転職するとして、活動には何か月かかるのだろう。今の仕事を続けながら動くなら、いつから始めればいつ頃に入社できるのか見積もっておきたい。この記事は、そうした在職中の20代の体育会OB/OG(社会人)に向けて書いています。
結論から言うと、よく目にする「平均3か月」という数字は、出典ごとに測っている区間が違います。「活動を始めてから離職するまで」「調べ始めてから内定まで」「内定から入社まで」と区間ごとに分けて見ると、自分の計画に落とし込みやすくなります。この記事は転職を急がせるものではなく、今の会社に残る選択も含めて判断材料をそろえるためのものです。
結論:「平均◯か月」は、何から何までの期間かで数字が変わります
公的統計で「転職活動の平均は◯か月」と1つの値で示したものは、本記事の出典では確認できませんでした。よく引用される数字は「活動開始〜離職」や「調べ始め〜内定」など、測っている区間がそれぞれ異なります。
次の表は、本記事で扱う3つの数字を、測っている区間ごとに並べたものです。
| 出典 |
測っている区間 |
主な数値 |
対象・時点 |
| 厚生労働省 令和2年転職者実態調査 |
転職活動を始めてから直前の勤め先を離職するまで |
「1か月以上3か月未満」28.8%が最多。「転職活動期間なし」23.6% |
令和2年(2020年)調査 |
| マイナビ 転職動向調査2026年版 |
転職を意識して求人情報等を調べ始めてから内定通知まで |
「3か月未満」が約7割 |
2025年に転職した正社員(20〜50代) |
| マイナビ 転職動向調査2026年版 |
内定から入社まで |
在職中に転職した人の平均48.5日 |
同上 |
出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-2-03.pdf
出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tensyokudoukou0323UP-1.pdf
同じ「期間」という言葉でも、始点と終点がずれていると、数字をそのまま比べることはできません。以降の章で、それぞれの中身を順に見ていきます。
公的統計で見る:厚生労働省「転職者実態調査」の期間データ
令和2年調査では、転職活動を始めてから前の勤め先を離職するまでの期間は「1か月以上3か月未満」が28.8%で最も多く、「1か月未満」が18.3%、「3か月以上6か月未満」が15.7%と続きました。
活動開始から離職まで(令和2年調査)
| 転職活動を始めてから直前の勤め先を離職するまでの期間 |
割合 |
| 1か月未満 |
18.3% |
| 1か月以上3か月未満 |
28.8% |
| 3か月以上6か月未満 |
15.7% |
| 6か月以上1年未満 |
5.9% |
| 転職活動期間なし |
23.6% |
(その他の区分は省略しています)
「1か月未満」から「3か月以上6か月未満」までを単純に足すと、6か月未満の合計は62.8%です。ただし、この調査が測っているのは「内定まで」の期間ではなく「離職するまで」の期間です。「転職活動期間なし」が23.6%ある点も含め、この数字は内定までにかかる期間の目安としてそのまま使うのは避けたほうがよいものです。
出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-2-03.pdf
離職から次の仕事に就くまで
同じ調査には、直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間もあります。「離職期間なし」が26.1%、「1か月未満」が27.6%、「1か月以上2か月未満」が13.3%でした。離職から就職までの期間は、活動開始から離職までとは別の区間です。
最新の令和7年調査(2026年9月25日公表)
厚生労働省は令和7年の転職者実態調査の概況を2026年9月25日に公表しました。調査事項には転職活動期間が含まれていますが、公表された概況(結果の概要)には、期間の集計は掲載されていません。最新の公的な期間データを確認したい場合は、今後公表される統計表を確認する必要があります。
なお、この概況には転職活動の方法の集計があります(複数回答)。求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等が45.1%、ハローワーク等の公的機関が29.6%、縁故(知人、友人等)が22.2%でした。同じ概況では、25〜29歳の転職者は求人サイト等が53.5%、民間の職業紹介機関が27.7%でした。いずれも期間とは別の参考情報として紹介します。
出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r07-gaikyo.pdf
民間調査で見る:考え始めから入社までの区間別データ
マイナビの2026年版調査では、調べ始めから内定までは「3か月未満」が約7割で、応募から内定までは「2か月未満」が8割強でした。厚生労働省の統計と違い、こちらは「内定まで」の期間を中心に聞いています。
区間別の内訳
| 区間 |
数値 |
読み方 |
| ① 転職が頭に浮かんでから、求人情報等を調べ始めるまで |
「2カ月未満」が7割半 |
約7割半が2か月未満で動き出しています。残る人はそれ以上かかっており、考え始めの時期は人によって差があります |
| ② 調べ始めてから応募するまで |
「2カ月未満」が7割強 |
情報収集から応募までも、2か月未満で済んだ人が多数でした |
| ③ 応募してから内定通知まで |
「2カ月未満」が8割強。1週間未満17.4%、1〜2週間未満20.2%、2週間〜1か月未満24.1%、1〜2か月未満21.0% |
1社あたりの選考期間です。1か月未満の合計は61.7%(17.4+20.2+24.1)です |
| ④ 調べ始めてから内定通知まで(合計) |
「3か月未満」が約7割 |
①を除いた、②と③を合わせた区間です。前年は6割強でした |
| ⑤ 内定から前職の退職まで |
在職中に転職した人の平均38.5日 |
内定後、前職の退職までにかかった日数の平均です |
| ⑥ 内定から入社まで |
在職中に転職した人の平均48.5日。1〜2か月が63.8% |
内定から入社までが1〜2か月だった人が6割を超えています。前職の退職日と入社日の間(平均の差は10.0日)も含めて日程を組む必要があります |
読み方に注意したいのは、各区間の数字は別々に聞いた質問への回答という点です。①から⑥を足し合わせて「全体で◯か月」と計算すると、実態とずれる場合があります。
20代の分布
調べ始めてから内定通知までの合計期間について、全体と20代男女の分布は次のとおりです(単位は%)。
| 区分 |
全体 |
男性20代(n=254) |
女性20代(n=191) |
| 2週間未満 |
12.2 |
13.0 |
9.4 |
| 2週間〜1か月未満 |
10.7 |
11.4 |
11.0 |
| 1〜2か月未満 |
25.9 |
29.5 |
26.7 |
| 2〜3か月未満 |
21.2 |
19.3 |
22.0 |
| 3か月〜半年未満 |
16.0 |
14.6 |
15.2 |
| 半年〜1年未満 |
8.0 |
7.1 |
8.9 |
| 1年以上 |
6.1 |
5.1 |
6.8 |
全体でも20代の男女別でも、最も多いのは「1〜2か月未満」でした。一方で、半年以上かかった人も全体で合計14.1%(8.0+6.1)、20代男性で12.2%、20代女性で15.7%います。最も多い区分だけを見るのではなく、長くかかる場合もあることを前提に計画を立てておくと、選考が長引いたときにも日程を組み直しやすくなります。
在職中の動き方
同じ調査では、2025年に転職した人の74.3%が在職中に転職していました。在職中に転職した人のうち73.8%が、転職活動のために有給休暇を取得しており、平均取得日数は8.9日でした。在職中に動く場合は、有給休暇の残日数も計画に入れておくとよいでしょう。
調査概要と注意点
対象は、正社員として働く20〜50代のうち2025年に転職した人で、本調査の回答者は1,446人です。インターネット調査で、実施は2025年12月です。厚生労働省の統計とは対象も聞き方も違うため、両者の数字を直接比較したり、混ぜて平均したりしないでください。
出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tensyokudoukou0323UP-1.pdf
データを自分の計画に落とす:在職中の体育会出身20代向け逆算表(編集部作成)
公開データの区間を使って「いつまでに入社したいか」から逆算すると、自分の活動期間の目安を立てやすくなります。次の表は、編集部が公開データの区間を組み合わせて作った目安であり、統計そのものではありません。人によって前後します。
入社希望月を「0」として、さかのぼる例を示します。
| 区間 |
目安の長さ |
根拠にした公開データ |
| 内定 → 入社 |
1〜2か月程度 |
マイナビ:平均48.5日、1〜2か月が63.8% |
| 応募 → 内定 |
1か月未満〜2か月程度(1社あたり。複数社を並行すると全体は延びる場合あり) |
マイナビ:1か月未満が約6割、2か月未満が8割強 |
| 調べ始め → 応募 |
2か月未満を目安(人によって前後) |
マイナビ:2か月未満が7割強 |
| 棚卸し・書類準備 |
編集部の目安:1か月程度 |
公開データなし。職務経歴書の下書きなどを想定 |
たとえば4月に入社したい場合は、内定が2〜3月ごろ、応募が12〜2月ごろ、情報収集と書類準備が前年の10〜11月ごろから、という具合に逆算できます(編集部による計算例です)。「2か月未満」といった幅のある数字は、短くなる場合も長くなる場合もあります。表の目安より1〜2か月ほど余裕を持たせておくと、選考や退職の日程が動いたときにも対応しやすくなります。
社会人になっても競技やクラブ活動を続けている方は、大会やシーズンの日程と面接日程が重なる場合があります。日程表に大会や練習を先に書き込んでから応募数を決める、という工夫が方法の一つになります。
引退直後の時期の考え方は、引退直後の転職は何月から動く?体育会出身20代の時期別の進め方を、年末に動く場合は年末の転職活動の進め方|体育会出身20代が年内に動くときの判断軸をご覧ください。
一次情報から:競技中心だった人の転職活動の入り方
ツナカレメディアの公開インタビューには、情報収集の不足を振り返り、転職時は早めに相談先を使ったという声があります。期間の統計ではなく、個別の体験談として読んでください。
- ある大学アメリカンフットボール部のOBは、競技中心で情報収集が不足したまま1社目を決めた反省から、転職時はエージェントに積極的に相談したと話しています(出典:OBOGインタビュー、2026年5月18日取材)
- 別の大学アメリカンフットボール部のOBは、社会情勢が落ち着いた時期を見て転職活動を始め、未経験の業界へ移ったと話しています(出典:OBOGインタビュー、2026年8月28日取材)
どちらも活動期間の長さを示すものではありません。始める時期や相談先の選び方は人によって異なるため、参考になる部分だけを取り入れてください。エージェントの使い方は転職エージェントの使い方|体育会出身者が失敗しない選び方にまとめています。
活動期間が延びやすい場面と、見積もりのときの注意点
期間の数字は平均や分布であり、個別の応募先の選考日程や本人の状況によって前後します。見積もりの際は、次の点に注意してください。
- 出典ごとに区間が違う数字を足し算・平均しない:厚生労働省の「離職まで」とマイナビの「内定まで」は、始点と終点が違います。混ぜて計算すると、実態とずれた数字になります。
- 選考回数や日程調整で延びる場合がある:一般的には、面接の回数が多い応募先や、日程調整に時間がかかる場合に選考期間が延びることがあります。在職中は平日に動ける時間が限られるため、面接に出られる曜日や時間帯を先に整理しておくと、候補日を早めに返しやすくなります。
- 退職の申し出期限を就業規則で確認する:内定後に入社日を決める際は、今の会社の就業規則に書かれた退職の申し出期限が関わります。マイナビの調査でも、在職中に転職した人の内定から退職までは平均38.5日でした。伝え方やタイミングは退職の伝え方|円満退職のための上司への切り出し方とタイミングで確認できます。
- 体育会出身者に限定した統計は公表が確認できていない:本記事の数値は一般の転職者のデータです。体育会出身かどうかで期間がどう変わるかは、ここからは分かりません。
手続きの期限や準備項目は、転職チェックリスト完全版|体育会出身20代の準備項目と手続き期限にまとめています。
まとめ:区間ごとに数字を見て、自分の入社時期から逆算する
「平均3か月」という数字は、出典によって測る区間が違います。厚生労働省の令和2年調査は「活動開始〜離職」、マイナビの2026年版調査は「調べ始め〜内定」や「内定〜入社」を見ています。令和7年の厚生労働省の概況には、期間の集計は掲載されていません。
自分の計画を立てるときは、入社したい月から、内定後の1〜2か月、選考の1〜2か月と順にさかのぼり、半年以上かかる場合もあることを頭に入れて余裕を持たせておくと安心です。今の会社に残る選択も含めて、判断材料をそろえてから決めて問題ありません。
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