「体育会出身なら不動産営業で稼げる」という話を耳にして、気になっている20代の人もいるかもしれません。一方で、実際にどれくらいの年収が見込めるのか、数字で確かめたいという人も多いでしょう。
結論として、不動産営業の年収は会社の給与体系や成果の出方によって幅が大きく、体育会出身者に限定した年収の統計は確認できていません。この記事では、公開されている統計をもとに年収の実態を整理したうえで、年収が決まる仕組みと、体育会経験をどう位置づけて考えればよいかを解説します。転職を勧める記事ではなく、判断材料を整理するための記事です。
不動産営業の年収は幅が広く、体育会経験が年収を直接決めるわけではない
不動産営業の年収は、固定給と成果に応じた報酬の割合、担当する商材(売買・賃貸・買取再販など)、勤務地域によって差が出ます。体育会出身だから年収が高くなるという統計は確認できておらず、体育会経験は選考時の評価材料にはなり得ても、年収を直接押し上げる要素として期待するのは根拠が弱いと言えます。まずは公開データで相場感をつかみ、そのうえで求人ごとの給与の仕組みを確認することが実践的です。
公開データで見る不動産営業の年収
不動産営業の年収について、まず公開されているデータを2つの物差しで見てみます。
| データ源 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 求人ボックス給料ナビ「不動産営業の年収・時給」(掲載求人の集計、2026年9月時点) | 平均年収474万円 | 平均月給39万円、初任給25万円程度、給与幅363万〜927万円、正社員のボリュームゾーン434万〜504万円 |
| 国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査」 | 給与所得者全体の平均給与487万円 | 1年を通じて勤務した給与所得者全体が対象で、職種を問わない数値 |
求人ボックスの数値は、同サービスに掲載されている求人情報をもとに算出した参考値であり、同ページにも実態と差が生じることがある旨が記載されています。一方、国税庁の数値は実際に給与を受け取った人を対象にした統計で、特定の職種に絞ったものではありません。そのため、2つの数値を並べて「不動産営業は平均並み」「平均より高い・低い」と結論づけることはできません。性質の異なる物差しとして、おおよその目安を知るために使うのが適切です。
(出典:求人ボックス給料ナビ「不動産営業の年収・時給」、2026年9月時点/国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」)
なお、体育会出身者に限定した不動産営業の年収統計は、公開情報の範囲では確認できていません。上記はいずれも体育会経験の有無を区別していない数値です。
数字を読むときに押さえたい3つのポイント
1. 給与幅が広く、平均だけでは判断しにくい
求人ボックスのデータでは、不動産営業の給与幅は363万〜927万円と、最大で約2.5倍の開きがあります。平均値の474万円は、その幅の中の一点にすぎません。正社員のボリュームゾーンは434万〜504万円とされていますが、これは掲載されている求人の分布であり、入社した人が実際にその範囲に収まるとは限りません。
2. 都道府県別の平均は最大75万円差、都市部の求人数や商材は異なる
同じデータでは、都道府県別の平均年収は最も高い愛知県で486万円、最も低い徳島県で411万円とされ、その差は75万円でした。年収の地域差そのものは極端に大きくはない一方で、都市部と地方では扱う物件の価格帯や商材が異なる場合があり、同じ「不動産営業」でも仕事の中身が違うことがあります。転職を考えるときは、年収の数字だけでなく、どんな商材をどんな顧客に営業するのかも合わせて確認しておくと、入社後のイメージとの差を減らしやすくなります。
3. 雇用形態によって見え方が変わる
求人ボックスのデータでは、不動産営業の平均時給は、派遣社員で1,560円、アルバイト・パートで1,292円とされています。正社員の年収と時給は単純に比較できませんが、雇用形態が違えば給与の決まり方も異なります。年収の数字を見るときは、正社員の求人なのか、契約社員や派遣なのかを分けて確認することが大切です。
年収が決まる仕組み:固定給と成果報酬の考え方
不動産営業の給与は、一般的には固定給に加えて、契約の成果に応じた報酬(インセンティブ・歩合など)が組み合わされる場合があるとされています。ただし、その割合や計算方法は会社ごとに大きく異なるため、ここでは一般論として押さえておきたい確認ポイントを整理します。
- 固定給の水準:成果が出ない月でも受け取れる金額がいくらか。入社後しばらくの間の保証があるかどうかも確認したい点です。
- 成果報酬の対象と計算方法:何を成果として数えるのか(契約件数、粗利など)、個人の成果かチームの成果かで金額が変わる仕組みなのか。
- 賞与・決算賞与の有無:支給の基準が明示されているか。
- 資格手当の有無:宅地建物取引士などの資格に手当が付くか。
求人票に「年収〇〇万円〜」と書かれている場合、その金額に成果報酬がどの程度含まれているのか、入社後の平均的な実績としてどう見込まれているのかを、面接や条件面談の場で具体的に確認しておくと安心です。
宅建士資格と年収の関係
不動産営業の仕事では、宅地建物取引士(宅建士)の資格が話題に上がることが多くあります。宅地建物取引業法第31条の3では、宅建業の事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置くことが定められています(出典:大阪府「専任の宅地建物取引士」)。つまり、不動産会社にとって有資格者は一定数必要な存在です。
こうした位置づけから、資格手当を設けている会社もあるとされますが、手当の有無や金額は会社によって異なり、資格を持っていれば必ず年収が上がるとは言えません。また、取得のハードルも確認しておきたい点です。一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表によると、令和7年度(2025年度)の宅地建物取引士資格試験は、申込者306,099人、受験者245,462人、合格者45,821人で、合格率は18.7%でした(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」)。
資格取得を入社前に済ませておくかどうかは、人によって判断が分かれます。入社後に会社の支援を受けながら取得を目指す選択肢もあるため、応募先に資格取得支援や受験費用の補助があるかを確認してから決めても遅くはないでしょう。
体育会経験と年収の関係をどう考えるか
ここでは、体育会経験と年収の関係について、企業の声を参考情報として紹介します。ただし、以下はいずれも新卒採用の取材での発言であり、中途採用の評価基準と一致するとは限らない点にご留意ください。
不動産会社のタカマツハウス株式会社は、評価は年功序列ではなく成果と周囲への貢献で判断しており、20代で課長になった例もあると述べています。また、個人ノルマではなくチームで目標を達成する営業スタイルをとっているとも述べています(出典:ツナカレメディア 人事の声(タカマツハウス株式会社)、2026年1月29日取材)。
買取再販を手がけるエンリード不動産は、評価は結果だけでなく、行動量を継続できているか、失敗を次に活かせているかを重視していると述べています(出典:ツナカレメディア 人事の声(エンリード不動産)、2026年1月20日取材)。
2社の発言から言えるのは、成果だけでなく行動量や周囲への貢献といった過程も評価に含める企業がある、という範囲にとどまります。体育会で培った継続力やチームでの動き方が、こうした評価軸と重なる場面があるかもしれません。ただし、それが年収の高さを保証するという根拠にはなりません。評価や報酬の仕組みは会社ごとに異なるため、応募先の制度を個別に確認することが前提になります。
転職先を比較するときに確認しておきたいこと
不動産営業への転職を検討する場合は、年収の数字だけでなく、次のような点もあわせて比較すると、入社後のギャップを減らしやすくなります。
- 給与の内訳が明示されているか:固定給と成果報酬、賞与、手当がそれぞれいくらで、モデル年収がどの前提で算出されているか。
- 入社後の育成体制:研修やOJT、メンター制度などがあるか。
- 評価の基準:個人の成果で見るのか、チームの成果も含めるのか。昇給・昇格の目安は示されているか。
- 勤務時間・休日:顧客の都合に合わせた土日の勤務や、平日休みの扱いなど、生活リズムへの影響。
- 扱う商材と顧客層:売買か賃貸か、個人向けか法人向けか。営業の進め方がどう違うか。
これらは求人票だけでは分かりにくい情報も多いため、面接や条件面談の場で質問し、書面で確認できるものは確認しておくとよいでしょう。
体育会経験全般が転職でどう評価されるかについては、体育会出身は転職で有利?20代の市場価値と評価される強みでも整理しています。営業職以外の選択肢も含めて検討したい場合は、「体育会=営業」という前提を外して考える職種マップや、体育会系に向いている仕事は営業だけじゃない|職種・業界マップもあわせてご覧ください。年収交渉の進め方については転職の年収交渉、20代はどうやる?準備と伝え方の型で解説しています。
まとめ:数字は目安にとどめ、給与の仕組みまで確認して判断する
不動産営業の年収は、求人ボックス給料ナビの集計では平均474万円、給与幅は363万〜927万円と広く、国税庁の給与所得者全体の平均487万円(令和7年分)とは性質の異なる数値です。体育会出身者に限定した年収の統計は確認できておらず、体育会経験が年収を直接押し上げる保証はありません。一方で、行動量や周囲への貢献を評価に含める企業の声があり、体育会で培った経験が選考で評価の材料になる場合はあります。
年収の数字だけで判断するのではなく、固定給と成果報酬の割合、資格手当、育成体制、評価の基準まで含めて、求人ごとに比較していくことをおすすめします。
不動産営業への転職が自分に合っているか一人で判断がつかない場合は、ツナカレキャリアの無料キャリア相談もご活用ください。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは現在、有料職業紹介事業の許可を申請中であり、許可取得までは求人のご紹介・斡旋は行わず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。