「同年代と比べて、自分の年収は低いのだろうか」「転職したら上がるのだろうか」。そう思って調べてみると、サイトごとに20代の平均年収が違っていて、どの数字を信じればよいのか迷ってしまうことがあります。
結論から言うと、20代の年収データは、出典ごとに「月額か年収か」「誰を集計したか」が違います。この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査と雇用動向調査、そしてdodaの公開データという3つを、定義ごとに分けて整理します。定義ごとに分けて見ると、20代の相場と、転職後に賃金がどう変わった人が多いのかという傾向をつかみやすくなります。
なお、体育会出身者に限定した年収の統計は、公開情報では確認できていません。この記事の数字は一般の労働者や転職サービス登録者のもので、体育会出身者の年収を示すものではありません。転職を急がせる記事でもなく、今の会社に残る選択も含めた判断材料として使ってください。
20代の平均年収は「どのデータか」で数字が変わります
賃金構造基本統計調査は月額の所定内給与、dodaは登録している正社員の年収、雇用動向調査は転職前後の賃金の増減の割合というように、3つのデータは測っているものがそれぞれ違います。
| 項目 |
賃金構造基本統計調査 |
雇用動向調査 |
doda「平均年収ランキング」 |
| 出し手 |
厚生労働省 |
厚生労働省 |
doda |
| 対象 |
一般労働者 |
転職入職者のうち、前職雇用者で調査時に在籍している人 |
dodaサービスに登録した正社員(約60万人) |
| 何を測るか |
月額の所定内給与(残業代・賞与は含まない) |
前職と比べた賃金の増減の割合 |
支給額ベースの年収 |
| 時点 |
令和7年6月分(令和8年3月公表) |
令和7(2025)年(令和8年8月公表) |
2024年9月〜2025年8月(2025年版) |
| 注意点 |
年収ではなく月額。×12しても年収にはならない |
増減の理由や金額までは分からない |
登録者の集計で、20代全体の平均ではない |
(出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」、厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」、doda「平均年収ランキング(年齢別・年代別)」2025年版)
サイトによって20代の平均が違って見えるのは、どちらかが誤っているからではなく、定義が違うからです。賃金構造基本統計調査の月額は賞与や残業代を含まないため、12倍しても年収にはなりません。この記事でも換算はしません。
賃金構造基本統計調査で見る20代の賃金(令和7年)
一般労働者の月額の所定内給与は、20〜24歳で24.28万円、25〜29歳で27.94万円と、20代後半にかけて上がっています。
令和7年6月分の所定内給与額(残業代や賞与を含まない月額)の集計です。
年齢・男女別の賃金
| 年齢階級 |
男女計 |
男 |
女 |
| 20〜24歳 |
24.28万円 |
24.57万円 |
23.96万円 |
| 25〜29歳 |
27.94万円 |
28.80万円 |
26.88万円 |
| (参考)30〜34歳 |
31.23万円 |
33.04万円 |
28.32万円 |
(出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第2表。千円単位の公表値を万円単位(小数2桁)に換算して掲載。例: 242.8千円→24.28万円)
男女計で見ると、20〜24歳と25〜29歳の差は3.66万円、25〜29歳と30〜34歳の差は3.29万円です(編集部計算)。ただし、これは同じ年に各年齢階級の平均を並べたもので、同じ人の昇給を追いかけた数字ではありません。差が生まれる理由も、この表からは読み取れません。また、月額の数字なので、賞与や残業代を含む年間の受取額とは別のものです。
学歴別の賃金
大学卒の月額は、20〜24歳で26.39万円、25〜29歳で29.64万円です。
| 学歴 |
20〜24歳 |
25〜29歳 |
| 高校 |
22.52万円 |
25.17万円 |
| 専門学校 |
23.84万円 |
26.68万円 |
| 高専・短大 |
24.33万円 |
27.72万円 |
| 大学 |
26.39万円 |
29.64万円 |
| 大学院 |
29.88万円 |
33.50万円 |
(出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第3表・男女計。千円単位の公表値を万円単位に換算して掲載)
大学卒の30〜34歳は34.03万円です。比べるときは、全体の平均ではなく、自分の学歴区分の数字を見るのがおすすめです。
企業規模別・雇用形態別の賃金
企業規模や雇用形態によっても、20代の賃金の平均には差があります。
| 区分 |
20〜24歳 |
25〜29歳 |
| 大企業(常用労働者1,000人以上) |
25.84万円 |
30.17万円 |
| 中企業(100〜999人) |
23.76万円 |
27.06万円 |
| 小企業(10〜99人) |
22.63万円 |
25.82万円 |
| 正社員・正職員 |
24.75万円 |
28.50万円 |
| 正社員・正職員以外 |
20.35万円 |
22.79万円 |
(出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第4表(企業規模別)・第6-1表(雇用形態別)、いずれも男女計。千円単位の公表値を万円単位に換算して掲載)
20〜24歳では大企業25.84万円と小企業22.63万円で3.21万円、25〜29歳では30.17万円と25.82万円で4.35万円の差があります(いずれも編集部計算)。正社員と正社員以外でも、20〜24歳で4.40万円、25〜29歳で5.71万円の差です(編集部計算)。
ただし、「規模が大きい会社のほうが良い」という意味ではありません。平均値は職種の構成などの影響を受け得るため、近い区分の数字を目安として使ってください。
dodaの年齢別データで見る20代の平均年収(2025年版)
転職サービス登録の正社員で見ると、20代の平均年収は365万円で、20歳の273万円から29歳の421万円まで、年齢とともに上がっています。
| 年齢 |
平均年収 |
| 20歳 |
273万円 |
| 21歳 |
283万円 |
| 22歳 |
302万円 |
| 23歳 |
321万円 |
| 24歳 |
350万円 |
| 25歳 |
367万円 |
| 26歳 |
383万円 |
| 27歳 |
399万円 |
| 28歳 |
410万円 |
| 29歳 |
421万円 |
(出典: doda「平均年収ランキング(年齢別・年代別)」2025年版)
20代全体の平均は365万円で、男女別では男性392万円、女性341万円です(2024年9月〜2025年8月に登録した約60万人の正社員、支給額ベース)。この数字は20代で働く人すべての平均ではありません。賃金構造基本統計調査とは対象も単位も違うため、並べて優劣をつけることはできません。
20代で転職した人の賃金はどう変わったか(雇用動向調査)
令和7年の雇用動向調査では、前職より賃金が「増加」した転職入職者は20〜24歳で55.2%、25〜29歳で49.8%と全体の40.8%を上回る一方、「減少」した人も17.5%、23.9%います。
| 区分 |
増加 |
(うち1割以上) |
変わらない |
減少 |
(うち1割以上) |
| 全体 |
40.8% |
28.2% |
25.5% |
31.0% |
21.9% |
| 20〜24歳 |
55.2% |
44.2% |
19.9% |
17.5% |
10.2% |
| 25〜29歳 |
49.8% |
34.2% |
25.0% |
23.9% |
16.5% |
(出典: 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表6。対象は転職入職者のうち前職雇用者で調査時在籍者。全体には賃金変動状況不詳を含むため、各項目の合計は100%になりません)
表の読み方
この表では、20〜24歳、25〜29歳、全体の順に「増加」の割合が高くなっています。20〜24歳では、1割以上増加した人が44.2%います。一方で、減少した人も20〜24歳で17.5%、25〜29歳で23.9%おり、「転職すれば上がる」と言い切れるデータではありません。
また、この表から分かるのは割合だけです。増減の理由が職種の変更なのか、雇用形態の変化なのか、本人の希望なのかは分かりません。割合は目安にはなりますが、自分の転職の結果を示すものではありません。
年収データを見るときに押さえたい体育会OB/OGの3つの視点
平均は相場観をつかむ物差しで、自分の年収を決める数字ではありません。そのため、「評価・賞与の仕組み」「転職の軸」「今の会社での伸び方」とあわせて見ることをおすすめします。
評価・賞与の仕組みで20代の伸び方は変わり得る
同じ年齢でも、会社の評価や賞与の仕組みによって、年収の伸び方は変わり得ます。ツナカレメディアで公開されている取材記事から、2つの会社の例を紹介します。
不動産のタカマツハウス株式会社では、評価は年功序列ではなく、成果と周囲への貢献で判断しているそうです。20代で課長になった例もあるとのことです(出典: 人事の声(2026年1月29日公開))。
防犯防災設備工事の信和興業株式会社では、利益の20%を決算賞与として、年次や役職ではなく、その期の活躍度で還元しているとのことです(出典: 人事の声(2026年1月8日公開))。
これは「こうした会社が良い」という評価ではなく、評価制度や賞与の決まり方で伸び方が違い得る例です。求人票や面接で、評価の基準や賞与の決まり方を確かめる材料にしてください。
年収以外の転職の軸
転職の理由は、年収だけとは限りません。慶應義塾大学アメリカンフットボール部のOBは、新卒で銀行の法人営業に就いた後、「財務だけでなく戦略面も学びたい」という理由で外資系コンサルティング会社へ移り、その後スポーツ関連企業へ転職しています(出典: OB・OGインタビュー)。
学びたい領域を軸にした個人の一例で、誰にでも当てはまるわけではありません。ただ、年収データを見る前に「何を大切にしたいのか」を整理しておくと、数字だけに引っ張られにくくなります。
今の会社に残る場合の伸び方も比べる
転職だけが選択肢ではありません。賃金構造基本統計調査の年齢階級別の数字(20〜24歳24.28万円、25〜29歳27.94万円、30〜34歳31.23万円)と、今の会社での昇給や評価の見通しを比べてみるのも、ひとつの方法です。前述のとおり統計は同じ人の昇給を追ったものではないため、細かな金額の差ではなく「数年後にどのくらいの水準を目指せそうか」の目安として使います。先輩社員の昇格の時期や、評価面談で示される基準も、今の会社での伸び方を知る手がかりになります。
業界ごとの相場は、体育会出身の転職、業界別平均年収ランキングで整理しています。
自分の年収を公的データと比べる手順
比べる前に「月額か年収か」「残業代・賞与を含むか」をそろえ、年齢・学歴・企業規模・雇用形態の近い区分と比べると、ずれの少ない比較になります。
- 自分の給与を、比べたいデータの単位にそろえる。賃金構造基本統計調査と比べるなら、給与明細の基本給と毎月決まって支払われる手当の合計(残業代・賞与を除いた月額)を使う。dodaと比べるなら、手取りではなく額面(支給額)の年収を使う
- 年齢の区分を確認する。賃金構造基本統計調査は5歳刻みのため、24歳と25歳では比べる行が変わる
- 学歴の区分を確認する。全体の平均ではなく、自分の最終学歴の行を見る
- 企業規模と雇用形態をそろえる。勤務先の拠点の人数ではなく、会社全体の常用労働者数で区分を選ぶ
- 差があっても、それだけで判断しない。評価制度や仕事内容、今後の伸び方とあわせて考える
迷いやすい点を、チェック表にまとめました。
| 確認項目 |
見るポイント |
| 月額か年収か |
賃金構造基本統計調査は月額、dodaは年収。単位をそろえる |
| 残業代・賞与の扱い |
賃金構造基本統計調査の所定内給与は、残業代・賞与を含まない |
| 年齢区分 |
20〜24歳と25〜29歳で水準が違う |
| 学歴区分 |
高校・専門・高専短大・大学・大学院で分かれている |
| 企業規模 |
大企業は1,000人以上、中企業は100〜999人、小企業は10〜99人 |
| 雇用形態 |
正社員・正職員か、それ以外か |
| データの対象 |
全労働者に近い調査か、転職サービス登録者の集計か |
比べたうえで、年収の交渉を検討する場合は、転職の年収交渉、20代はどうやる?で進め方を解説しています。また、求人の競争状況を知りたいときは、中途採用の求人倍率を業界別データで解説も参考になります。第二新卒としての動き方は、第二新卒の進め方で整理しています。
まとめ 20代の平均年収データは定義をそろえて相場観をつかむ材料に
20代の年収データは、賃金構造基本統計調査(月額の所定内給与)、doda(登録正社員の年収)、雇用動向調査(転職前後の増減の割合)で測っているものが違います。まずは「月額か年収か」「誰を集計したか」をそろえることが比較の出発点です。
転職で賃金が増加した人は20〜24歳で55.2%、25〜29歳で49.8%ですが、減少した人も17.5%、23.9%います。体育会出身者に限定した統計は確認できていないため、これらはあくまで一般の相場観です。
転職するか、今の会社に残るかは、データだけでなく、評価の仕組みや仕事内容、大切にしたいことを含めてご自身で判断するものです。平均との高低に一喜一憂せず、判断材料のひとつとして使ってみてください。
自分の場合はどう考えればよいか迷うときは、ツナカレキャリアの無料キャリア相談も活用できます。
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