退職代行を使う・使わないの判断チェックリスト|体育会出身20代が先に確かめたい12項目

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「上司に退職を言い出せない」「引き止められそうで話が進まない」「先輩や監督のつながりで入った会社なので、切り出しにくい」。退職を考え始めたものの、直接伝えることに迷いがあり、退職代行という手段が頭に浮かんでいる方に向けて書いています。

結論から言うと、退職するかどうかと、退職代行を使うかどうかは別の判断です。代行を使うかどうかは、「自分で伝えられない理由」「求めたいことの範囲」「心身と安全」の3つの軸で整理すると考えやすくなります。この記事は特定のサービスを勧めたり評価したりするものではなく、使う・使わないの意思決定は読者ご自身に委ねる内容です。

結論:退職代行を使うかは「伝えられない理由・求めたいこと・心身の状態」の3軸で判断する

退職代行は「退職の意思を誰が伝えるか」の手段の1つであり、使うかどうかは次の3つの軸で整理すると判断しやすくなります。

軸 確かめること 関係する章
① 自分で伝えられない理由 自分で伝える手段(別の相手、メール、書面)が他に残っているか チェックリストのグループA
② 求めたいことの範囲 退職の意思の伝達だけか、退職日・有給休暇・未払い賃金などの交渉が要るか グループB、運営元の種類の章
③ 心身と安全 体調への影響や、直接話すことへの強い不安・威圧の有無 グループC

どの軸も、「はい/いいえ」で決める性質のものではありません。たとえば①で「伝える手段が残っている」と思えても、③で強い不安があれば、手段そのものより先に自分の状態を守る必要がある場合もあります。軸ごとに状況を見て、全体としてどの方法が合うかを考えていきます。

先に押さえたい退職のルール|期間の定めのない雇用は原則2週間前の申し入れ

期間の定めのない労働契約では、原則として退職の2週間前までに申し入れることが定められています(民法627条1項)。代行を使うかどうかに関係なく、まずこのルールと自分の契約形態を確認します。

厚生労働省「確かめよう労働条件」の退職ページでは、退職の形が次のように整理されています(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」退職・解雇)。

区分 内容 押さえたい点
期間の定めのない契約で、労働者から退職を申し入れる場合 原則として2週間前までに申し入れる(民法627条1項) 申し入れの時期が基準になる
合意退職 会社と労働者が話し合って退職日などを合意する 会社の承諾がなければ契約は終了せず、承認しない間は効果が発生しないとされる
有期労働契約の期間途中の退職 契約期間の途中で辞める場合 「やむを得ない事由」が必要とされる

同ページは、合意退職の注意点として「会社が退職を承認しない間はその効果が発生しない」ことを挙げています。自分がどの形で退職を進めようとしているのかを分けて考えておくと、代行を使う場合も使わない場合も、話が整理しやすくなります。

自分の契約が期間の定めのあるものか、ないものかは、雇用契約書や労働条件通知書で確認できます。また、就業規則に退職の申し出時期(「1か月前まで」など)が書かれている場合があります。就業規則と民法のどちらが優先されるかは、この記事では断定しません。ただし、円満に進めたい場合には、会社側が引き継ぎの準備をしやすくなる期間の目安として、就業規則の定めを確認しておくと配慮になります。

また、退職した労働者から使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由についての証明書を求められた場合、使用者は遅滞なく交付する義務があるとされています(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)。転職先に提出する書類などで必要になる場合があるため、覚えておくと役立ちます。

法律の解釈は個別の事情で変わります。迷ったら、後述する総合労働相談コーナーや弁護士に確認してください。

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データで見る退職代行の利用状況|転職者の16.6%が「利用した」と回答(2024年調査)

民間の公開調査では、直近1年に転職した正社員のうち16.6%が退職代行を「利用した」と回答しており、20代は18.6%でした。出典は、マイナビ「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」(2024年10月3日公表)です(マイナビキャリアリサーチLab)。

調査の対象は、直近1年間(2023年6月以降)に転職した20〜50代の正社員800名で、2024年7月4日〜18日にインターネットで実施されています。利用した人の理由の上位は次のとおりです。

利用理由 割合
退職を引き留められた(引き留められそう)から 40.7%
自分から退職を言い出せる環境でないから 32.4%
退職を伝えた後トラブルになりそうだから 23.7%

同じ調査の企業側の回答では、2024年上半期に退職代行を使って退職した人が「いた」企業は23.2%でした。

数字の読み方には注意が必要です。これは民間のインターネット調査で、母集団は転職した人800名です。体育会出身者に限った統計は確認できていません。また、利用した人の割合が示されていても、「使うべきかどうか」の基準にはなりません。

ただ、理由の上位に挙がっている「引き止め」「言い出せない環境」「伝えた後のトラブルへの不安」は、次の章のチェックリストの軸と対応しています。引き止めへの備えはグループA、トラブルへの不安はグループBとC、言い出せない環境はグループAとCで確認できます。

退職代行を使う・使わないの判断チェックリスト12項目

12項目を3つのグループに分けて確認し、どのグループに当てはまる項目が多いかで、「自分で伝える」「相談先を使う」「代行を検討する」のどれに近いかを見当づけます。点数で機械的に決めるものではありません。

グループA 自分で伝える選択肢は残っているか(4項目)

  • ① 直属の上司以外に伝えられる人がいるか:さらに上の上司や人事部門など、別の窓口に伝えられる場合があります。直属の上司との関係が難しい場合でも、窓口が1つとは限りません。
  • ② 対面が難しい場合、メールや書面で意思を伝えることを試したか:口頭が難しくても、書面で伝えれば記録も残ります。具体的な文面は後の章で例を示します。
  • ③ 引き止めへの返答を準備したか:「ありがたいお話ですが、退職の意思は変わりません」という一文を用意しておくだけでも、その場で言葉に詰まりにくくなります。
  • ④ 異動や休職など「辞める以外の選択肢」を検討したか、検討する余地がないと判断したか:辞める前に社内でできることを試したか、あるいはもう試す余地がないと自分で判断できているかを確かめる項目です。

④の参考として、公開されているOB/OGインタビューを1つ紹介します。ある大学のアメリカンフットボール部出身の方は、新卒で入った放送局で希望と異なる部署に配属されたあと、自ら企画した取材が評価されて社内異動を実現し、その後に「戦う当事者になりたい」という理由で退職して、母校のコーチに転身した経緯を語っています(出典:ツナカレOB/OGインタビュー)。

これは退職代行とは関係のない事例で、誰にでも当てはまる話でもありません。「辞める前に社内でできることを試したか」「辞める理由を自分の言葉で持てているか」を確かめる参考として紹介しています。

先輩や監督のつながりで入社した場合など、人間関係を気にして切り出しにくいと感じる場合もあります。その場合も、①〜③のように、伝える相手や手段を変える余地がないかを先に確かめておくと整理しやすくなります。

グループB 求めたいことの範囲(4項目)

  • ⑤ 伝えたいのは退職の意思だけか:意思の伝達だけなら、書面で自分で伝える方法も選びやすくなります。
  • ⑥ 退職日、有給休暇の消化、未払い残業代、退職金などについて、会社とやり取り(交渉)する必要がありそうか:交渉が要るかどうかは、次の章の運営元の種類を考えるうえで重要な論点になります。
  • ⑦ 会社との間で揉めている点があるか:たとえば、損害賠償をほのめかされた、といった場合です。こうした点がある場合は、弁護士など法律の専門家への相談を検討する材料になります。
  • ⑧ 貸与品の返却、私物、離職票などの書類のやり取りの方法を決めているか:直接会わずに済ませたい場合、郵送などの方法を会社と取り決める必要があります。

グループC 心身と安全(4項目)

  • ⑨ 上司と話すことを考えると、体調に影響が出ているか:眠れない、食欲がないなどの変化がある場合は、手段の選択より先に自分の状態を確認し、医療機関への相談も検討してください。
  • ⑩ 威圧的な言動やハラスメントを受けていて、直接話すこと自体に強い不安があるか:この場合は、自分で直接伝える方法にこだわらず、別の手段を検討してかまいません。
  • ⑪ 医療機関や家族など、相談できる相手がいるか:1人で抱え込んでいないかを確かめる項目です。
  • ⑫ 退職後の生活費・保険・年金の手続きの見通しを持てているか:退職後の手続きについては転職チェックリスト完全版|体育会出身20代の準備項目と手続き期限でまとめています。

結果の読み方の目安

  • グループAで「まだ試せる」が多い場合:自分で伝える方法から検討するのも一案です。
  • グループBで⑥や⑦に当てはまる場合:会社との交渉の扱いが論点になるため、次の章で運営元の種類による違いを確認してください。
  • グループCで⑨や⑩に当てはまる場合:まず自分の心身を守ることを優先し、医療機関や公的窓口への相談も選択肢に入れてください。厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、働く人のメンタルヘルスに関する情報や相談窓口の案内を見られます。

目安であって、診断や判定ではありません。当てはまる項目が少なくても、不安が強ければ相談してかまいません。

運営元の種類で「できること」が異なる|交渉が必要かで選び分ける

退職代行の運営元は、一般に民間企業・労働組合・弁護士(法律事務所)に分けられ、退職の意思を伝える以外に、会社と交渉できる範囲が異なるとされています。

運営元 一般的に説明されている対応範囲 確認したいこと
民間企業 退職の意思の伝達が中心。退職日・有給・未払い賃金などの交渉は、弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)との関係が問題になりうるとされる 「伝達」と「交渉」の線引きをどう説明しているか
労働組合 団体交渉の枠組みで交渉できるとされる(組合への加入が前提) 加入の手続き、費用、組合員になることの意味
弁護士 交渉や法的手続きまで対応できるとされる 対応できる範囲と費用、追加料金の有無

弁護士法72条の条文は、e-Gov法令検索で確認できます(弁護士法)。

個々のサービスがどの範囲に対応するか、またその対応が適法かどうかを、この記事で判断することはできません。契約前に、運営元・対応範囲・追加費用の有無・返金条件を書面で確認してください。チェックリストのグループBで⑥や⑦に当てはまった場合は、特にこの確認が重要になります。

退職代行を使う前に試せる方法|自分で伝える文面と無料の公的相談先

代行を使う前に、書面で意思を伝える方法や、無料の公的相談窓口を使う方法もあります。

自分で伝える最小限の文面

口頭で切り出すのが難しい場合でも、メールや退職届の形で、最小限の文面なら用意しやすいと感じる場合があります。次は一例です。

一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。

引き止めを受けたときの返答の例は、次のとおりです。

ありがたいお話ですが、退職の意思は変わりません。

理由を詳しく説明する必要はなく、意思と希望日を簡潔に伝える形でも構いません。切り出し方の手順は退職の伝え方|円満退職のための上司への切り出し方とタイミングで詳しく説明しています。

総合労働相談コーナー

厚生労働省の「総合労働相談コーナー」は、職場のトラブルについての相談や情報提供をワンストップで行う窓口です。予約不要・無料で、全国378か所(各都道府県労働局や労働基準監督署内など)に設けられています。労働者だけでなく、事業主からの相談も受け付けています(出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」)。

同ページでは、相談の対象として解雇・雇止め・賃金の引き下げ・いじめ・嫌がらせ・パワハラなど幅広い労働問題が挙げられています。代行を使うかどうかを決める前に、自分のケースで何を確認すればよいかを整理する場として使う方法も考えられます。

そもそも転職するかどうか自体に迷いがある場合は、転職するべきかわからないときの判断軸|相談前に整理する4つの問いで整理する方法を紹介しています。疲れが強いと感じる場合は、転職を考える前に|頑張りすぎる体育会出身者の疲れ方も参考にしてください。

退職代行を使うと決めた場合に確認しておきたいこと

使うと決めた場合も、契約前に対応範囲と費用、退職後の手続きの流れを書面で確認しておくと、後のやり取りが整理しやすくなります。確認したい項目を挙げます。

  • 運営元の種類と対応範囲:民間企業・労働組合・弁護士のどれか、交渉まで含まれるのかを確認します。
  • 料金と追加費用、返金条件:基本料金のほかに追加で発生する費用がないか、希望どおりに進まなかった場合の扱いはどうなるかを確認します。
  • 会社から本人へ連絡が来た場合の方針:連絡を完全に止められるとは限らないため、来たときにどう対応するかを事前に決めておきます。
  • 貸与品の返却と、私物の受け取り方法:郵送で済ませるのか、受け渡し方法をどうするかを整理します。
  • 離職票・源泉徴収票・退職証明書などの書類の受け取り方法:転職先や各種手続きで必要になるため、届け先と時期を確認します。
  • 健康保険・年金の切り替え:退職後の手続きの流れは転職準備チェックリストで確認できます。

転職活動で退職理由を聞かれたときの考え方は、転職面接で退職理由を聞かれたときの答え方|体育会出身者向けの例文で整理しています。退職代行を使ったことを選考で伝えるかどうかは、ご本人が判断することです。

まとめ:退職代行は手段の1つ。3つの軸で自分のケースを確かめる

退職代行は、「退職の意思を誰が伝えるか」の手段の1つです。使うかどうかは、①自分で伝えられない理由、②求めたいことの範囲、③心身と安全の3軸と、12項目のチェックリストで確かめられます。

自分で伝える手段が残っていないか、交渉が要るのか、運営元の種類で対応範囲がどう違うのか、心身に無理がかかっていないか。これらを一つずつ確かめたうえで、使う・使わないのどちらを選ぶかを決めるのは、読者ご自身です。迷いが強いときは、総合労働相談コーナーなど無料の窓口に先に聞いてみる方法もあります。

退職の前後でやることを整理したい方は転職準備チェックリスト&職務経歴書テンプレ(無料PDF)をダウンロードのうえご登録ください。ご相談内容に編集部からメールで回答します。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。

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FAQ

よくある質問

Q1
退職代行を使ったことは、転職先に不利になりますか?
退職代行の利用が転職の選考に与える影響について、公的なデータは確認できていません。選考で退職理由をどう伝えるかは、ご本人が決めることです。退職理由を聞かれたときの考え方は「退職理由の答え方」の記事にまとめているため、あわせて参考にしてください。
Q2
有給休暇の消化や未払い賃金の支払いを求めたい場合は、どうすればよいですか?
退職の意思を伝えるだけでなく、会社と交渉する内容にあたる可能性があります。運営元の種類によって対応できる範囲が異なるとされ、一般に、交渉は弁護士または労働組合が対応する範囲と説明されています。契約前に対応範囲を書面で確認してください。無料・予約不要の公的窓口である厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談することもできます。
Q3
退職後、会社から本人に直接連絡が来たらどうなりますか?
一般論として、代行を使っても会社からの連絡を完全に止められるとは限りません。事前に、連絡が来た場合の対応方針を代行側と確認しておくと安心です。貸与品の返却や書類のやり取りは、書面やメールなど記録が残る形で整理しておくと、後から確認しやすくなります。

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