「1社目が想定と違った」「次こそ同じ失敗をしたくない」「でも、誰に何を相談すればいいのかわからない」。1社目でこうした違和感を抱えている、20代の体育会出身の方に向けて書いています。
結論から言うと、「失敗」という一語でまとめず、①想定と実際の差を書き出す、②選んだ理由と情報源を振り返る、③入社前に確かめられたことと入社後でないとわからなかったことに分ける、④次に確かめる項目を決めて、そのメモを持って相談する、の4ステップで整理すると、次の会社選びと相談が具体的になりやすい場合があります。転職するか今の会社に残るかを決めるのは、読者ご自身です。
ステップ1:「転職で失敗した」と感じたら、何が想定と違ったかを5つに分けて書き出す
結論として、「失敗」は気持ちの名前なので、仕事内容・働き方・人間関係・評価と成長・条件(給与など)のどこが想定と違ったかに分けると、次に何を変えればよいかが見えやすくなります。
次の5項目に分けて、入社前の想定と実際の差をメモにします。以下は書き方のイメージで、架空の一般例です。
| 項目 |
入社前に想定していたこと(例) |
実際(例) |
差のメモ |
| 仕事内容 |
例:企画に関わる仕事ができると思っていた |
例:当面は資料作成と事務が中心だった |
配属後の担当業務が想定より狭かった |
| 働き方(勤務時間・勤務地・転勤) |
例:定時で帰れる日が多いと思っていた |
例:繁忙期は帰宅が遅くなる |
繁忙期の働き方を確認していなかった |
| 人間関係・チーム |
例:チームで助け合う雰囲気だと思っていた |
例:個人で動く場面が多かった |
仕事の進め方の違い |
| 評価と成長 |
例:頑張りが評価に反映されると思っていた |
例:評価の基準がよくわからない |
評価の仕組みを知らないまま入社した |
| 条件(給与・休日) |
例:休日は希望どおり取れると思っていた |
例:休日出勤が発生する月がある |
求人票の記載を細かく見ていなかった |
書き出すときは、次の点を意識してみてください。
- 自分を責める作業ではありません。事実と感想を分けて、淡々と書きます。
- 差が大きい項目だけでなく、意外と気にならなかった項目も書きます。気にならなかった項目は、次の会社選びで優先度を下げてよい項目の手がかりになる場合があります。
- 合わなかった点だけでなく、「1社目で得たもの」も1行書いておくと、面接で話すときにも使いやすくなる場合があります。
ステップ2:1社目を「選んだ理由」と「その情報をどこで得たか」を振り返る
結論として、何を基準に1社目を選び、その情報をどこから得たかを書き出すと、次の会社選びで足りなかった情報の種類が見えやすくなります。
次の3つを書き出してみてください。
- 選んだ理由(上位3つ)
- その理由を支えた情報源(説明会、求人票、面接、先輩の話、企業の知名度など)
- 確かめなかったこと(確かめる機会がなかったこと、聞きそびれたこと)
公開されているOB/OGの振り返り
公開されているインタビューには、1社目の選び方を振り返った例があります。ある大学のラグビー部出身で、社会人になっても競技を続けた方は、就職について楽観的に考えていたことを振り返り、「『次もラグビーがどこかに繋いでくれるだろう』と楽観視していたのです」と話しています(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年4月22日公開)。同じ記事では、「『なんとかなる』と考えるだけではなく、『なんとかなるように行動する』からこそ道は切り拓ける」とも話しています。
また、ある大学のアメリカンフットボール部出身の方は、情報収集が不足し、視野の狭い状態で1社目を決めた反省から、転職の際はエージェントに積極的に相談したと話しています(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年5月18日公開)。
どちらも1人の方の振り返りで、誰にでも当てはまる話ではありません。「自分の場合はどうだったか」を考える材料にしてください。
公的データと並べて比べる
比べる材料として、公的な調査も使えます。厚生労働省「令和7年転職者実態調査」の個人調査では、転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)の上位は、「仕事の内容・職種に満足がいくから」40.2%、「自分の技能・能力が活かせるから」38.4%、「労働条件(賃金以外)がよいから」23.1%でした。
出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」個人調査(令和8年9月25日公表、調査時点は令和7年10月1日)
この数字は転職者全体の集計で、体育会出身者に限った数字ではなく、「だから仕事内容で選ぶべき」という意味でもありません。ご自身の上位3つの理由と並べて、似ている点・違う点を眺める材料として使ってください。
ステップ3:「入社前に確かめられたこと」と「入社後でないとわからなかったこと」を分ける
結論として、ステップ1の差を、入社前に確かめられたものと入社後でないとわからなかったものに分けると、次の準備で埋められる部分と、許容範囲を決めておく部分が分かれます。
次の表は、差の例ごとに確かめ方を整理したものです。
| 差の例 |
入社前に確かめられたか |
次に確かめる方法 |
| 配属・担当業務が想定と違った |
確かめられた場合がある |
求人票・労働条件の「従事すべき業務の変更の範囲」を確認する。面接で配属の決まり方を質問する |
| 転勤・勤務地が想定と違った |
確かめられた場合がある |
求人票・労働条件の「就業場所の変更の範囲」を確認する |
| 残業・休日が想定と違った |
一部は確かめられた場合がある |
求人票・労働条件通知書の記載を確認する。面接で繁忙期の働き方を質問する |
| 上司・チームとの相性が合わなかった |
入社前には分かりにくい |
面接で配属先の人と話す機会があるかを質問する。社外の先輩・OB/OGの話を聞く |
| 評価のされ方が想定と違った |
一部は確かめられた場合がある |
面接で評価の仕組み(基準・頻度)を質問する |
求人の明示ルールを知っておく
2024年4月1日から、職業安定法施行規則の改正により、求人の募集時に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」などの明示が追加されました。「変更の範囲」とは、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めた範囲のことです(出典:佐賀労働局「求人票に明示すべき労働条件3点の追加について」)。
このルールは2024年4月以降の募集が対象のため、1社目の募集がそれより前だった場合は、同じ形の記載がなかった可能性があります。「入社前に確かめられたか」を振り返るときは、その点も踏まえてください。記載がどの範囲なら良い、という判断基準はこの記事では示しません。読んでもわからない点や気になる点は、応募先に確認するのが出発点です。
入社後でないとわからない壁もある
入社後の壁には、準備だけでは防げない部分もあります。ある大学の硬式野球部出身で、競技引退後に未経験で人材業界の営業職に就いた方は、当初は結果が出ず、上司から「で、結局何ができるの?」と問われたと振り返っています。その後、競技で習慣にしていた「現状分析→課題特定→改善策の実行」のサイクルを営業に転用し、徐々に成果が出始めたと話しています(出典:ツナカレOB/OGインタビュー、2026年4月17日公開)。
1人の方の例ですが、「合わない」と感じていることと、「まだ慣れていないだけ」であることを区別する材料になる場合があります。ご自身の差がどちらに近いかを、ステップ1のメモを見ながら考えてみてください。
なお、社風の見極め方は社風が合わないと感じたら|体育会出身者が転職を考える前に切り分けたい3つの視点で整理しています。
ステップ4:次の応募先で「確かめる項目」と「譲れる項目」を決める
結論として、振り返りで見えた差を、次の求人票や面接で確かめる質問に変え、優先順位をつけておくと、同じ差を見落としにくくなります。
先ほどの調査では、転職者の現在の勤め先での満足度D.I.(「満足」「やや満足」の割合から「不満」「やや不満」の割合を引いた値)も示されています。「職業生活全体」は44.0ポイント、「仕事内容・職種」は57.8ポイント、「人間関係」は48.7ポイントに対し、「賃金」は22.2ポイントで、ここで挙げた4項目の中では最も低くなっています(同出典)。
これも転職者全体の集計で、体育会出身者に限った数字ではありません。読み取れるのは、転職した後でも項目によって満足の度合いに差がある、という点までです。すべてを満たす職場を前提にするより、譲れない項目と譲れる項目を分けておく考え方につなげられます。
振り返りメモのテンプレート
ステップ1〜3の内容を、次の形でまとめておくと、応募先選びにも相談にも使えます。
- 1社目で想定と違ったこと
- その原因の見立て(入社前に確かめられた/入社後にわかった)
- 次に確かめたいこと(質問の形で)
- 譲れない条件・譲れる条件
- 1社目で得たもの
確かめる質問の例
面接や応募先への確認では、たとえば次のような質問が考えられます。
- 「入社後の配属は、どのように決まりますか」
- 「この職種の1日の業務の流れを教えてください」
- 「評価はどのような基準で、どのくらいの頻度で行われますか」
- 「繁忙期は、どの時期にどのような働き方になりますか」
質問する際は、「前の会社で困ったから」という言い方ではなく、「入社後に力を発揮するために知っておきたい」という伝え方にすると、失礼になりにくい場合があります。
退職理由の伝え方は転職面接で退職理由を聞かれたときの答え方|体育会出身者向けの例文で整理しています。ここで作った振り返りメモが、退職理由の整理にも使える場合があります。
振り返りメモを持って相談すると、「どうすればいい?」が具体的な質問になりやすい
結論として、振り返りメモを持って相談すると、相談が漠然とした「どうすればいい?」から、「この差は次の会社選びでどう確かめればいいか」という具体的な質問になりやすくなります。
相談先ごとに、聞きやすいことと気をつけたいことを整理しました。どこが正解ということはなく、聞きたい内容に合わせて選んで構いません。
| 相談先 |
聞きやすいこと |
気をつけたいこと |
| 社内の上司・人事 |
異動や働き方の調整で変えられる差かどうか |
社内に知られる範囲を、自分で決めてから話す |
| 社外の先輩・OB/OG |
その業界・職種で、入社前と後に違ったこと |
1人の経験として聞く |
| 転職エージェント |
求人票の読み方、面接での確かめ方 |
応募を急がず、自分のペースを伝える |
| 公的窓口(ハローワーク等) |
求人の条件や手続き |
窓口ごとに受けられる支援が異なるため、事前に確認する |
| キャリアコンサルタント |
振り返りの深掘り、自己理解 |
有料・無料など条件を確認する |
転職するかどうか自体に迷っている場合は、転職するべきかわからないときの判断軸|相談前に整理する4つの問いで整理する方法を紹介しています。相談先の選び方と順番は、体育会出身の転職相談は誰にする?相談先の選び方と順番をご覧ください。
まとめ:失敗を「次に確かめること」に変えてから動く
1社目が想定と違ったと感じたときは、①想定と実際の差を5つに分けて書き出し、②選んだ理由と情報源を振り返り、③入社前に確かめられたことと入社後でないとわからなかったことに分け、④次に確かめる項目と譲れる項目を決めて、そのメモを持って相談する、という流れで整理できます。
残るか動くかを決めるのは、ご自身です。「失敗した」という経験は、次の会社選びで確かめることを増やす材料として扱える場合があります。焦って結論を出さず、まずは1つの項目から書き出してみてください。
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