体育会の学生の一部は、卒業後も企業に所属して競技を続けます。採用担当者の方であれば、実業団の規模感を把握したいと思っても、まとまったデータが見当たらず困った経験があるのではないでしょうか。
本記事では、統括団体やリーグ、大会主催者などが公表している数値だけを使い、社会人野球・陸上・ラグビー・ソフトボールのチーム数を整理します。先に3点をお伝えします。
- 掲載する数値は、統括団体・リーグ・大会主催者・報道が公表したものです。編集部の独自調査や推計は含みません。
- 企業単位で「何社が実業団を持つか」を示す公表データは確認できませんでした。
- 数値は、チームや企業の評価・優劣を示すものではありません。
結論:実業団を持つ企業の数は公表されておらず、チーム数は競技ごとに公表の単位が異なる
企業単位で何社が実業団を持つかを示す公表データは確認できず、競技ごとに公表されている単位(連盟の加盟数、リーグの参加数、大会の出場数)が異なります。要点は次の4つです。
- 社会人野球は、日本野球連盟の加盟が344チームで、そのうち会社登録は95チームです。
- ラグビーのリーグワンは、2026-27シーズンが27チームです。
- ソフトボールのJDリーグは、16チームです。
- 陸上は駅伝の出場数で見ると、男子のニューイヤー駅伝が40チーム、女子のプリンセス駅伝(予選会)が31チームです。
16チームから344チームまで幅がありますが、数えている対象が違うため、同じ物差しでは比べられません。次章で単位の違いを確認します。
データの前提:「実業団」の範囲と、数え方の違い
「実業団」は競技や文脈によって指す範囲が異なる言葉で、公表データの中には企業チーム・クラブチーム・企業名を冠したリーグのチームが混在するため、数値は単位をそろえて読む必要があります。一般的には、企業が社員選手を抱えて運営するチームを指すことが多い言葉です。
公表されているチーム数の単位は、大きく3種類に分かれます。
| 公表の単位 |
何を数えているか |
読むときの注意 |
| 連盟の加盟チーム数 |
統括団体に加盟しているチームの数 |
会社のチームとクラブチームが両方含まれる場合があります。内訳が公表されているかを確認します。 |
| リーグの参加チーム数 |
特定シーズンのリーグに参加するチームの数 |
企業名を冠していても運営法人が別のチームや、地域のクラブが含まれうるため、企業の保有数とは一致しません。 |
| 大会の出場チーム数 |
予選などを経て、その大会に出場したチームの数 |
出場できなかったチームは数に入らないため、登録チームの総数ではありません。 |
本記事の一覧から外した競技もあります。ハンドボール(リーグH)とバスケットボール女子(Wリーグ)は、公式情報で数値を確定できなかったため扱いません。バレーボールは、プロ化・クラブ化が進み「実業団」の範囲と一致しにくいため外しました。卓球などその他の競技も、今回は扱っていません。
競技別一覧:公表データで見る実業団・企業スポーツのチーム数
4競技の公表値を基準日つきで並べると、次のとおりです(出典の確認日はすべて2026年10月22日)。
| 競技 |
公表元 |
数値 |
基準日・シーズン |
何を数えた数か |
| 社会人野球 |
日本野球連盟 |
344チーム(会社95〈専門学校11を含む〉、クラブ249) |
2023年8月現在 |
連盟の加盟チーム数 |
| 社会人野球 |
報道(第97回都市対抗野球大会) |
32チーム |
2026年8月26日〜9月6日の大会 |
大会の出場チーム数 |
| 陸上(男子) |
群馬県の報道発表(第70回全日本実業団対抗駅伝競走大会) |
40チーム |
2026年1月1日開催 |
大会の出場チーム数 |
| 陸上(女子) |
報道(プリンセス駅伝2025) |
31チーム(上位16チームが次の大会の出場権を獲得) |
2025年10月19日開催 |
予選会の出場チーム数 |
| ラグビー |
リーグワン |
27チーム(ディビジョン1が12、2が8、3が7) |
2026-27シーズン(2026年7月1日発表) |
リーグの参加チーム数 |
| ソフトボール |
JDリーグ(所属チームの公式サイト掲載の日程・結果) |
16チーム(東地区8、西地区8) |
2026年 |
リーグの参加チーム数 |
この表は順位づけではありません。「何を数えたか」が競技ごとに違うため、競技間で数の大小を比べることは避けてください。
あわせて、これらの公表値からは分からないことも押さえておきます。
| 公表値から分からないこと |
採用で使うときの扱い |
| 各チームの選手数 |
チーム数が同じでも在籍人数は異なりうるため、競技を続ける人数の推計には使えません。 |
| 選手の雇用形態(社員選手か契約選手か) |
チームや個人によって異なる場合があるため、応募者本人に確認します。 |
| 各チームが毎年何人を新たに迎えるか |
公表データが確認できないため、学生の進路の見通しは本人に聞くことが前提になります。 |
| チームの運営形態(企業直営か、別法人か) |
企業名を冠していても運営法人が別の場合があるため、企業の保有数とは読みません。 |
チーム数は「その競技で企業に所属して競技を続ける場がどの程度あるか」をつかむ目安であり、個別の判断材料にはなりません。
社会人野球:加盟344チームのうち会社登録は95チーム
日本野球連盟の公表では、加盟は344チームで、内訳は会社95チーム(専門学校11チームを含む)とクラブ249チームです。数のうえではクラブが加盟全体の約72%を占めています(編集部の計算)。
会社95チームから専門学校11チームを除くと84チームになります(編集部の計算です)。「会社」の区分に専門学校が含まれているため、企業のチームだけを数えたい場合は、この差に注意が必要です。
大会の出場数も公表されています。2026年8月26日から9月6日に東京ドームで開かれた第97回都市対抗野球大会には、32チームが出場しました。全国12地区の予選を勝ち抜いた31チームと、前年度優勝による推薦出場1チームの内訳です(報道による)。これは予選を経た出場数であり、全チーム数ではありません。
なお、344チームの基準日は2023年8月現在で、最新ではない可能性があります。野球部出身者の採用で見たい点は、野球部出身者の採用特徴で整理しています。
陸上競技:駅伝の出場数から見る男女の実業団チーム
陸上の実業団は、登録チームの総数ではなく、主要な駅伝の出場数で規模をつかむ形になります。
男子は、2026年1月1日に開催された第70回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)に40チームが出場しました。主催は一般社団法人日本実業団陸上競技連合です。
女子は、2025年10月19日のプリンセス駅伝2025(第11回全日本実業団対抗女子駅伝予選会)に実業団31チームが出場し、上位16チームがクイーンズ駅伝2025(第45回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会、2025年11月23日開催)の出場権を獲得しました。
注意点は2つあります。まず、これらは出場数であり、陸上の実業団チームの総数ではありません。次に、予選会の出場数は、予選を経ずに上位大会へ進むチームを含まない場合があるため、女子実業団の総数とは限りません。クイーンズ駅伝の総出場チーム数は、確認できていないため掲載していません。
ラグビー:リーグワンは3ディビジョン27チーム
リーグワンの2026-27シーズンは、ディビジョン1が12チーム、ディビジョン2が8チーム、ディビジョン3が7チームの計27チームです(2026年7月1日発表)。
選手の契約形態はチームによって異なる場合があり、リーグの参加数をそのまま企業の保有数と読むことは避けてください。ラグビー部出身者の採用で見たい点は、ラグビー部出身者の採用特徴で整理しています。
ソフトボール:JDリーグは東西16チーム
JDリーグ(ニトリJD.LEAGUE 2026)は、東地区8チーム、西地区8チームの計16チームです。所属チームの公式サイトに掲載されている日程・結果から確認しました。
16チームは1つのリーグ内の参加数であり、リーグ外で活動するチームは含まれません。この数がそのまま競技全体の企業チームの規模を示すとは限りません。
採用担当者がこのデータを使う3つの場面
チーム数のデータは、新卒、中途、アスリート雇用の3つの場面で、背景知識として使えます。個別の判断は、数値ではなく本人や応募者への確認が基本です。
新卒:競技を続ける選択肢の「受け皿」の規模感をつかむ
企業に所属して競技を続ける道は学生にとって選択肢の一つですが、公表されているチーム数を見る限り、その場は競技ごとに限られた数です。たとえば社会人野球の会社登録は95チーム(専門学校を含む)、ラグビーのリーグワンは27チームです。ただし、何人の学生が実業団に進むかを示す公表データは確認できていないため、ここでは規模感を知る範囲にとどめます。
選考中の学生が実業団の話を持っている場合は、競技の継続と一般就職を比べている可能性があります。その場合、日程や意思決定の時期を本人に確認しておくと、選考の進め方を調整しやすくなります。競技ごとの引退時期は、体育会の引退時期 競技別一覧で整理しています。
中途:実業団経験者の職歴は「業務」と「競技」を分けて読む
実業団の在籍期間は、そのまま就業経験の長さとは読まず、業務に使った時間と競技に使った時間を分けて確認します。
ツナカレメディアの取材記事(2026年6月25日取材)に、実例があります。ある大学ボート部出身者は、新卒で医療機関に入り、本部総務部で働きながら実業団選手として競技を続けました。実業団入りの際は複数のオファーの中から、大きなチームで埋もれるより「記憶に残る選手」になれる環境を選んだと話しています。2023年に競技を引退したことを機に転職し、営業職を経て、取材時点では事業部長を務めています。営業では専門知識もゼロからのスタートだったものの、分からないことをそのままにせず、知識を一つずつ積み重ねるようにしていると語っています(取材記事)。
これは1人の事例であり、実業団経験者全般に当てはまるとは限りません。面談で確認したい点は、次の3つです。
- 業務と練習の時間配分:勤務の形は会社やチームによって異なるため、所属先の名前から推測せず、本人に聞きます。
- 担当業務の中身:在籍した部署名ではなく、実際に任された仕事と、その中で自分で動いた場面を聞きます。
- 次にしたいこと:競技を離れた経緯よりも、これからの仕事で何に取り組みたいかを確認します。
見るべき点は、元アスリートの中途採用で見るべき点でも整理しています。
自社でアスリート雇用を検討する:公的な就職支援の仕組みを知る
自社でアスリートの雇用を考える場合は、公的な就職支援の仕組みの実績を知っておくと、検討の入口になります。
日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援「アスナビ」では、2026年8月20日時点で、採用決定が253社・団体、461名と公表されています。ただし、アスナビは世界の舞台を目指す現役トップアスリートが対象の仕組みです。上の数字は累計であり、採用後の定着や活躍を示すものではありません。また、本記事で整理した実業団の範囲とは重ならない部分があります。
まとめ
本記事の要点は次の3つです。
- 企業単位の実業団の保有数は公表データを確認できず、連盟の加盟数・リーグの参加数・大会の出場数と、公表の単位が競技ごとに違います。
- 公表値は、社会人野球が344チーム(会社95)、ラグビーが27チーム、ソフトボールが16チームです。陸上は駅伝の出場数で、男子が40チーム、女子の予選会が31チームです。
- 採用では、数値を背景知識として使い、個別の判断は本人の具体的な行動や経験の確認で行います。
実業団経験者を含む体育会出身者の採用について、ご相談がある場合は採用のご相談からお問い合わせください。
参考にした公開データ
(確認日:2026年10月22日)