集団 1年を通じて勤務した民間の給与所得者 dodaサービス登録の20〜65歳の正社員(約60万件)
集計期間・公表時期 令和7年分、2026年9月公表 2024年9月〜2025年8月(2025年版)
業種分類の粒度 14業種 10の大分類
わかること 民間で働く人全体の業種別の相場 転職サービスを使う正社員の業種別の相場と、20代の目安
注意点 業種別の表は全年代・全雇用形態の平均 登録者の集計であり、業界全体の平均ではない

(出典: 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」、doda「平均年収ランキング(業種別)2025年版」)

この記事の数字はいずれも一般の給与所得者・転職サービス登録者のもので、体育会出身者の年収を示すものではありません。以下では、2つの公開データの並びを編集部で入れ替えず、そのまま示します。

国税庁「民間給与実態統計調査」の業種別平均給与ランキング(令和7年分)

民間の給与所得者全体で見ると、最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」(854万円)と最も低い「宿泊業,飲食サービス業」(276万円)の差は578万円です。

1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円(前年比1.9%増)です。内訳は、男性597万円、女性342万円、正社員559万円、正社員以外210万円となっています。

順位 業種 平均給与
1 電気・ガス・熱供給・水道業 854万円
2 金融業,保険業 726万円
3 情報通信業 682万円
4 建設業 590万円
5 製造業 573万円
6 学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業 568万円
7 不動産業,物品賃貸業 513万円
8 複合サービス事業 510万円
9 運輸業,郵便業 483万円
10 医療,福祉 424万円
11 卸売業,小売業 413万円
12 サービス業 402万円
13 農林水産・鉱業 394万円
14 宿泊業,飲食サービス業 276万円

(出典: 国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」の業種別平均給与〈千円単位〉を万円単位に四捨五入して掲載。順位は同資料の数値を高い順に並べたもの)

上位には電気・ガス・熱供給・水道業、金融業,保険業、情報通信業が並び、下位には宿泊業,飲食サービス業などが並んでいます。ただし、業種によって年齢構成や雇用形態の構成が異なり、平均値はその影響を受ける可能性があります。たとえば、正社員は559万円、正社員以外は210万円と大きな差があるため、正社員以外の比率が高い業種では、平均が低く出ることが考えられます。順位の高低だけで、その業界の働きやすさや将来性を判断することはできません。

この数字を転職判断に使うときの注意点

この表は、全年代・全雇用形態を混ぜた平均です。20代の自分が転職したときの相場とは別のものとして見る必要があります。

勤続年数が長い層や正社員以外の給与も含まれるため、「平均が高い業界だから自分も同じ水準になる」とは読めません。業界ごとの全体的な水準を知る物差しとして使うのが向いています。

dodaの業種別平均年収ランキング(2025年版)と20代の数字

転職サービス登録の正社員で見ると、業種大分類の平均年収は金融500万円から小売/外食368万円までで、20代に限ると410万円から326万円と、差が84万円に縮まります。

集計期間は2024年9月〜2025年8月、対象はdodaサービスに登録している20〜65歳の正社員(約60万件)です。

順位 業種分類 平均年収 20代
1 金融 500万円 410万円
2 メーカー 492万円 397万円
3 総合商社 479万円 385万円
4 IT/通信 466万円 396万円
5 建設/プラント/不動産 447万円 393万円
6 専門商社 444万円 381万円
7 インターネット/広告/メディア 440万円 376万円
8 メディカル 416万円 350万円
9 サービス 390万円 342万円
10 小売/外食 368万円 326万円

(出典: doda「平均年収ランキング(業種別)2025年版」)

全体の最大と最小の差は、500万円と368万円で132万円です。20代では、410万円と326万円で84万円です。いずれもdodaの公開値から編集部が計算した差で、このデータでは20代の業界間の差が全年代より小さくなっています。差が縮む理由までは、このランキングからは読み取れません。また、20代の数字も「登録している正社員の平均」であり、個人の年収を決める数字ではありません。

国税庁とdodaで順位が違う業界の見方

国税庁では電気・ガス・熱供給・水道業が1位ですが、dodaの大分類にはその区分がありません。分類の粒度が違うので、順位を単純に比較しないことが大切です。

国税庁は14業種、dodaは10の大分類で区切っています。たとえば国税庁は「卸売業,小売業」を1つの区分にしていますが、dodaでは「総合商社」「専門商社」「小売/外食」が別の区分です。母集団も違うため、片方で何位・もう片方で何位という比較にはあまり意味がありません。順位を突き合わせるより、両方で上位に出やすい業界・下位に出やすい業界を大づかみにとらえる使い方が向いています。

体育会出身者が年収ランキングを見るときに押さえたい3つの視点

ランキングは業界の平均を示すもので、自分の転職後の年収を示すものではないため、「職種」「雇用形態と評価制度」「入社後の伸び方」の3点とあわせて見ることをおすすめします。

視点1 同じ業界でも職種によって年収は変わる

業界の平均は、さまざまな職種の数字を混ぜたものです。気になる業界があれば、その中の職種別データも確認すると、より自分に近い目安がつかめます。

職種単位の年収は、SEへの転職、年収はどれくらい?(IT)や施工管理への転職、年収はどれくらい?(建設)でも公開データをもとに整理しています。業界名だけでなく「その業界のどの職種に就くのか」まで見ると、自分に近い目安を立てやすくなります。

視点2 雇用形態・評価制度・賞与の比重を求人票で確認する

前述のとおり国税庁のデータでは正社員と正社員以外で平均給与に差があり、同じ業界でも雇用形態で水準が変わり得ます。求人票では次の点を確認すると、年収の中身が見えやすくなります。

  • 雇用形態(正社員か、契約社員など正社員以外か)
  • 提示年収に含まれる内訳(月給、賞与、残業代の扱いなど)
  • 賞与や手当が固定か、業績や評価によって変わるか
  • 評価制度と昇給の仕組みがどう説明されているか

同じ「想定年収450万円」でも、固定給の比率が高い場合と、賞与や成果給の比率が高い場合では、実際の受け取り方が変わる可能性があります。不明な点は、応募前や面接の場で確認しておくと安心です。

視点3 年収以外の転職理由と照らし合わせる

年収は大切な要素ですが、転職理由は年収だけとは限りません。仕事内容や関わり方を軸に転職を決めている方もいます。

ツナカレメディアで公開されている体育会OBのインタビューから、2つの例を紹介します。京都大学準硬式野球部で主将を務めた経験者は、新卒で金融機関の法人融資営業に就いた後、「企業の事業価値や経営により深く関わりたい」という理由で、証券会社のM&Aアドバイザリー業務へ転職しています(出典: OB・OGインタビュー)。語られている転職の軸は、年収ではなく仕事内容です。

もう一つは、東海大学アメリカンフットボール部のOBの例です。競技中心の生活で情報収集が不足したまま1社目を決めた反省から、転職時にはエージェントに積極的に相談したと振り返っています(出典: OB・OGインタビュー(2026年5月18日公開))。数字だけで決めず、情報を集めてから判断する姿勢の一例といえます。

どちらも個人の経験で、誰にでも当てはまるものではありません。ただ、何を重視して転職したいのかを先に整理しておくと、年収データを見たときに数字だけで判断しにくくなります。向いている仕事の幅を広げたい方は、体育会系に向いている仕事は営業だけじゃないも参考になります。

年収データを自分の転職判断に落とし込む手順

公開データで業界の相場観をつかみ、気になる業界の職種別データと実際の求人票で自分に近い条件を確かめる、という順番で進めると数字に振り回されにくくなります。

  1. 国税庁のデータで、業種ごとの全体像をつかむ。全年代・全雇用形態の平均なので、水準そのものではなく並び方の目安として見る
  2. dodaの20代の数字で、同世代の目安を確認する。気になる業種分類の20代の金額を、自分の現在の年収と見比べる
  3. 気になる業界の職種別データを調べる。SEや施工管理など、職種単位で整理された記事も参考にする
  4. 求人票で、雇用形態・賞与・評価制度を確認する。提示年収の内訳まで読み、不明点は面接などで確かめる
  5. 現職の年収と比べ、年収交渉の準備をする。進め方は転職の年収交渉、20代はどうやる?で解説しています

また、求人数や倍率といった別の角度のデータも、候補を広げるときの参考になります。中途採用の求人倍率を業界別データで解説もあわせてご覧ください。

確認用のチェック表として、次の項目を使ってみてください。

確認項目 見るポイント
データの出し手と母集団 国税庁(全給与所得者)か、doda(登録正社員)か
年代 全年代の平均か、20代の数字か
職種 業界の平均ではなく、希望職種の水準も確認したか
雇用形態 正社員か、正社員以外か
年収の内訳 固定給と賞与・手当の比率、残業代の扱い
転職の軸 年収以外に重視したいことと照らし合わせたか

まとめ 業界別平均年収は「業界の相場観」をつかむ材料として使い、個別の判断は職種と求人条件で行う

国税庁とdodaでは母集団が違うため、同じ業界でも金額や順位が一致しません。国税庁の業種別では最大578万円の差がありますが、dodaの20代で見ると差は84万円で、全年代の132万円より小さくなっています。体育会出身者に限定した年収統計は確認できていないため、ランキングは自分の年収を示すものではなく、あくまで業界の相場観をつかむ材料として使うのが適切です。

個別の判断は、職種、雇用形態、評価制度、そして年収以外の転職理由とあわせて行うと、数字に振り回されにくくなります。まずは気になる業界の職種別データと求人票を見比べるところから始めてみてください。

自分の場合はどう考えればよいか迷うときは、ツナカレキャリアの無料キャリア相談も活用できます。

なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。