年末が近づくと、「転職活動は年明けからのほうがいいのだろうか」「年内に動き出さないと遅れるのだろうか」と迷う方がいます。仕事が繁忙期に入ったり、年末年始の休みを挟んだりするため、判断しづらい時期です。

結論から言うと、年末だからといって転職活動をあきらめる必要はありません。ただし、年末は選考の日程や税金・賞与・引き継ぎの確認事項が重なりやすい時期です。この記事では、公開データと公的な情報をもとに、年内に動くか年明けに回すかを自分で判断するための軸を整理します。転職を急がせる意図はありません。今の職場に残る選択も含めて、判断材料を並べることを目的としています。

結論:年末は「動けるが、確認事項が重なる時期」と考えて進める

年末の転職活動は、求人が出ていないわけではなく、日程と手続きの確認を先に済ませておけば進められます。判断の軸は「賞与」「退職の申し出の期限」「年末調整」の3つです。

確認事項 年末に気をつけたい理由 確認先
賞与 支給日に在籍していることが条件になっている場合がある 就業規則(賃金規程)
退職の申し出 就業規則に申し出期限(例:1か月前)がある場合がある 就業規則・上司・人事
年末調整・税金 入社時期によって、年末調整を受けるか確定申告になるかが変わる 国税庁の案内・税務署

(編集部作成の整理。個別の状況によって異なります)

12月の求人動向|公開データで見る年末の転職市場

12月は転職希望者が減りやすい時期とされていますが、求人が止まっているわけではありません。ここでは、公開されているdodaのデータを確認します。

dodaの「転職求人倍率レポート(2025年12月)」(2026年1月22日発表)では、次の数値が公表されています。

指標 2025年12月
転職求人倍率 2.96倍(前月差+0.26ポイント)
求人数 前月比+2.6%、前年同月比+6.1%
転職希望者数 前月比-6.4%、前年同月比+12.9%

同レポートでは、求人数が増加する一方、転職希望者数が例年通り年末に減少したため倍率が上昇した、と説明されています。つまり、少なくともこの1か月のデータでは、「求人が減って選べない」というより「動く人が減って、求人数に対する希望者の比率が下がった」状態でした。また、12業種中11業種で前月から求人が増加していたとされています(出典はこの節の末尾に記載)。

注意点が2つあります。

  • これは2025年12月の1か月分のデータで、毎年同じ傾向になるとは限りません
  • 全体の数値のため、体育会出身者だけの統計や、特定の職種・地域の傾向は分かりません

応募を考えている業界や職種については、求人サイトの掲載状況を自分で確認してください。

出典:doda「転職求人倍率レポート(2025年12月)」 https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/2026/01.html

判断軸1|賞与は「支給日に在籍しているか」で変わる場合がある

冬の賞与を受け取れるかどうかは、就業規則の定めによります。年内か年明けかを決める前に、自社の規定を確認してください。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の運営するJ-Net21の解説では、賞与支給日に在籍しない者には賞与を支給しないという「支給日在籍要件」が就業規則にある場合、その定めにより支給しないことが認められているとされています。最高裁判所の大和銀行事件判決(昭和57年10月7日)も、この要件を有効としたものとして紹介されています。

ただし、同じ解説では、年俸制で年間総額を月割りしたものである場合や、就業規則の別の規定で退職前にすでに受給権が生じている場合などは、支払義務が生じることがあるとも示されています。つまり、一律に「もらえない」「もらえる」とは言えません。

就業規則(賃金規程)で、賞与の定め、支給対象期間と支給日、在籍要件の記載、年俸制や個別契約での別の定めの有無を確認してください。

賞与の受け取りを優先して退職時期を決めること自体は個人の判断です。ただし、内定先に入社日の調整を依頼できるかは企業によるため、内定時に相談してください。

出典:J-Net21「賞与の支給日在籍要件について」 https://j-net21.smrj.go.jp/qa/hr/Q0657.html

判断軸2|退職の申し出は「いつまでに」が就業規則で決まっている場合がある

民法上、期間の定めのない雇用では退職の申し入れから2週間で効力が生じますが、就業規則に申し出期限がある場合は、まずそれに沿うほうがトラブルを避けやすくなります。

厚生労働省の労働局による案内では、労働者からの退職の申し入れは、使用者の承諾がなくても2週間を経過すれば効力が発生するとされています。一方で、就業規則に退職の申し出期間が定められていて、その期間が社会通念上著しく長くない場合(例:1か月前までの申し出)は、トラブル防止のため、まずは就業規則の定めに沿って申し出るほうがよい、とも述べられています。

年末年始は休みを挟むため、引き継ぎに使える勤務日は想像より少なくなることがあります。年内退職を考えるなら、内定の見込みが立った段階で、申し出期限、年末年始休暇と有給休暇の残日数、引き継ぎに必要な期間を整理しておくと進めやすくなります。

退職の伝え方や進め方は、退職の伝え方|円満退職のための上司への切り出し方とタイミングにまとめています。

出典:厚生労働省 茨城労働局「やめたいのにダメと言われて困ってる」 https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/shurouchu/worker_d/qa_wyametai.html

判断軸3|年内退職か年明け退職かで、年末調整の扱いが変わる場合がある

年の途中で転職した場合、年内に再就職して年末まで勤務すれば、就職先での年末調整が基本になります。そのため、前の勤務先の源泉徴収票を忘れずに受け取っておくことが重要です。

国税庁のタックスアンサー「No.2674 中途就職者の年末調整」では、年の中途で就職し年末まで勤務している人も年末調整の対象になるとされています。そのとき、前の会社などから受けた給与の金額や徴収された税額は、前の会社から交付された「給与所得の源泉徴収票」で確認します。この確認ができないときは、年末調整を行うことはできず、本人が確定申告により所得税などを精算することになる、と説明されています。

整理すると、次のようになります。

場合 年末調整・確定申告の基本的な考え方
年内に退職し、年内に別の会社へ入社して年末まで勤務した 就職先で年末調整を受けるのが基本。前職の源泉徴収票を就職先に提出する
年内に退職し、年明けに入社した(年内は無職の期間がある) その年の給与について、勤務先での年末調整を受けられない場合がある。確定申告で精算する場合があるため、税務署や国税庁の案内で確認する
年明け(翌年)に退職した 在籍している勤務先で、その年の年末調整を受けるのが基本

(編集部作成の整理。副業収入や家族構成など個別の状況によって異なります)

なお、確定申告は原則として翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います(国税庁タックスアンサー No.2020)。詳しい手続きの確認先や、転職時に必要なその他の書類は、転職チェックリスト完全版|体育会出身20代の準備項目と手続き期限で確認できます。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2674 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm 、No.2020 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm

年内に動く場合の進め方(編集部作成の目安)

年末に動く場合は、「年内は就業規則の確認・書類づくり・応募、年明けに面接や条件確認」と分けると無理が出にくくなります。年末年始は企業の担当者が不在の期間もあるため、連絡までの日程が延びる場合があります。企業ごとの選考日程は異なるため、応募時に確認するのが確実です。

一次情報から|転職時期の決め方についてOB/OGが話していること

転職を始める時期について、体育会出身者2人のインタビューでは、「周りの状況」と「情報収集のやり方」が話題に上っています。以下は、ツナカレメディアの公開インタビューからの引用です。

一橋大学アメリカンフットボール部出身のOBは、東日本大震災の影響が落ち着いた頃に転職活動を開始し、未経験でスポーツ業界に飛び込んだと話しています(出典:OBOGインタビュー、2026年8月28日取材)。外部の状況が落ち着くのを待って動き出した一例ですが、同じ判断が誰にでも合うわけではありません。

また、東海大学アメリカンフットボール部出身のOBは、競技中心で情報収集が足りないまま1社目を決めた反省から、転職時にはエージェントに積極的に相談したと話しています(出典:OBOGインタビュー、2026年5月18日取材)。年末の限られた期間で動く場合は、情報収集と書類づくりを一人で抱えず、第三者の視点を取り入れる方法もあります。相談先の選び方は転職の相談を無料でしたい20代へ|体育会出身者の相談先6種と選び方を参考にしてください。

これらは個別の体験談であり、年末の転職活動そのものについての取材ではありません。

年末の転職活動を始める前のチェックリスト

次の項目に答えられれば、年末に動くかどうかを落ち着いて判断しやすくなります。

確認事項(編集部作成)

  • 就業規則で、賞与の支給日・在籍要件を確認したか
  • 就業規則で、退職の申し出期限を確認したか
  • 年末年始休暇と有給休暇の残日数を把握したか
  • 前の勤務先の源泉徴収票を受け取る時期を把握したか
  • 職務経歴書の下書きを作ったか
  • 相談相手(家族、友人、第三者)を決めたか

年収の伝え方は転職の年収交渉、20代はどうやる?準備と伝え方の型で整理しています。

まとめ:年内か年明けかは、確認事項を並べてから決める

年末だからといって、転職活動を始められないわけではありません。賞与の在籍要件、退職の申し出期限、入社時期による年末調整の違いの3つを確認したうえで、年内に動くか年明けに回すかを決めてください。今の職場に残る選択も含めて、判断材料をそろえてから決めて問題ありません。

職務経歴書の下書きや、年内に何から始めるかを一緒に整理したい場合は、転職準備チェックリスト&職務経歴書テンプレ(無料PDF)をダウンロードのうえご登録ください。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。