「未経験からでもSE(システムエンジニア)を目指せそうだけど、実際の年収はどれくらいなのか分からない」——体育会出身の20代でSEへの転職を検討する場合、仕事内容以上に年収の実態が気になるという人は少なくないでしょう。
結論として、SEの年収は経験年数や雇用形態、担当する工程によって幅があり、体育会出身者に限定した年収の統計は確認できていません。この記事では、公開されている統計をもとにSEの年収の実態を整理したうえで、年収が変わる要因と、体育会経験との関係をどう考えればよいかを解説します。
結論:SEの年収は雇用形態・工程・経験で幅があり、体育会経験は年収を直接底上げする材料ではない
SEの年収は、正社員かSES(客先常駐)かといった雇用形態、担当する工程が上流か実装かといった役割、勤務地域などによって幅があります。体育会出身者だから年収が高くなる、といった統計は確認できていません。体育会経験は、選考時の評価ポイントの一つとして挙がる場合はあっても、年収そのものを直接押し上げる要素として扱うのは根拠が弱く、まずは雇用形態や担当工程による違いを理解したうえで、求人ごとの条件を比較することが実践的です。
SEの平均年収データ(公開統計から)
SEの年収については、集計対象や集計方法が異なる複数のデータが公開されています。代表的な2つを比較すると、次のようになります。
| データ源 | 平均年収 | 備考 |
|---|---|---|
| 求人ボックス給料ナビ(掲載求人の集計、2026年9月2日時点) | 約518万円 | 月給換算43万円、正社員のボリュームゾーンは352万〜439万円、給与幅全体は352万〜1,045万円 |
| 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(同ページ内で引用の比較値) | 556万円 | 月給37.5万円、賞与105.9万円、平均年齢38.5歳、勤続年数11.7年 |
2つの数値には約38万円の差がありますが、これは母集団の違いによるものです。求人ボックスは掲載されている求人情報を集計した数値であり、賃金構造基本統計調査は実際に雇用されている労働者を対象にした調査です。どちらが「正しい」というより、性質の異なる2つの物差しとして捉えるのが実態に近いと考えられます(出典:求人ボックス給料ナビ「システムエンジニアの仕事の平均年収」、2026年9月2日時点)。
なお、体育会出身者に限定した年収統計は公開情報の範囲では確認できていません。以下の年収データはSE全体を対象にしたものであり、体育会経験の有無による年収差を示すものではない点にご注意ください。
年収を左右する3つの要因
同じ「SE」という職種でも、年収には次のような要因で幅が出ます。
1. 雇用形態
正社員のほかに、企業と契約を結んで客先で業務にあたるSES(システムエンジニアリングサービス)や、派遣・アルバイトといった形態があります。求人ボックスのデータでは、派遣社員の平均時給は2,240円、アルバイト・パートの平均時給は1,382円とされており、雇用形態によって時給換算の水準にも差が出ています。SESは契約先によって業務内容や単価が変わることがあるため、正社員求人と単純に月給・年収だけで比較すると実態を見誤りやすい面があります。
2. 勤務地域
求人ボックスのデータでは、都道府県別の平均年収にも差があり、最も高い大阪府で519万円、最も低い宮崎県で370万円と、その差は149万円とされています。同じ職種・同じ経験年数でも、勤務地によって相場が異なる可能性がある点は、地方在住や地方への移住を検討している場合に押さえておきたいポイントです。
3. 経験年数と担当工程
未経験からのスタートと、数年の実務経験を積んだ後とでは、任される工程や裁量の範囲が変わり、それに応じて年収も変わっていきます。前述のSEへの転職、体育会経験はどう活きる?未経験からの強みと壁で解説したとおり、要件定義・設計といった上流工程と、実装(コーディング)・テストといった工程では求められるスキルが異なり、経験を積むごとに担当領域が広がっていくのが一般的な流れです。
未経験からSEに転職する場合の年収の考え方
未経験からSEに転職する場合、求人ボックスのデータでは初任給はおおよそ月24万円程度とされています。ただし、未経験者向けに研修期間を設けている企業では、研修中と研修後で給与体系が分かれている求人もあります。募集要項を確認する際は、提示されている年収が入社直後のものか、研修終了後を想定したものかを確かめておくと、入社後のギャップを減らせます。
未経験者の採用に前向きな企業が一定数存在する背景には、IT人材の需給ギャップがあります。経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」では、2030年時点でIT人材が低位シナリオで約16万人、高位シナリオで約79万人不足すると試算されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年公表)。この試算は業界全体の中長期的な見通しであり、個々の企業の採用状況や、体育会出身者の採用実績を示すものではありませんが、未経験者の採用枠が一定数存在する背景事情として参考になります。
体育会経験と年収の関係をどう考えるか
繰り返しになりますが、体育会出身者に限定した年収の統計は確認できていません。ここでは、選考時の評価と年収の関係について、公開されている企業の声を参考情報として紹介します。
IT・SES業界の株式会社GROWは、採用では学歴・職歴でなく人柄を重視し、「わからない」と素直に言える人を評価していると述べています(出典:ツナカレメディア 人事の声、2025年12月3日公開)。これは新卒採用時点での発言であり、中途・未経験採用の評価基準と完全に一致するとは限りませんが、技術力そのもの以外の要素を評価する企業が一定数あることの参考にはなります。
体育会経験を通じて培われた、分からないことを認めて周囲に確認する姿勢や、地道な練習を継続する耐性は、こうした評価ポイントと重なる部分があるかもしれません。ただし、これは選考通過のしやすさに関わる可能性がある要素であって、年収そのものを直接押し上げる保証ではない点は分けて考える必要があります。年収は前述のとおり雇用形態・工程・経験年数による影響の方が大きいと考えられるため、「体育会だから年収が高くなる」と期待しすぎず、求人ごとの条件を確認する姿勢が実践的です。
転職先を比較するときに確認しておきたいこと
未経験からSEへの転職を検討する場合、年収の数字だけでなく、次のような点も含めて求人を比較することをおすすめします。
- 雇用形態が明示されているか:正社員なのか、SESや契約社員なのかによって、契約の仕組みや将来の年収の伸び方が変わることがあります。
- 研修中と研修後の待遇の違い:未経験者向けの研修制度がある場合、研修期間中の給与が本採用後と異なることがあるため、いつから通常の給与体系になるのかを確認します。
- 昇給・評価の仕組み:何を基準に昇給するのか(資格取得、担当工程の変化、プロジェクトの成果など)が明示されているかを確認すると、入社後の見通しを立てやすくなります。
- SESの場合の契約先の変わり方:客先常駐の場合、契約先が変わることで業務内容や勤務地が変わる可能性があるため、契約更新のタイミングや本人の希望がどこまで反映されるかを確認しておくと安心材料になります。
これらは求人票だけでは分かりにくい場合もあるため、面接や条件面談の場で具体的に質問しておくことをおすすめします。
体育会経験全般がどのように評価されるかについては、体育会出身は転職で有利?20代の市場価値と評価される強みでも解説しています。また、SEという職種そのものの仕事内容や体育会経験が活きやすい場面については、SEへの転職、体育会経験はどう活きる?未経験からの強みと壁で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。SE以外の職種・業界も含めて比較したい場合は、体育会系に向いている仕事は営業だけじゃない|職種・業界マップも参考になります。未経験からの転職で職務経歴書に体育会経験をどう書くか迷う場合は、職務経歴書で部活・体育会経験を強みに変える書き方もあわせてご覧ください。
まとめ:年収は雇用形態・工程・経験で決まる部分が大きく、体育会経験は評価材料の一つとして考える
SEの年収は、正社員かSESかといった雇用形態、上流か実装かといった担当工程、勤務地域、経験年数によって幅があります。体育会出身者に限定した年収統計は確認できておらず、体育会経験が年収を直接押し上げる保証はありません。一方で、本文で紹介したように人柄や素直さを評価ポイントとして挙げる企業の声はあり、選考時の材料の一つになり得ます。年収の数字だけを見て判断するのではなく、雇用形態や研修制度、昇給の仕組みまで含めて求人を比較していくことをおすすめします。
SEへの転職が自分に合っているか一人で判断がつかない場合は、ツナカレキャリアの無料キャリア相談もご活用ください。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。