辞めたいと思う日もあるけれど、辞めるほどなのかはわからない。誰かに相談したい気持ちはあっても、何を相談すればいいのかもわからない——そんな状態で立ち止まっている方に向けて書いています。

結論から言うと、転職するかどうかは1つの大きな問いのままだと決めにくく、4つの小さな問いに分けると、自分で考える部分と人に相談する部分が分かれます。この記事は転職を勧めるものではありません。続ける、動く、保留する、そのどれも選択肢として扱います。

転職するべきかわからないのは、問いが大きすぎるからかもしれない

結論として、「転職するべきか」という問いには、何を変えたいか、どこで変えられるか、次に何を得たいか、いつ決めるかが混ざっているため、分けると答えやすくなります。

「辞めるか、続けるか」の二択で考えていると、どちらを選んでも何かが引っかかり、決めきれないまま時間だけが過ぎることがあります。二択の前に整理しておきたいのが、次の4つの問いです。

問い 自分で考えること 相談で確かめると進みやすいこと
①今の仕事の何を変えたいか 場面ごとに、つらさの中身を書き出す 書き出した内容の分類が合っているか
②それは社内で変えられるか 異動・役割・働き方の相談で変わりそうか 社内で試せる手段の見落としがないか
③変えた先で何を得たいか 離れる理由とは別に、選ぶ理由を書く 自分では言葉にできない希望の言語化
④いつまでに決めるか 仮の期限と、続ける条件・動く条件 期限や条件が現実的かどうか

なお、「辞めるべきですか」と人に聞くと、相手自身の価値観や経験をもとにした答えが返ってくる場合があります。それが悪いわけではありませんが、相手の答えと自分の状況が合っているとは限りません。結論を預けるのではなく、4つの問いのどこが埋まっていないかを確かめる使い方のほうが、判断の材料として残りやすくなります。

問い①「何を変えたいか」を具体的な場面で書き出す

結論として、「辞めたい」という気持ちを、変えたいもの(仕事内容・労働条件・賃金・人間関係・将来像など)に置き換えると、次の問いに進めます。

「辞めたい」は気持ちの名前であって、原因の名前ではありません。何が変われば辞めたい気持ちが和らぐのかを見るために、まずは具体的な場面に分けて書き出します。

分類の枠として、公的な調査の項目が参考になります。厚生労働省「令和2年転職者実態調査」では、転職者が直前の勤め先を離れた主な理由として「自己都合」が76.6%を占めています。その自己都合の理由(3つまでの複数回答)の上位は次のとおりです。

自己都合の理由(3つまでの複数回答) 割合
労働条件(賃金以外)がよくなかったから 28.2%
満足のいく仕事内容でなかったから 26.0%
賃金が低かったから 23.8%

出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の結果」

この調査は年齢や経歴を問わない転職者全体の集計で、20代や体育会出身者に限った数字ではありません。「誰もがこう感じる」と言うための数字ではなく、自分のつらさがどの種類に近いのかを考えるための、分類の枠として使ってください。

書き出し方の例を3つ挙げます。いずれも書き方を示すための例です。

  • 例:月末の数字の詰め方がつらい → 変えたいもの:仕事の進め方
  • 例:休日出勤が月に何回もある → 変えたいもの:労働条件
  • 例:5年後の自分が想像できない → 変えたいもの:将来像

このように「場面」と「変えたいもの」をセットで書くと、問い②以降に進みやすくなります。違和感が職種・環境・時期のどれから来ているかの切り分けは、今の仕事が向いていない体育会出身者が最初に整理すべきことが詳しいので、あわせて参考にしてください。

問い②「社内で変えられるか」を確かめてから外を見る

結論として、変えたいものが社内の異動・役割の変更・働き方の相談で変えられるかを先に確かめると、転職するかどうかの判断材料が増えます。

社内で変えられることが見つかれば、続ける選択肢が現実的になります。逆に、確かめたうえで変えられないとわかれば、動く理由がより具体的になります。どちらの結果でも、判断の材料になります。

変えたいもの 社内で確かめられること(例) 社内では変えにくいことの例
仕事内容 異動の希望制度、評価面談での希望の共有 会社の事業そのものの方向性
労働条件 上司への業務量の相談、働き方の制度の確認 業界全体に共通する繁忙期の構造
賃金 評価基準や昇給の仕組みの確認 会社全体の給与水準
将来像 社内のロールモデルへの相談、役割の変更の相談 社内にない職種・業界への挑戦

社内で確かめることの意味がわかる例を、公開されているOB/OGの話から2つ取り上げます。

慶應義塾大学アメリカンフットボール部出身のOBは、コンサルティングファーム在籍中に社内で「将来的にはスポーツの仕事がしたい」と発信し続けていたところ、上司がそれを覚えていてスポーツ関連のプロジェクトに声をかけられたと話しています。実際に携わったことで「この世界で生きていきたい」と確信し、転職したそうです(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年5月19日公開)。希望を周囲に伝えることで、転職前に確かめる機会が生まれる場合がある、という一例として受け取れます。

京都大学アメリカンフットボール部出身のOBは、テレビ局で志望とは別の部署に配属された後、学び直しと自ら立案した企画を経て希望の部署へ異動しました。その後、「自分も戦う当事者になりたい」という思いから退職して母校のコーチになったと話しています(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年6月5日公開)。社内で変えられるものを変えたうえで、それでも残る理由が退職の判断軸になった例と位置づけられます。誰にでも当てはまる話ではなく、あくまで1つの経過です。

問い③「変えた先で何を得たいか」——離れる理由と選ぶ理由を分けて書く

結論として、「辞めたい理由」だけでは次の職場を選ぶ基準になりにくいため、「次に何を得たいか」を別に書くと判断がぶれにくくなります。

離れたい理由をいくら並べても、「どこへ向かうか」は決まりません。今の不満が解消されるかどうかだけで次を選ぶと、別の点で合わないと感じる場合があります。そこで、離れる理由とは別に、選ぶ理由を書く時間をとります。

同じ調査で、転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)は次のとおりです。

現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答) 割合
仕事の内容・職種に満足がいくから 41.0%
自分の技能・能力が活かせるから 36.0%
労働条件(賃金以外)がよいから 26.0%

出典:同上(厚生労働省「令和2年転職者実態調査の結果」)

離れる理由を、選ぶ理由に言い換えてみる例です。

離れる理由(例) 選ぶ理由に言い換えると(例)
数字だけで評価されるのがつらい プロセスも評価される仕組みがある職場
休日出勤が多い 休日の予定が立てやすい働き方
毎日同じ作業の繰り返しで成長を感じない 任される範囲が少しずつ広がる環境
上司との相性が合わない 相談しやすい関係をつくれる職場

言い換えがうまく書けないときは、まだ情報が足りない段階だと考えて構いません。選ぶ理由が書けないうちは、転職を急ぐより、情報収集や相談でそこを埋める段階と捉えることもできます。

問い④「いつまでに決めるか」——保留も期限つきなら選択肢になる

結論として、決めきれないときは「今は決めない」と決めたうえで、期限と観察する条件を置く方法があります。

期限のない保留は、迷いを抱えたまま時間が過ぎてしまう場合があります。一方、期限と条件を置いた保留は、続けることや動くことと並ぶ選択肢の1つになります。たとえば次のように書き出します。

  • 例:3か月後の異動希望が通れば、続ける
  • 例:休日出勤が減らなければ、情報収集を始める
  • 例:評価面談で希望を伝えて、反応を確かめてから考える
  • 例:半年たっても「選ぶ理由」が書けなければ、第三者に整理を手伝ってもらう

期限の長さに正解はありません。自分の状況に合わせて、仮に置くものです。置いた期限は、状況が変われば見直して構いません。部活で大会やシーズンを区切りに目標を見直した経験がある方は、その区切り方を参考に「次の評価面談まで」「繁忙期が終わるまで」のように、仕事の節目に合わせて期限を置く方法もあります。

ただし、眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くといった心身の不調がある場合は、判断より先に、医療機関・産業医・社内の相談窓口への相談を優先してください。疲れ方については転職を考える前に|頑張りすぎる体育会出身者の疲れ方で整理しています。

4つの問いを持って相談すると、相談が判断の材料になりやすい

結論として、相談は結論をもらう場ではなく、4つの問いのうち自分で埋められなかった部分を確かめる場として使うと進みやすくなります。

全部の問いが埋まってから相談する必要はありません。むしろ、埋まらなかった部分こそ、人に聞く価値があります。

埋まっていない問い 相談で聞くと進みやすいこと 相談先の例
①何を変えたいか 「つらさの中身はどれに近いか」の整理 社外の友人、キャリアコンサルタント
②社内で変えられるか 社内で試せる手段、過去の事例 社内の信頼できる先輩
③何を得たいか 選ぶ理由の言語化、他の働き方の実情 キャリアコンサルタント、転職エージェント等
④いつまでに決めるか 期限や条件が現実的かどうか 社外の友人、キャリアコンサルタント

転職を前提にしない整理の相手としては、キャリアコンサルタントも選択肢になります。キャリアコンサルタントは、平成28年4月から職業能力開発促進法に規定された国家資格で、守秘義務が課されています(厚生労働省「キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング」)。どの相談先を選ぶかは、4つの問いのどこを確かめたいかで決められます。相手選びと順番の詳細は、体育会出身の転職相談は誰にする?相談先の選び方と順番をご覧ください。

最後に、慶應義塾大学体育会ソッカー部出身のOBが、現役部員へのメッセージとして話している言葉を引用します。「違和感に敏感でいてください。『本当にこのままでいいのか?』という問いから逃げないでほしい」(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年3月30日公開)。

問いから逃げないことと、すぐ辞めることは別です。問いを分けて向き合うのが、この記事で紹介した方法です。

まとめ:転職するべきかわからないときは、問いを4つに分けてから相談する

転職するべきかわからないときは、「何を変えたいか」「社内で変えられるか」「次に何を得たいか」「いつまでに決めるか」の4つに問いを分けると、自分で考える部分と相談する部分が見えてきます。

分けたうえで、続けることを選んでも、動くことを選んでも、期限つきで保留することを選んでも構いません。大切なのは、どれを選ぶにしても、自分の言葉で理由を説明できる状態にしておくことです。

4つの問いを書き出すところから始めたい方は転職準備チェックリスト&職務経歴書テンプレ(無料PDF)をダウンロードのうえご登録ください。ご相談内容に編集部からメールで回答します。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。