「部活中心で、資格を取る時間がなかった」「社会人になってからも、業務で必須の資格はなかった」。職務経歴書の資格欄が空いたままで、不安を感じる方もいるかもしれません。「資格がないと転職で不利なのでは」「今から何か取るべきか」と迷っている20代の方に向けて書いています。
結論から言うと、資格欄は空欄にせず整えたうえで、評価の材料は職務内容・スキル・自己PRの欄で示すと、読み手が理解しやすくなります。資格をいま取るべきかは、応募したい職種の応募条件から考える方法があります。この記事は特定の資格を勧めるものではありません。
結論:資格欄は「整えて残す」、伝える材料は別の欄で示す
資格がない場合も資格欄を空欄にせず、「特になし」などで整えたうえで、職務内容・活かせる経験・自己PRの欄で仕事の力を示すと、読み手が理解しやすくなります。
| 欄 |
書くこと |
この記事の該当章 |
| 資格欄 |
ある資格は正式名称と取得年月、ない場合は「特になし」、勉強中なら受験予定 |
資格欄の書き方 |
| 活かせる経験・スキル欄 |
使っているツール、任された業務範囲、研修、自主学習 |
代わりに書ける材料 |
| 自己PR欄 |
部活の役割や、仕事に通じる行動を事実ベースで |
材料チェックリスト、テンプレート |
データで見る:中途採用で資格はどのくらい考慮されるか
厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、転職者の賃金決定で「免許・資格」を考慮した事業所は30.6%で、「これまでの経験・能力・知識」の59.2%を下回っていました。ただし、産業によって差があります。
出典は、厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)です。令和7(2025)年10月1日現在、5人以上の常用労働者を雇用する事業所が対象で、有効回答は9,154事業所です(概況ページ、該当表PDF)。
転職者の賃金決定の際に考慮した要素(複数回答、転職者がいる事業所=100)は次のとおりです。
| 考慮した要素 |
割合 |
| これまでの経験・能力・知識 |
59.2% |
| 年齢 |
35.3% |
| 賃金の世間相場 |
34.2% |
| 免許・資格 |
30.6% |
| 前職の賃金 |
27.0% |
| 学歴 |
12.0% |
最も重視した要素では、「これまでの経験・能力・知識」が38.4%、「賃金の世間相場」が19.1%、「前職の賃金」が9.2%、「免許・資格」が8.1%、「年齢」が7.6%、「学歴」が1.2%でした。
産業別に「免許・資格」を考慮した割合を見ると、差が大きいことが分かります。
| 産業 |
免許・資格を考慮した割合 |
| 医療,福祉 |
62.0% |
| 建設業 |
41.1% |
| 運輸業,郵便業 |
33.3% |
| 金融業,保険業 |
21.9% |
| 製造業 |
16.1% |
| 情報通信業 |
15.1% |
| 卸売業,小売業 |
14.7% |
同じ調査で、転職者を採用した理由(3つまでの複数回答・該当職種で採用した事業所=100)を見ると、販売の仕事では「離職者の補充のため」が54.6%、「経験を活かし即戦力になるから」が52.9%、「専門知識・能力があるから」が20.7%でした。事務的な仕事では、それぞれ51.8%、41.5%、22.6%でした。この設問の選択肢には「資格があるから」という項目はなく、販売・事務の仕事では「専門知識・能力があるから」も2割前後にとどまっています。
数字の読み方には注意が必要です。
- これは「賃金を決める際に考慮した要素」と「採用理由」であり、選考の合否基準そのものではありません。
- 事業所単位の割合で、個々の応募者への評価を示すものではありません。
- 体育会出身者に限った統計は確認できていません。
- 医療・福祉や建設のように資格の比重が高い産業もあるため、応募先の求人票の応募条件で確かめてください。
この結果から読み取れるのは、「中途採用の処遇や採用理由は、資格だけで決まるわけではない」という程度です。資格がなくても不利にならない、とまでは言えません。
資格欄の書き方|資格がない場合・勉強中の場合の記入例
資格がない場合は「特になし」と書いて欄を残し、勉強中の資格は受験予定時期と目的を添えて書く方法があります。
資格がない場合
次のように書きます。
資格 特になし
職務経歴書は書式が自由なため、資格欄を設けない形もあります。ただ、使っているテンプレートに資格欄がある場合は、空欄のままだと記入漏れと受け取られる可能性があります。「特になし」と書いて欄を残しておくと、読み手は「資格がない」ことをすぐに確認できます。
普通自動車免許だけある場合
営業・施工管理・配送など、業務で運転がある職種では、書いておくと確認しやすくなります。一般的には正式名称で書きます。AT限定の場合は、その旨も書きます。
20XX年X月 普通自動車第一種運転免許(AT限定)取得
勉強中・受験予定の場合
「〇年〇月 〇〇検定〇級 受験予定(〇〇のため学習中)」の形で書く方法があります。実際に学習している事実がある場合に限って書いてください。
書き方の基本ルール
リクルートエージェントの「職務経歴書の資格・免許の正しい書き方」は、業務に必要だった資格や応募先で必要とされる資格を書けばよく、職務に関係のない資格は書く必要はないと説明しています(出典:リクルートエージェント)。同記事は次の点も挙げています。
- 正式名称で書く
- 取得年月を書く
- 和暦・西暦を書類全体で統一する
- 取得年月の古い順ではなく、アピールしたい順に並べるとよい(応募職種との関連が強いものから並べる考え方です)
体育会ならではの資格(審判・指導者・段位・級)は書くべきか
競技団体の審判資格や指導者資格、段位・級は、応募職種との関連や、取得・更新を続けた事実を説明できる場合に書く選択肢があります。関連が見えにくい場合は、量を抑える判断もあります。
| 場合 |
考え方 |
| 書く方向で考えやすい場合 |
スポーツ関連企業・教育・フィットネスへの応募/取得や更新を継続している/指導・運営の経験とセットで語れる |
| 量を抑える・自己PR欄へ回す場合 |
応募職種との接点が見えにくい/資格名だけでは何ができるのか説明が付かない |
資格名だけでなく、「どんな場面で何を担当したか」を一文添えると伝わりやすくなります。審判経験の整理の仕方は審判経験は転職で活かせる?体育会出身者の伝え方と整理の仕方にまとめています。
資格の代わりに書ける材料チェックリスト
資格がない場合は、現職で使っている道具・任された業務範囲・社内研修・自主学習・部活での役割の5つから、応募職種に近いものを選んで書くと、材料にしやすくなります。以下の記入例はすべて架空です。
- □ ① 業務で使っているツール・ソフト:名前だけでなく用途まで書きます。
例:「Excel:関数(VLOOKUP等)とピボットテーブルで、週次の売上集計表を作成」
- □ ② 任されている業務の範囲:担当エリア、担当顧客の種類、関わる工程を書きます。数字は事実がある場合だけ使います。
例:「担当エリアの既存顧客への定期訪問と、見積書の作成を担当」
- □ ③ 社内研修・社内での認定や表彰:事実がある場合のみ書きます。
例:「社内の新入社員向け研修で、接客ロールプレイの講師役を担当」
- □ ④ 自主学習:学んでいる内容・期間・方法を書きます。資格試験でなくても構いません。
例:「業務時間外に、表計算ソフトの関数を市販の書籍で半年間学習」
- □ ⑤ 部活での役割:主将・マネージャー・学生コーチなどを、1〜2行に留めて書きます。職務経歴を主にします。
例:「運動部で学生コーチとして、新入部員の練習計画を担当」
数字の実績がない場合は職務経歴書、数字の実績がない体育会出身者の書き方を、部活経験の書き方全般は職務経歴書で部活・体育会経験を強みに変える書き方をご覧ください。
そのまま使える職務経歴書テンプレート(資格なし版)
資格欄・活かせる経験とスキル欄・自己PR欄の3ブロックをセットで整えると、資格がなくても読み手が判断しやすい形になります。以下の例文はすべて架空の人物・内容です。ご自身の事実に置き換えて使ってください。
■資格
[特になし/取得年月 正式名称/受験予定の資格]
■活かせる経験・スキル
・[ツール名]:[用途と使い方]
・[担当した業務範囲]:[担当先・工程・期間]
■自己PR
[応募職種で活かせる行動を、事実ベースで2〜3文。部活の経験は1〜2文]
記入例A 販売職(店舗)から法人営業を志望、資格なし
■資格 特になし
■活かせる経験・スキル
・店舗での接客と在庫管理:来店客の要望を聞き取り、売り場の配置を週1回見直す業務を担当
・Excel:日次の売上表を作成し、店長への報告に使用
■自己PR
店舗で、お客様の要望を整理して提案につなげる業務を経験しました。今後は法人のお客様に対して、課題を聞き取る力を活かしたいと考えています。学生時代は運動部で後輩の練習の相談役を務め、相手の話を聞く姿勢を意識してきました。
記入例B 法人営業から営業事務・営業企画を志望、簿記を学習中
■資格 20XX年X月 日商簿記検定3級 受験予定(数字を扱う業務に備えて学習中)
■活かせる経験・スキル
・Excel:関数とピボットテーブルで、担当顧客の月次売上を集計し、上長へ報告
・営業資料の作成:提案書の下書きを作成し、先輩の確認を受けて修正
■自己PR
営業として、見積もりや請求の流れを理解したうえで資料を整える業務を担当してきました。営業事務・営業企画では、集計と資料作成の経験を活かしたいと考えています。
記入例C 業務で運転あり、普通自動車免許のみ、施工管理を志望(未経験)
■資格 20XX年X月 普通自動車第一種運転免許(AT限定)取得
■活かせる経験・スキル
・現場への訪問:担当エリアの顧客先を社用車で巡回し、点検の日程調整と報告書の作成を担当
・工程の確認:納期と作業の順序を一覧表にして関係者と共有
■自己PR
現職で、日程を調整し、関係者に状況を伝える仕事に取り組んできました。未経験ですが、現場の工程を整理して伝える点で活かせると考えています。入社後は、業務に必要な資格の取得にも取り組みたいと考えています。
記入例Cのように入社後の資格取得に触れる場合、取得支援の制度や取得の目安時期は会社によって異なります。求人票に記載がなければ、面接で確認しておくと入社後のイメージを持ちやすくなります。
資格を取ってから転職するか迷ったら確かめたい3つの問い
資格を先に取るかどうかは、①応募したい求人で必須か、②取得までにどのくらいの期間がかかるか、③取得しなくても今の経験で応募できる求人があるか、の3点で整理すると判断しやすくなります。取得を勧めることも、否定することもしません。判断は読者ご自身に委ねます。
| 問い |
確かめ方 |
| ① 応募したい求人で必須か |
求人票の応募条件欄で、資格が「必須」か「歓迎」かを見ます。職種によっては、資格がないと担当できない業務が含まれる場合があります |
| ② 取得までにどのくらいかかるか |
試験の実施回数や日程は資格ごとに決まっているため、主催団体の公式サイトで確認し、希望する転職時期と重ねて考えます |
| ③ 資格なしで応募できる求人があるか |
同じ職種でも「入社後に取得」を前提にした求人がある場合があります。取得支援の有無もあわせて確認します |
①で「必須」が多い職種なら先に取る意味が大きくなり、③で応募できる求人が見つかるなら、今の経験で応募しながら学習を進める進め方も考えられます。
参考として、「ツナカレ人事の声」に掲載された企業の声を紹介します。いずれも新卒採用の文脈での発言を含み、中途採用にそのまま当てはまるとは限りません。個別企業の声であり、一般化はしません。
- 住宅・建設の株式会社一戸ホームは、技術職は評価軸が明確で、資格と実務経験がそのまま市場価値に直結すると語っています(ツナカレ「人事の声」、2026年3月5日取材)。資格の比重が高い職種がある例です。
- 税理士・経営コンサルのステラリンクス税理士事務所は、採用は経験者中心で、知識よりも「学ぶ姿勢」とお客様視点で動けるかを重視すると語っています(ツナカレ「人事の声」、2026年1月13日取材)。
- 医療人材紹介のMRT株式会社は、採用では学歴より、経験から何を学んだかを自分の言葉で語れるかを重視していると語っています(ツナカレ「人事の声」、2026年1月14日取材)。
提出前チェックリスト(10項目)
資格欄だけでなく、職務内容・スキル欄・自己PR欄とのつながりまで確認してから提出すると、読み手に伝わりやすくなります。
- □ 資格欄がある場合、空欄になっていない(「特になし」でも記入している)
- □ 資格は正式名称で書いている
- □ 年月の表記(和暦・西暦)を書類全体で統一している
- □ 「勉強中」「受験予定」は、実際に学習している事実だけを書いている
- □ 応募職種と関係の薄い資格を、並べすぎていない
- □ ツール名だけでなく、用途まで書いている
- □ 数字は、事実があるものだけを書いている
- □ 部活の記述が、職務経歴より多くなっていない
- □ 求人票の応募条件の「必須」「歓迎」を確認した
- □ 誤字脱字がない
全体の見直しには、職務経歴書のよくあるNG例12選もあわせて確認してください。
まとめ:資格の有無より、欄ごとに何を伝えるかを整える
- 資格がない場合も、資格欄は「特になし」などで残します。
- 令和7年転職者実態調査では、賃金決定で経験・能力・知識を考慮した事業所は59.2%、免許・資格は30.6%でした。産業差があるため、求人票の応募条件の確認が前提です。
- 審判・指導者資格や段位は、応募職種との関連を説明できる場合に書く選択肢があります。
- 資格の代わりに、ツール・業務範囲・研修・自主学習・部活の役割を、事実ベースで書きます。
職務経歴書を整えたい方は転職準備チェックリスト&職務経歴書テンプレ(無料PDF)をダウンロードのうえご登録ください。ご相談内容に編集部からメールで回答します。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。