「体育会出身なら不動産営業に向いているのでは」と言われて、気になっている20代の人もいるかもしれません。一方で、体育会経験が実際にどの場面で活きるのか、逆にどこは別の努力が必要なのかは、あまり整理されていないように感じます。
結論として、不動産営業では、顧客との継続的なやり取りや、行動量を保つ姿勢、チームでの動き方など、体育会経験と重なりやすい場面があると考えられます。一方で、法令の知識や、休日・給与の仕組みなど、競技経験だけでは補えない部分もあります。この記事では、公的な職業情報と企業の声をもとに、活きやすい場面と、入社前に確認したい点を整理します。転職を勧める記事ではなく、判断材料を整理するための記事です。
体育会経験が活きる可能性があるのは「継続的な行動」と「チームでの動き方」。ただし仕事の中身の理解が先に必要
体育会経験が不動産営業で評価の材料になる可能性があるのは、行動を継続する姿勢や、周囲と連携する動き方といった、競技の外でも通じる部分です。ただし、体育会出身者に限った不動産営業の成果や定着率の公開データは確認できておらず、「体育会だから向いている」と言える根拠はありません。まず仕事の中身を知り、その中で自分の経験がどこに重なるのかを具体的に考える順番が現実的です。
不動産営業の仕事の中身|厚生労働省job tagの記載から
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この職業は「住宅・不動産営業」として掲載されています。仕事の内容は、住宅・土地の購入や売却、賃貸を考えている顧客に接し、さまざまな要望に応えながら取引をまとめていく仕事とされています。住宅の機能や、金融・法律・税金について説明し、現地案内や契約手続きを行い、引き渡し後もサービスを提供する、という流れです。
就業の条件については、特に学歴や資格は必要ないものの、宅地建物取引士の資格を取得していると有利とされています。土地や建物についての法令上の知識、税法上の知識、実務上の知識が必要で、顧客対応の適切さが重視される、とも記載されています。労働条件の面では、顧客の都合に合わせて日曜や祝日に訪問や現地案内をすることがあるため、労働時間・休日は不規則であると記されています。基本給のほか、売上に応じた歩合給がつく場合があります(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「住宅・不動産営業」)。
この記載からは、体力や根性だけで成り立つ仕事ではなく、説明力と知識の積み上げ、そして顧客の都合に合わせた働き方が求められる仕事であることがうかがえます。
体育会経験と重なりやすい3つの場面
ここでは、仕事の中身と体育会経験が重なりやすい場面を3つ挙げます。いずれも「重なる可能性がある」という整理で、個人差や会社ごとの違いがあることを前提にしてください。
1. 行動量を保ち、振り返って次に活かす場面
不動産営業では、問い合わせ対応、物件の案内、条件の調整などを、顧客ごとに繰り返し行います。買取再販を手がけるエンリード不動産は、採用では経験や実績より、当事者意識や謙虚さ・素直さといった仕事への向き合う姿勢を重視すると述べています。また、評価は結果だけでなく、行動量を継続できているか、失敗を次に活かせているかを重視している、とも述べています(出典:ツナカレメディア 人事の声(エンリード不動産)、2026年1月20日取材)。練習を積み重ね、試合の振り返りを次に活かしてきた経験は、こうした評価の見方と重なる場面があるかもしれません。
2. チームで目標を追う場面
不動産会社のタカマツハウス株式会社は、個人ノルマではなくチームで目標を達成する営業スタイルをとっており、成果が出ない社員は役員同行などでフォローすると述べています。また、評価は年功序列ではなく、成果と周囲への貢献で判断しているとのことです(出典:ツナカレメディア 人事の声(タカマツハウス株式会社)、2026年1月29日取材)。部の目標に向けて、役割分担をしながら動いてきた経験を、仕事での連携にどう置き換えられるかを考える材料になります。
3. 早めに相談し、問題を先に見つける場面
ある大学のラクロス部出身で、マンション向けの通信サービスの営業職に就いている方は、デベロッパーとの3〜4年単位のプロジェクトで、「試合で気づく前に練習で気づくこと、幹部のミーティングで先に気づくことと、同じ感覚」で、早い段階の相談や進捗確認を行っていると話しています(出典:ツナカレメディア OB/OGインタビュー、2026年7月24日掲載)。なお、この方の職場は不動産会社そのものではなく、不動産の開発に関わる取引先と仕事をする通信会社です。不動産営業の事例としてそのまま当てはめることはできませんが、長期の案件で早めに動く姿勢が活きた一例として参考になります。
同じ人間関係の面では、ある大学のボウリング部のOBが、同じ大学の体育会OBのネットワークが、大きな金額が動く不動産業界での人脈づくりに直結していると話しています(出典:ツナカレメディア OB/OGインタビュー、2026年8月28日掲載)。これは一人の経験談であり、すべての人に当てはまるものではありません。
なお、上記の人事の声2件は、いずれも新卒採用の取材での発言です。中途採用の評価基準と一致するとは限らない点に注意してください。
競技経験だけでは補いにくい点
体育会経験が重なる場面がある一方で、次の点は経験の有無とは別に、入社後に学ぶ必要がある部分です。
| 項目 |
内容 |
向き合い方の例 |
| 法令・実務の知識 |
宅地建物取引業法などの法令、税金や金融の基本的な知識 |
入社後の研修や資格取得支援の有無を確認する |
| 重要事項の説明 |
契約前に、宅地建物取引士が書面を交付して説明する義務がある |
説明の準備や同席の体制を面接で聞く |
| 顧客の都合に合わせた勤務 |
日曜・祝日の案内などで休日が不規則になる場合がある |
休日の取得ルールや代休の運用を確認する |
| 給与の仕組み |
基本給に歩合給がつく場合がある |
固定給と成果報酬の内訳を確認する |
宅地建物取引業法第35条では、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が重要事項について書面を交付して説明すること、説明の際に宅地建物取引士証を提示することが定められています(出典:国土交通省 資料)。顧客にとって大きな金額が動く取引であるため、説明の正確さが問われる場面といえます。
また、宅建業の事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置くことが定められています(出典:大阪府「専任の宅地建物取引士」)。会社にとって有資格者が一定数必要になりますが、資格の取得支援や手当の有無・内容は会社によって異なるため、求人票や面接で確認してください。
「向いている」と決めつけないための視点
不動産営業と体育会経験を結びつける話は多い一方で、体育会出身者に限った不動産営業の定着率や成果の公開データは確認できていません。活きる場面があると同時に、休日が不規則になりうること、歩合給で収入の変動がありうることなど、体育会の経験とは別に生活面で向き合う要素もあります。「体育会だから大丈夫」と考えず、自分が何を重視するかを先に整理しておくと判断しやすくなります。
たとえば、次のような問いを自分に向けてみてください。
- 休日が不規則になる働き方を、どの程度許容できるか
- 固定給の安定と、成果に応じた報酬の変動のどちらを重視するか
- チームで目標を追う環境と、個人で成果を競う環境のどちらが自分に合うか
- 資格や知識を、入社後に学び続けられるか
応募前に確認したいこと
不動産営業への転職を検討する場合、求人票や面接で次の点を確認しておくと、入社後のギャップを減らしやすくなります。
- 扱う商材と顧客:売買か賃貸か、個人向けか法人向けか、新築か中古・買取再販か
- 評価の基準:個人の成果で見るのか、チームの成果や行動も含めるのか
- 給与の内訳:固定給と歩合給の割合、入社後しばらくの保証の有無、賞与や資格手当
- 休日・勤務時間:年間休日数、定休日の取り方、繁忙期の勤務の実態
- 育成体制:研修、OJT、メンター制度、資格取得の支援
給与の数字の見方は、不動産営業への転職、年収はどれくらい?で公開データをもとに整理しています。
職務経歴書や面接で、体育会経験をどう伝えるか
体育会経験を伝えるときは、「頑張った」「根性がある」という表現にとどめず、役割と行動を具体的に書くと、相手に伝わりやすくなります。たとえば、チームでの役割、課題に対して自分が行ったこと、その結果を、仕事での場面に置き換えて説明する方法があります。書き方の基本は、職務経歴書で部活・体育会経験を強みに変える書き方で整理しています。
また、体育会経験が転職市場全体でどう見られるかは、体育会出身は転職で有利?20代の市場価値と評価される強みをご覧ください。営業職以外も含めて選択肢を比べたい場合は、「体育会=営業」という前提を外して考える職種マップも参考になります。
まとめ|活きる場面と、競技経験だけでは補えない点を分けて考える
不動産営業では、行動量を保つ姿勢、チームで目標を追う動き方、早めに相談して問題を先に見つける姿勢など、体育会経験と重なりやすい場面があると考えられます。一方で、法令や税金の知識、休日が不規則になりうる働き方、歩合給のある給与の仕組みなど、競技経験とは別に確認し、学んでいく部分もあります。
企業の声はいずれも新卒採用の取材であり、体育会出身者に限った公開データもありません。「向いている」と決めつけず、仕事の中身と自分の優先順位を照らし合わせたうえで、応募先ごとに条件を確認することをおすすめします。
不動産営業への転職が自分に合っているか一人で判断がつかない場合は、ツナカレキャリアの無料キャリア相談もご活用ください。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは現在、有料職業紹介事業の許可を申請中であり、許可取得までは求人のご紹介・斡旋は行わず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。