「内々定を出した人数に対して、何人が辞退したら多いと言えるのか」——次年度の採用計画や内々定数を設定する場面で、この問いに向き合うことがあります。本記事では、マイナビキャリアリサーチLabの公表調査をもとに、内定辞退率の推移、企業が把握している辞退の理由、効果があったとされる対策を確認します。そのうえで、自社の辞退率をどのように置いて比べるかを整理します。

内定辞退率が5割以上の企業は2026年卒で41.5%、2019年卒の約2倍に増えている

マイナビの企業調査では、内々定辞退率が5割以上の企業の割合は2019年卒の21.1%から2026年卒の41.5%に増えています。一方で、辞退者なしの企業も16.1%から23.8%に増えています。

辞退が多い企業と辞退がない企業の両方が増えており、二極化が進んでいると読むこともできます。ただし、その原因については調査が示していないため、本記事でも断定しません。

データの出所と定義を先に確認する

本記事の数値は、マイナビキャリアリサーチLabの「企業新卒内定状況調査」に基づきます。内定辞退率は、内定(内々定)を辞退された学生の人数を、内々定を出した学生の人数で割ったものです。企業側の回答であり、学生側の辞退経験率とは別のものです。

調査の概要は次のとおりです。

  • 調査名:2026年卒企業新卒内定状況調査
  • 調査期間:2025年9月5日〜10月3日
  • 有効回答:1,810社(上場126社・非上場1,684社、製造688社・非製造1,122社)
  • 発表日:2025年11月7日

辞退率のデータを社内資料などで引用する際は、次の項目を添えることをおすすめします。

  • 調査名
  • 対象卒年
  • 調査時期
  • 企業ベースか学生ベースか

内定辞退率の推移(2019年卒〜2026年卒)

5割以上の企業の割合は2023年卒で36.3%に上がり、その後も39.2%、40.5%、41.5%と増え続けています。

表1 内々定辞退率の推移(企業ベース)

卒年 辞退者なし 5割以上(計)
2019年卒 16.1% 21.1%
2020年卒 17.0% 24.0%
2021年卒 20.4% 14.4%
2022年卒 17.2% 21.0%
2023年卒 22.9% 36.3%
2024年卒 23.6% 39.2%
2025年卒 24.0% 40.5%
2026年卒 23.8% 41.5%

表から読み取れる点を整理します。

  • 2021年卒は、5割以上の企業の割合が14.4%と8年間で最も低くなっています。
  • 2023年卒は、5割以上の企業の割合が前年の21.0%から36.3%へ、15.3pt上がっています。
  • 辞退者なしの企業の割合も、2019年卒の16.1%から2026年卒の23.8%へ増えています。
  • 調査は増減の理由を示していないため、本記事では理由を断定しません。

2026年卒の辞退率の分布

2026年卒で最も多い区分は「辞退者なし」の23.8%で、次いで「5割」の17.4%です。内々定を出した全員に辞退された「10割」の企業も5.2%あります。

表2 2026年卒の内々定辞退率の分布

辞退率 企業の割合
辞退者なし 23.8%
1割 9.1%
2割 7.6%
3割 10.6%
4割 7.3%
5割 17.4%
6割 10.0%
7割 5.7%
8割 1.7%
9割 1.5%
10割 5.2%
5割以上(計) 41.5%

企業が把握している内定辞退の理由

2026年卒で最も多い辞退理由は「より志望度の高い企業から内定が出た」の49.8%で、2位の「希望職種」17.7%と大きな差があります。

表3 企業が把握した内々定辞退の理由(2026年卒・複数回答)

辞退理由 割合
より志望度の高い企業から内定が出た 49.8%
希望職種 17.7%
希望勤務地 15.1%
希望業種 12.1%
給与条件 11.4%
保護者からの反対 1.9%

これは企業が把握した理由であり、学生本人が答えた理由と一致するとは限りません。そのうえで、「より志望度の高い企業」が上位に来ていることから、内定後に志望度を上げる接点をどう設計するかが論点になると考えられます。

学生側のデータも一つ紹介します。マイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査9月」(調査期間2025年9月23日〜27日、1,268名、2025年10月10日発表)では、内々定先に「十分満足」と答えた割合が、就職活動終了者で53.3%、活動継続中の学生で7.5%でした。内々定先への納得感と就職活動の継続との関係を示す一つのデータですが、どちらが原因かは調査から読み取れません。

企業が「効果があった」と答えた内定辞退対策の推移

「効果があった」と答えた企業が最も多い施策は内定者懇親会(食事会等)で、2026年卒調査で59.6%です。誓約書の提出や定期的なメール連絡は、2022年卒から大きく下がっています。

出典についての注意点があります。この表は、マイナビキャリアリサーチLabのコラム「内定(内々定)辞退率の動向」が「企業新卒採用活動調査」(毎年6月頃実施)から抜粋した数値です。記載の卒年は調査年であり、数値は前年の内々定者に対して実施し、効果があった施策を示します。たとえば2026年卒の数値は、2025年卒の内々定者に対する施策の結果です。

表4 効果があった内定辞退対策(企業の回答)

施策 2022年卒 2026年卒
内定者懇親会(食事会等) 56.2% 59.6%
社員との座談会 -(2023年卒18.9%) 23.8%
内々定式 36.2% 22.8%
社内見学・工場見学 24.6% 21.4%
先輩との面談 32.4% 20.3%
定期的なメール連絡 45.7% 19.8%
人事との面談 37.0% 18.9%
誓約書の提出 57.0% 8.3%
入社前の配属先告知や確約 -(2025年卒5.8%) 5.2%
効果があると感じたものはなかった -(2023年卒12.3%) 11.4%

また、誓約書の提出(2022年卒57.0%→2023年卒15.2%)、定期的なメール連絡(同45.7%→21.8%)など、多くの施策で2022年卒から2023年卒にかけて大きく下がっています(2023年卒の値は表では省略)が、調査はその理由を示していません。「効果があった」は企業の主観による回答であり、辞退率の低下を測定したものではない点にも注意が必要です。自社で施策を選ぶ際は、この表を候補の洗い出しに使い、効果は自社の辞退率と辞退理由の記録で確かめる使い方が現実的です。

自社の内定辞退率を公表データと比べる手順

調査と同じ定義・同じ時点で自社の辞退率を出し、分布のどこに位置するかを見たうえで、過年度の自社データと並べるのが現実的です。次の4ステップで進めます。

  1. 定義をそろえる:辞退人数を、内々定を出した人数で割ります。
  2. 時点をそろえる:調査は9〜10月時点の回答です。自社も同じ時期で算出します。
  3. 分布上の位置を確認する:たとえば自社の辞退率が3割であれば、表2の「3割」(10.6%)の区分に当たります。表2の「辞退者なし」から「3割」までを足すと51.1%(編集部が表2の値を合算)になるため、辞退率3割は回答企業のおおむね中ほどの位置と読めます。区分は1割刻みのため、端数のある自社の値は近い区分に当てはめて見ます。
  4. 過年度の推移と辞退理由を並べる:自社の過年度の辞退率と、辞退の理由をいつ・どの段階で・何を理由に辞退されたかという形で記録して並べます。

辞退率と合わせて見ておきたい数値として、採用充足率があります。同じ2026年卒企業新卒内定状況調査では、採用充足率(内定者数÷募集人数)は69.7%(前年比-0.3pt)で、4年連続の低下でした。インターンシップ・仕事体験の実施有無別では、実施企業が75.3%、未実施企業が60.6%です。辞退率が「出した内々定のうち何割が残るか」、充足率が「募集人数に対して何割を確保できたか」を表すため、2つを並べると、次年度に何人に内々定を出すかを考える材料になります。なお、実施有無別の差は同時点の比較であり、この数値からインターンシップが充足率を上げると言えるわけではありません。

業界別の内定辞退率については、本記事で確認した公開調査の範囲では数値が見当たりませんでした。業界による違いは、自社の過年度データと比べて補うことになります。指標の置き方は採用KPI設計の基本で整理しています。

体育会学生の採用でデータを読み替えるときの視点

公表データは学生全体の数値であり、体育会学生に限った内定辞退率の公開データは、本記事で確認した範囲では見当たりません。そのため、数値そのものよりも「辞退理由の上位は、より志望度の高い企業」という構造を、個々の学生の就職活動の進め方と重ねて考えるのが現実的です。

ツナカレメディアで公開しているOBOGインタビューから、企業選びの進め方に関する個別の声を3つ紹介します。

応募社数を絞る、自分なりの軸で比べるという進め方をする場合には、企業側が内定後に伝える情報、たとえば事業の内容や規模、働く人の姿が比較材料になる可能性があります。いずれも個人の声であり、体育会学生全体の傾向を示すものではありません。

実務の詳細は内定辞退防止チェックリスト、競技日程を踏まえた接点設計は体育会学生の内定者フォローで解説しています。

まとめ:辞退率は「定義と時点をそろえた比較」から始める

内々定辞退率が5割以上の企業は2026年卒で41.5%に上り、辞退者なしの企業も23.8%あります。企業が把握する辞退理由では「より志望度の高い企業から内定が出た」が49.8%と最も多く、効果があった対策では内定者懇親会が59.6%でした。まずは、調査と同じ定義・同じ時点で自社の辞退率を出し、分布上の位置と過年度の推移を確認するところから始めるのが現実的です。

自社の内定辞退率の読み解きや、体育会学生の内定者フォローの設計についてご相談がある場合は、採用のご相談からお気軽にお問い合わせください。年間の動き方は体育会採用カレンダーも参考になります。

参考にした公開データ

(確認日:2026年10月3日)