「部活を引退してから、これからのキャリアをどう考えればいいのか分からなくなった」——大学の部活動を引退し、社会人として働き始めた体育会出身の20代から、こうした声を聞くことがあります。競技という明確な目標を追いかけてきた分、それがなくなった後に何を目指せばいいのか分からず、漠然とした不安だけが残ってしまうという悩みです。
結論として、この悩みの多くは「目標がなくなったこと」自体が問題なのではなく、「目標のつくり方」が競技時代のまま止まっていることが原因です。競技で培った目標設定の力は失われていません。それを仕事という新しい土俵に合わせてつくり直すことで、キャリアの目標は少しずつ見えてきます。この記事では、引退後に感じやすい喪失感の正体と、キャリアの目標を立て直す具体的なステップを解説します。
結論:引退による喪失感は「目標のつくり方」を変えれば乗り越えられる
体育会出身者が引退後に感じる不安の多くは、目標そのものを失ったことよりも、「大会・順位・タイムのように明確な目標が、社会人になった途端になくなってしまった」ことに起因します。競技を頑張る力そのものがなくなったわけではなく、目標を立てる仕組みが仕事にまだ移植されていないだけです。焦って何かに飛びつく前に、まずは目標のつくり方を仕事向けに組み直すことから始めれば、漠然とした不安は少しずつ具体的な行動に変わっていきます。
なぜ引退後に「これからのキャリア」がわからなくなるのか
理由1:目標が「外から与えられるもの」だった
部活動では、大会の日程や目指すべき順位、タイムといった目標の多くが、競技や大会というかたちで外から与えられていました。それに向かって努力する型は身についていても、目標そのものを自分でゼロからつくる経験は、実はそれほど多くの人が積んでいません。仕事では目標が明確に与えられるとは限らないため、この違いに戸惑う人が多くいます。
理由2:「頑張っている実感」を測るものさしがなくなる
競技中は、タイムや順位、レギュラー争いといった分かりやすいものさしで、自分の頑張りや成長を実感できました。仕事では成果が出るまでの期間が長く、評価の基準も競技ほど明確ではないことが多いため、「自分は今頑張れているのか」が分かりにくくなり、不安につながりやすくなります。
理由3:同期や後輩と比べて焦りを感じる
同じ体育会出身の同期がキャリアの方向性を語っているのを見ると、「自分だけ何も定まっていない」と焦りを感じることがあります。しかし、多くの場合、他の人も同じように手探りで進めているだけで、表面的にそう見えているに過ぎないことも少なくありません。
体育会経験は無駄にならない:目標設定の型をキャリアに転用する
競技で培った「目標を立てて、逆算して、日々の行動に落とし込む」という力そのものは、キャリアにもそのまま使えます。対象が「大会」から「仕事」に変わっただけで、型自体は引き継げます。
| 競技での目標設定 | キャリアでの目標設定への転用イメージ |
|---|---|
| 大会・大会日程という明確な期限 | 「半年後」「1年後」など自分で区切りを決める |
| タイム・順位という数値のものさし | 担当業務の範囲・任される役割など、自分なりの指標を決める |
| 個人目標とチーム目標の両立 | 自分のキャリアの方向性と、今の仕事での役割の両立 |
| 試合後の振り返り・課題設定 | 一定期間ごとに今の仕事を振り返り、次の課題を言語化する |
こうした経験は、体育会出身者が転職市場で評価される強みの一つでもあります。詳しくは体育会出身は転職で有利?20代の市場価値と評価される強みでも解説しています。
キャリアの目標を立て直す4つのステップ
目標を一気に固めようとする必要はありません。次のような順番で、少しずつ輪郭をつくっていく進め方をおすすめします。
ステップ1:期限を自分で区切ってみる
まずは「3か月後」「半年後」など、大会日程の代わりになる期限を自分で決めてみましょう。期限を区切ること自体が、競技時代の感覚に近いペースをつくり出してくれます。
ステップ2:「なりたい役職」ではなく「なりたい状態」を言葉にする
いきなり具体的な職種や役職を決める必要はありません。「もっと裁量を持って仕事を任されたい」「専門性を身につけたい」「チームで成果を出す役割を担いたい」など、今の自分が求めている状態を言葉にしてみることから始めます。
ステップ3:小さな挑戦を1つ設定する
大きな目標がまだ見えなくても、直近で取り組める小さな挑戦を1つ決めておくと、競技時代の「今週の課題」に近い感覚を仕事の中に取り戻せます。資格の勉強、新しい業務への挑戦など、身近なもので構いません。
ステップ4:一人で抱え込まず、相談先を持っておく
競技時代はチームメイトやコーチという相談相手が身近にいましたが、社会人になるとそうした存在が自然には見つかりにくくなります。同じ体育会出身の先輩に相談しづらいと感じる場合は、相談先を広げる工夫も必要です。この点は体育会の転職、先輩後輩に相談しづらいときの考え方でも詳しく取り上げています。
焦って結論を急がなくていい
引退直後は、「早く次の目標を見つけなければ」と焦ってしまいがちですが、目標は一度で完璧に定まるものではありません。競技中も、目標は大会ごとに見直しながら少しずつ精度を上げてきたはずです。キャリアの目標も同じように、走りながら修正していくものだと捉え直すと、気持ちが楽になります。
今の仕事を続けるか、転職して環境を変えるかは、目標がある程度見えてきてから考えても遅くはありません。転職という選択肢そのものについて、進め方の全体像を先に知っておきたい場合は、第二新卒×体育会系の転職完全ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ:目標は失ったのではなく、つくり方を変える段階にある
引退後にキャリアの目標が見えなくなるのは、目標を立てる力自体を失ったからではなく、目標のつくり方が競技時代のまま止まっているためです。期限を自分で区切る、なりたい状態を言葉にする、小さな挑戦を設定する、相談先を持つ——この4つを少しずつ試していけば、漠然とした不安は具体的な一歩に変わっていきます。
一人で目標を整理するのが難しいと感じたら、ツナカレキャリアの無料キャリア相談もご利用ください。なお、ツナカレキャリアを運営する株式会社PieceTimesは有料職業紹介事業の許可を申請中のため、現時点では求人のご紹介・斡旋は行っておらず、キャリアに関する情報提供・ご相談のみを承っています。